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ダフネ・・WIENER STAATSOPER・・2017/12/7 [オペラ]

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DIRIGENTIN Simone Young
REGIE Nicolas Joel

Peneios Dan Paul Dumitrescu
Gaea Janina Baechle
Daphne Regine Hangler
Leukippos Benjamin Bruns
Apollo Andreas Schager
1. Schäfer Gabriel Bermúdez
2. Schäfer Wolfram Igor Derntl
3. Schäfer Jens Musger
4. Schäfer Hans Peter Kammerer
1. Magd Ileana Tonca
2. Magd Margaret Plummer
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 ダフネ欠乏症になっていたのはかなり前から認識していたので、この公演は見逃せませんでした。
 
 神秘的な美しさと深い叙情性に満ちた作品というと、この『ダフネ』は格別であります。
 歌劇の中で何が一番好きかと問われれば、今のところ間違いなく『ダフネ』と答えるでしょう。この作品を聴いてしまうと同じ作曲家のバラやアラベラなどのオチャラケ作品は聴くに値しない駄作、況や薄っぺらなイタリアオペラをや、とまで言ってしまうと暴言ではありますが、本当にそう思っているので正直に書いておくことにします。

 今回の『ダフネ』は爆演大声大会風。キャストにワーグナーも歌える人達が揃ったからこそ可能だった爆演です。今まで聴いたタイトルロールはベングッソンとイソコスキでしたが、この二人だったらここまで鳴らすことはできないというくらい鳴らしていて、ダフネとアポロの出会いなどはブリュンヒルデとジークフリートの出会いかと思えたほど。鳴らしていた分、前半は叙情性といった面では若干希薄にも思えたのですが、神秘的な力を宿すようなオーケストレーションの中に身をおける素晴らしさは極上でした。ロイキッポを失った後のダフネの悲しみには涙せずにはいられない切なさがあるのもこの作品に魅了されるところですが、そこは叙情性に満ちた演奏でダフネ役のハングラーもしっとりと美しく歌い上げていたのが胸に浸みました。
 
 演出については今時ダフネが月桂樹になる演出があるとしたらここウィーンだろうと思っていたら、その通りで想定内。それでもアポロの回想という設定が叙情性を深める余韻を残し、悪くない演出でした。
 

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ルル・・WIENER STAATSOPER・・・2017/12/6 [オペラ]

パリからウィーンへ移動して2泊。お目当ての『ダフネ』の前にこの公演を鑑賞しました。
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DIRIGENT Ingo Metzmacher
REGIE Willy Decker

Lulu Agneta Eichenholz
Gräfin Geschwitz Angela Denoke
Dr. Schön/Jack the Ripper Bo Skovhus
Alwa, sein Sohn Herbert Lippert
Schigolch, ein Greis Franz Grundheber
Theatergarderobiere/Mutter Donna Ellen
Gymnasiast/Groom Ilseyar Khayrullova
Medizinalrat Konrad Huber
Maler/Neger Jörg Schneider
Tierbändiger/Athlet Wolfgang Bankl
Prinz/Kammerdiener/Marquis Carlos Osuna
Theaterdirektor/Bankier Alexandru Moisiuc
Polizeikommissär Konrad Huber
Fünfzehnjährige Maria Nazarova
Kunstgewerblerin Bongiwe Nakani
Journalist Manuel Walser
Diener Ayk Martirossian

 キャスト表を見て、これは脇が盤石といった印象の公演になりそうと思っていたところ、その通りでありました。
 タイトルロールの人も決して悪くなく、スタイルの良い美人て魅力がないわけではなかったのですが、デノケが歌うやいなや全て持っていかれたという印象になってしまったのは致し方なしか?
 
