SSブログ

ワルキューレ・・・Staatsoper Unter den Linden・・2019/9/8 [オペラ]

 スカラで聴いたときの感想を見てみると、→こち
 アンコールで最初からまた観たい、とか、[黒ハート][黒ハート]とか・・・こんな浮かれた感想ありえへんでリンデンでは。
 もちろんスカラで感動した事実になんら変わりはないのですが、オケと劇場が異なるだけで全く印象は異なります。SKBの音ははるかに緊張感が高く濃密、そして歌手の人達の渾身のパフォーマンスに軽々にアンコールなどと言えたものではなく(それでも第2チクルスが始まった今、行ける人が羨ましいと思ってる[猫])浮かび上がったのは愛だけではなく葛藤。観終わった後の満足感には荒波にもまれたような疲労感が伴ったのでした。
ブログDSCF9340.jpg
MUSIKALISCHE LEITUNG Daniel Barenboim
INSZENIERUNG Guy Cassiers

SIEGMUND Simon O'Neill
SIEGLINDE Anja Kampe
HUNDING Falk Struckmann
WOTAN Michael Volle
BRÜNNHILDE Iréne Theorin
FRICKA Ekaterina Gubanova
GERHILDE Christiane Kohl
HELMWIGE Vida Miknevičiūtė
WALTRAUTE Anja Schlosser
SCHWERTLEITE Natalia Skrycka
ORTLINDE Anna Samuil
SIEGRUNE Julia Rutigliano
GRIMGERDE Anna Lapkovskaja
ROSSWEISSE Dshamilja Kaiser

 この日もオケと歌手は阿吽の呼吸。これ以上のワルキューレに今後立ち会えることはあるだろうかと疑問に思うほどの公演でした。
 まず気が付いたのはオニールが着実に進歩していたこと。スカラ初演時のリハの映像で結構厳しくバレンボイム先生から指導を受け、相手役のマイヤーさまからもアドバイスをもらっていた記憶がよみがえりましたが、今のオニールはなんら不安なく阿吽の呼吸に溶け込み、発音についても臨席のドイツの人に確認したところ問題なしとのことでした。2010年の初演以来、カシアス演出のリングでずっとバレンボイム先生の元で歌ってきたという実績に裏打ちされた自信と力を舞台上で遺憾なく発揮していたというところ。
 カンペのジークリンデはスカラでのマイヤーさまになんら遜色なし。特に3幕の愛の救済の動機は絶品。その歌声は正に絶望の中に見つけた一筋の光でした。
 フォレは品格と威厳を保ちながらも苦渋に満ちたヴォータンでブリュンヒルデへの愛情をも含めて、これ以上は望むべくもないという存在感。ハーゲンの死の場面や3幕でブリュンヒルデに対して強く激しい口調で言い放つように歌ったのが信憑性ありすぎのなりきり度でした。
 予想以上に良かったのがテオリン。弱音でこれほど繊細に心の機微を伝えることができる人だったとは。大柄であるにもかかわらず、ヴォータンの前では純粋な少女であり、登場時のHojotoho! Hojotoho!・・・は荒々しかったのですが、それも無垢で未熟な少女らしさに思えてしまいました。
 シュトルックマンは前日の強欲なファフナーから冷血なフンディングに変身。
 グバノヴァのフリッカは美しいドレス姿がものすごくかわいいにもかかわらず、ヴォータンをやりこめる歌は説得力充分で恐れ入りました。

 フリッカ以外の衣装についても美しいというのを改めて実感。神々であるワルキューレ達のドレス姿にも人間仕様の兜や鎧が必要なわけもなし。

 演奏は前日もこの日もやや速めという印象。オケは傷がないわけではありませんでしたが、そんなことは些細な事で物語に没頭させてくれました。気が付いたのはワルキューレの騎行をスカラのほうが一拍目を強調して重く演奏していたこと。全体的にみればスカラの方がずっと軽いのであえて重くしたのか、いずれにせよリンデンでは重く演奏する必要はないのは確かです。

 それにしても物語の内容は知っているくせに、どうしてグッと胸に迫ってきたり、ウルッとしてしまうのか、信憑性の高い歌と音楽の力は凄いと改めて思った公演でもありました。
 

nice!(0)  コメント(4) 

nice! 0

コメント 4

サンフランシスコ人

サンフランシスコの1985年の「ワルキューレ」.....

http://archive.sfopera.com/reports/rptOpera-id800.pdf

の超豪華キャスト....
by サンフランシスコ人 (2019-10-13 03:28) 

kametaro07

サンフランシスコ人さま
 ペーター・ホフマンを聴かれたのですか?羨ましいです。
 ジョーンズ、モリス、トムリンソンは同役で1991年ROHで聴いたことがあるのですが、情けないことに当時はそれほど興味がなかったので覚えてないのです。下記に当時観たプログラムの写真が載ってます。
https://kametaro07.blog.ss-blog.jp/2010-07-27
by kametaro07 (2019-10-18 23:51) 

サンフランシスコ人

「サンフランシスコの1985年...」

サンフランシスコに住んでいませんでした...

「情けないことに当時はそれほど興味がなかったので覚えてないのです...」

暗記するのは絶対不可能?


by サンフランシスコ人 (2019-10-20 04:44) 

kametaro07

>暗記するのは絶対不可能?
はい、脳の空洞化が進んでおります。
by kametaro07 (2019-10-28 10:10) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。