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ダフネ・・・Oper Frankfurt・・・2019/2/1 [オペラ]

 
 シャーガー半端ない、シャーガー神ってる、こんな流行語で表現したくなる公演でした。
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Musikalische Leitung Sebastian Weigle
Regie Claus Guth

Daphne Jane Archibald
Leukippos Peter Marsh
Gaea Tanja Ariane Baumgartner
Apollo Andreas Schager
Peneios Patrick Zielke
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 このプロダクションを鑑賞したのは2010年、ダフネの回想という演出が叙情性を深めた公演でした。今回は2度目ですが、鑑賞しながらこんなシーンだったかと思うことがしばしば。以前より痛々しさが増し、ロイキッポスの死の場面で思わず涙。今までも泣けると表現することはありましたが、本当に涙が溢れたことはほとんどありません。今回ばかりは涙を拭くのに音をたてないようにハンカチをバッグから取り出すのに気を使わざるをえず。それにこんな風に涙するのが自分だけだったら少々恥ずかしくもあり周囲をチラ見。すると何人かやはり目頭を押さえていて、妙に安堵してしまいました。
 以前鑑賞したのは九年も前なので演出を変更したと断定する自信はないのですが、特にアポロの演技、演出を変えているように思え、衣装も他の人達はほぼ同じなのにアポロだけが以前と異なってました。
 アポロ役にシャーガーを起用したことも公演の印象を変える要因であったに違いありません。登場するや否や、カリスマティックな歌声は恐ろしいほどの緊張感と不穏な予感をもたらすに充分。冒頭で半端ない、神ってると書いてしまったのもそんな理由からですが、この演出ではアポロは神ではありません。ロイキッポスを死にいたらせてしまった後のシャーガーは、悪意なく殺人を犯してしまった人間の後悔と懺悔を非常に上手く伝えていて、その末路は観ているものに更なる痛みをもたらしました。
 もう一人のテノール、ロイキッポス役のマーシュが本当に無垢で純粋な歌声だったこともその死に涙せざるをえなかったところ。前回は今やバイロイトでも活躍するようになったベーレが好演してましたが、マーシュも今後活躍の場を広げていくかもしれません。
 タイトルロールのアーチバルトは冒頭こそ声が痩せている感がなきにしもあらずだったとはいえ、すぐにそんなことは気にならなくなり、ロイキッポスの死の悲しみも繊細に歌い上げていたのが印象的でした。

 ヴァイグレ指揮の演奏も緊張感を保ち、あっという間の2時間弱。
 カーテンコールでは再演でも初日とあってグート登場。やはり演出を部分的に変更した可能性は高いと思ったしだい。
 
 

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アンドレアス ショル・・Kirche St. Peter・・2019/1/31 [コンサート・リサイタル]

 冬の旅行は古楽&シュトラウス。到着日は聖ペーター教会でアンドレアス・ショルとチューリッヒ室内管弦楽団のコンサートでした。
Andreas Scholl (Countertenor)
Willi Zimmermann (Konzertmeister)
Zürcher Kammerorchester

Johann Sebastian Bach Kantate «Vergnügte Ruh, beliebte Seelenlust» BWV 170
Arvo Pärt Es sang vor langen Jahren
Johann Sebastian Bach «Chaconne», aus: Partita Nr. 2 d-Moll für Violine Solo BWV 1004, Fassung für Streichorchester
Arvo Pärt Wallfahrtslied
Johann Sebastian Bach Kantate «Widerstehe doch der Sünde» BWV 54
Arvo Pärt Vater unser

 席は自由席だったのですが、行ったときには空いている席を探さなくてはいけないほど既にほとんど満席状態。見つけた空席に座ってみると柱で舞台中央が見えず、中央で歌うであろうショルの姿が全く見えないのも寂しい気がして探し直した結果、後方でしたが柱が少し邪魔になっても舞台中央は見える席を見つけて安堵しました。
 教会内部は古楽を聴くのにちょうど良い音響空間。バッハも良かったですが、ショルの良さがでていたのはペルト。優しく伸びやかな歌声に長旅の疲れも癒された宵でした。
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アルチーナ・・Staatsoper Hamburg・・・2018/10/3 [オペラ]

 ボーっと生きてます。
 冬の旅行の前には書いておきたかったのに放置。結局冬の旅行はとっくに終了。この感想をアップしても4公演たまっている状態で、さらに早春の旅行に行ってしまいそうです。

 今、歌手で聴きたい人というとハレンベリ、レジネヴァ、アスプロモンテ等、古楽系の人達。特にハレンベリとレジネヴァはオペラの出演機会は多くないのでオペラ出演となると行かずにはおれず。ましてこの公演はレジネヴァの他、ファジョーリまで歌うのですから聞き逃すわけはありません。

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Musikalische Leitung Riccardo Minasi
Inszenierung Christof Loy

Alcina Agneta Eichenholz
Ruggiero Franco Fagioli
Bradamante Sonia Prina
Morgana Julia Lezhneva
Oberto Narea Son
Oronte Ziad Nehme
Melisso Alin Anca

Orchester Philharmonisches Staatsorchester Hamburg
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 お目当てのユリアちゃんの技術と表現の多彩さはグルベローヴァを彷彿とさせるものがあり、聴けて大満足。それに舞台での可愛らしい姿と自然な演技も魅力的でした。
 タイトルロールのアイヒェンホルツを聴くのはルールトリエンナーレの『ラインの黄金』でフライア、ウィーンでルルと今回で3回目。背が高くクールな美人で声も美声、感情表現にも長けた人という印象。ただどういうわけかいつも共演者に恵まれすぎて割りをくっている感がなきにしもあらず。『ルル』ではデノケに持っていかれ、今回はレジネヴァ。もちろんそう感じてしまうのは個人的嗜好の問題ではあります。
 ファジョーリの聴かせどころSta nell'Ircanaではチューリッヒのグート演出『アルチーナ』同様、ダンサーが勢ぞろいして大盛り上がり。チューリッヒほどダンスでバタバタと足音を立てることもなく、ファジョーリは舞台中央で斜めに身構えて見事な歌いっぷりを披露してくれました。
 他の出演者も好演。プリナの個性的で大胆なアジリタは様式感が微妙になりそうにながらも公演のスパイスとして存在感大でした。

 今回のオケは古楽オケでないせいか、途中アルチーナの独唱でゆっくり目のテンポに重だるい印象がなきにしもあらず。ただそのテンポで歌ってこそアイヒェンホルツの良さが出ていた感があり、指揮のミナージがそれぞれの歌手の良さを引き出していたとも言えるものでした。

 演出はアルチーナの魔法がかかっている場面では華やかで古風な衣装、魔法がとけると現代の衣装といった趣向で分かりやすく、最後には現代的演出のお約束とばかりサプライズもありでした。

 この日のお隣さんは古楽ファン。ファジョーリやレジネヴァの技術の素晴らしさは認めながらもディクションの曖昧さが気になるのでジャルスキーやピオーの方が好みと言ってました。人それぞれ拘りはあるものです。確かにそういった面はあると同意しつつも[猫]はイタリア人でもなし、そういったことより他の人では味わえない魅力に惹かれずにはおれないというところです。


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