 演出のセットは舞台中央に部屋があり、その部屋を見下ろす形で舞台奥に観客席のように半円状の階段が設けられてました。サイドの席から鑑賞しているとセットの客席の延長に自分が座っている気がしてきて、舞台中央で繰り広げられる惨劇を見ながら連想したのはコロッセオ。惨劇を鑑賞するのは古代から続く人間の性なのかと考えながら、実際の殺戮ではなく劇として鑑賞するのだから人間も進歩しているとも思ったり、それでも音楽がなければこういった暗くて救いようもない話を鑑賞する気になれるだろうかと自問したり・・・でした。

 尚、さすが世界のウィーン国立歌劇場、日本語対応の字幕新システム (人''▽`)ありがとうごさいます☆
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皇帝ティートの慈悲・・Palais Garnier・・2017/12/5 [オペラ]

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Direction musicale Dan Ettinger
Mise en scène Willy Decker

Tito Vespasiano Michael Spyres
Vitellia Aleksandra KurzakAmanda Majeski
Sesto Marianne CrebassaStéphanie d'Oustrac
Annio Angela Brower
Servilia Valentina Naforniţa
Publio Marko Mimica

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 ティトと言えばザルツブルクで観た斬新な公演が記憶に新しいですが、そのせいもあってか今回はオーソドックスという印象になった公演でした。演奏はほぼ譜面どおり、歌手はそれぞれのキャラが際立ち、モーツァルトの作品の良さを充分に味わったというところ。
 モーツァルトに限ったことではなく、譜面どおりで登場人物のキャラが際立っていれば満足感が高いのは当前といえば当前なのかもしれません。現代的解釈を交え色々変化を加えた公演も思いがけない発見があるのでもちろん肯定派ですが、今回のようなオーソドックスな公演も肯定派です。

 それに音楽的にはオーソドックスでも演出は現代的な感覚が盛り込まれ、衣装はクラシックでもセットは抽象的なものでした。秀逸だったのは登場人物の動きと演技でそれぞれの内面を浮き彫りにしていた点で、一つだけ例を挙げると、最後、王冠を頭からはずしてそっと下に置くティトには王としてではなく人間として寛容であれという姿勢が窺えて印象的な幕切れでした。
 
 
 キャストはオリジナルから二人変更になってしまいましたが、元々ダブルキャストだったこともあって全く問題なし。
 キャスト表を見て鑑賞する前からこれは質の高い公演になりそうという予感があったのは脇役にバイエルンのアンサンブルであるブラウアーとウィーンのアンサンブルであるナフォルニツァがいることで、実際にモーツァルトは脇役を含めて全員が充実していると満足度が高いということを再認識した公演でした。(二人共既にアンサンブルを離れて独立したかも?)
 主役級の三人はいずれも初めて聴く人達でしたが、それぞれ役のイメージに合っていて、スパイヤースはいかにも穏やかそうな外見が懐が深い雰囲気で声も優しそう。ドゥストラックはズボン役が似合う暗めの声で悩めるセストにピッタリ。マジェスキは嫉妬深く気が強そうでありながら憎めないキャラを好演してました。

 ということで、歌手の人達が演出にそって好演していたからこそ登場人物の個性が際立ったということではありますが、公演の要であるエッティンガー率いるオケの若干重めの演奏も歌手の好演を引き出すのに成功していたとも言えるでしょう。ところで、エッティンガーの指揮する姿が師匠にそっくりというのを聞いたことがありますが、今回良く見える席だったので、なるほど納得でありました。

 
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グリゴリー ソコロフ・・Théâtre des Champs Elysées・・2017/12/4 [コンサート・リサイタル]

Haydn Sonata (divertimento) No. 32 op.53 No. 4 Hob. XVI:44
Sonata (divertimento) No. 47 op.14 No. 6 Hob. XVI:32
Sonata No. 49 op.30 No. 2 Hob. XVI:36
Beethoven Sonata No. 27 op. 90
Sonata No. 32 op. 111
以上のプログラムの他、アンコール6曲

この公演が滞在中にあったことは幸運以外のなにものでもありません。
極上の時間を過ごしました。
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エリスメナ・・Opéra Royal・・2017/12/3 [オペラ]

 三兎追う者は一兎をも得ず、とまではいかなかったから良かったものの、三兎追う者は一兎を逃す。
 12月の遠征、注目したのはパリの『死者の家から』ウィーンの『ダフネ』ブリュッセルの『カルメル派修道女の対話』。これが『死者の家から』の最終日が2日、『カルメル派修道女の会話』の初日が8日ということでいつになく長い旅程にせざるを得ず。それでもなるべく短くと考えて2日到着にして観ようなどと考えたのが一番の敗因で、その他諸事情もあって観ること能わず。代わりに知人が行ってくれて感動したと言っていたのが救いでした。それにこの頃パリでは良い公演が結構あったので、4泊と久々にゆっくりと楽しむことができました。

 3日はヴェルサイユへ。
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Leonardo García Alarcón Direction
Jean Bellorini Mise en scène et lumières

Francesca Aspromonte Erismena
Carlo Vistoli Idraspe
Susanna Hurrell Aldimira
Jakub Józef Orliński Orimeno
Alexander Miminoshvili Erimante
Benedetta Mazzucato Flerida
Andrea Vincenzo Bonsignore Argippo
Stuart Jackson Alcesta
Patrick Kilbride Diarte
Tai Oney Clerio Moro

Cappella Mediterranea

 オケは指揮&チェンバロのアラルコンを含め11名編成。大きなガルニエではばらつきが少々気になったオケですが、古楽はやはり小さ目の劇場で小編成で聴くのが良いものです。
 歌手は若手中心といった趣でしたが、既に夏のエクサンプロヴァンスで公演してきたとあって完成度の高いチームワークの良さは言わずもがな。
 特筆すべきはタイトルロールのアスプロモンテ。ボルドーで聴いたロッシの『オルフェオ』でも好演してましたが、活き活きとした歌声は人を惹きつける魅力に溢れ、イタリア人ということもあってディクションの美しさも際立つものがありました。1991年生まれと若いですが、既にあちこちで主役級を担うだけの存在感があります。夏にはインスブルックでハッセの『セメレ』のタイトルロールを歌う予定ですが、脇にインヴェルニッツィやプリナなどのベテランが配されているのですから興味津々。と言っても観に行くことは難しそうなのが残念なところです。
 声質の異なる3人のCTもそれぞれ好演。10月に観た『リナルド』でタイトルロールだったオルリンスキーはブレークダンスまで披露してくれました。

 演出は正直もう少しなんとかならなかったかというところ。舞台下手に常にディレクターか音声係のように2人がじっと座っているのが劇中劇風でもあったのですが、あらすじを調べて鑑賞したのでまだ良かったものの、調べなかったらフランス語の字幕だけでチンプンカンプンに終わったであろう公演でした。

 
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ランメルモールのルチア・・東京文化会館・・2017/11/9 [オペラ]

またまた放置状態。
12公演たまってます。
ぼちぼちとメモのような感想ではありますが、書き残しておきます。
まずは3か月以上前の公演から。

指揮 ペーター・ヴァレントヴィッチ
演出 マーテー・サボー

ルチア:エディタ・グルベローヴァ
エドガルド:ペーテル・バンツォー
エンリーコ:ゾルターン・ケレメン
ライモンド:イシュヴァーン・コヴァーチ
アルトゥーロ:ゾルターン・メジェシ

 ハンガリー国立歌劇場公演。
 イタリアオペラの中でもヴェルディーやプッチーニは最初から興味がないのですが、ベルカントものと言われる演目でさえ興味がなくなってきている今日この頃。グルベローヴァもここ2回、ベルリンとウィーンで聴いた時の高音の強引な発声に、もう聴かなくてもよいかなと思ってました。しかし、ルチアは日本でのリサイタルで一部しか聴いてないので行くことに。それでも失礼ながらほとんど期待はしてはいませんでした。

 ところがところが・・・強引な発声の高音は影を潜め、コロラトゥーラは今できるあらん限りの技術を惜しみなく披露した圧巻のパフォーマンス。もちろんコントロールが以前に比べれば甘いとはいえ、70歳を超えても舞台上では運命に翻弄される乙女であり、観客を物語にいざなう姿は今尚挑戦し続ける舞台人として至芸の極みでした。
 
 もう聴かなくてもよいという前言は撤回したほうがよさそうです。


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