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ドン・ジョヴァンニ・・Staatsoper Unter den Linden・・2018/1/21 [オペラ]

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MUSIKALISCHE LEITUNG Alessandro De Marchi
INSZENIERUNG Claus Guth

DON GIOVANNI Christopher Maltman
DONNA ANNA Maria Bengtsson
DON OTTAVIO Paolo Fanale
KOMTUR Jan Martiník
DONNA ELVIRA Dorothea Röschmann
LEPORELLO Mikhail Petrenko
MASETTO Grigory Shkarupa
ZERLINA Anna Prohaska

 以前から観たいと思っていたグート演出マルトマンの『ドン・ジョヴァンニ』
 2008年ザルツブルク初演なので10年近く続いている演出です。長く続いている演出の再演なのでチケットは余裕で取れるだろうと思って油断していたところ、気づくと少ししか残ってなくて焦ってしまいました。長く続いているのは人気が高いからであってチケットも早めにとっておくべきでした。

 森林の回転舞台。騎士長殺害場面、ドン・ジョヴァンニも騎士長のピストルで負傷するという設定。死を覚悟し、命果てるまで生き様を貫くドン・ジョヴァンニ演ずるマルトマンがやたら格好良く見えた演出でした。個人的には、もうこの演出はグートのドン・ジョヴァンニというよりマルトマンのドン・ジョヴァンニといった方がピンとくるくらいです。
 他の登場人物も個性の強い設定で楽しめました。
 ドンナ・アンナは悩みながらも明らかにドン・ジョヴァンニに惹かれていて、ベングッソンはその心情を弱音を駆使した歌唱で表現していたのですが、席が3階サイドでオケが強めに聞こえ、森林の奥で歌ったりすると埋没ぎみになってしまっていたのが少々残念ではありました。音響が良くなったせいか?オケを臨める席だと以前より演奏が強く聞えるような気もしました。
 そんなドンナ・アンナの気持ちを全く知らず、ひたすらドンナ・アンナを慕っている気の毒なオッターヴィオでしたが、ファナーレの歌うアリアは聴きごたえ十分。このところオッターヴィオは良い人ばかり聴いてます。
 レポレッロを歌ったペトレンコはトボケた雰囲気でしっかりブッファの担い手を好演。
 エルヴィーラがブッファの一端を担っていたのも面白く、富士真奈美のようなプンプンプリプリぶり。元アンサンブルのレシュマンは初演からこの役を歌っているので、すっかりこの役をものにしてました。それにしてもウィーンでイェヌーファを歌った時とは別人すぎて笑えました。
 ツェルリーナとマゼットはここのアンサンブルコンビ。ツェルリーナが普通でなく明らかにプッツンというキャラ設定。プロハスカはおじさんキラー的プッツンキャラを演ずるのが上手い。シュカルパがそんなプッツンキャラに翻弄されるマゼットを好演してましたが、この後、新国の『松風』に出演したとのこと、公演は評判が良かったようで何よりです。

 地獄落ちのシーンは実は騎士長は死んでいなかったとも取れるし、死ぬ間際のドン・ジョヴァンニの幻想とも取れるような気もしました。ウィーン版とあって最後の6重唱はありませんが、その方が自然な演出です。

 演奏は特に誇張することなく、モーツァルトは譜面通りで登場人物全員のキャラが立っていれば満足感が高いという公演でしたが、この演出は一風変わった設定ということが更なる面白味となってます。
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イェフタ・・・Palais Garnier・・2018/1/20 [オペラ]

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Conductor William Christie
Director Claus Guth

Jephtha Ian Bostridge
Storgé Marie-Nicole Lemieux
Iphis Katherine Watson
Hamor Tim Mead
Zebul Philippe Sly
Angel  Valer Sabadus

Orchestre et Choeur des Arts Florissants

 ヘンデルのオラトリオですが、旧約聖書にある元の話とはエンディングが異なり、ハッピーエンドにしているあたりは娯楽性を考慮したオペラに近い作品と言えそうです。
 聖書ではイェフタが戦争に勝利できれば帰還した後に最初に目にした者の命を捧げると神に誓ってしまったがために、勝利し帰還した後、最初に目にしたのが自身の娘であったことで苦しみながらも娘の命を捧げるという話ですが、この作品では古楽オペラにありがちな無理やり感で、殺される前に天使登場。一生処女で神に仕えるという条件で命が救われるという話になってます。
 最近の古楽の演出は不自然なハッピーエンドをハッピーエンドで終わらせないというのが主流で、この演出もしかり。そういった点では想定内の演出ではあったのですが、そのままハッピーエンドに終わった場合は今時なんだかなー・・・と言うに違いなく、この辺は想定内でも文句を言ってしまっては、ああ言えば上祐的文句でしかないので特に文句はありません。
 ただし、抽象的でシンプルすぎる演出で退屈という面がなきにしもあらず。『エリオガバロ』でも途中から睡魔と戦う羽目になってしまいましたが、古楽は音楽が心地よすぎるという面もあって、演出がシンプルすぎたり殺風景だとどうしてもボーっとして集中力を欠いてきてしまいます。また、登場人物は自然な動きばかりでなく、何かを象徴するように全員が動くときもあったのがどこか冷めた印象を残す演出でもありました。

 音楽的にはクリスティ&レザール・フロリアンの演奏、ソリストの歌、コーラス共に充分に満足でした。
 最も注目していたのは初めて聴くボストリッジ。スレンダーな姿はストイックで、美しい声もあって中性的な雰囲気もあり、独特なカリスマ性で魅了されました。
 古楽を聴くときに気になる様式感と劇的信憑性のバランスという点ですが、コンサート形式でしか聴いたことのなかったミードが絶妙のバランスで好演でした。
 娘役のワトソンも清純な印象でハマリ役。
 ルミューが、少々気持ちが入りすぎて様式感が微妙になっていた感がなきにしもあらず。ただ前述したように演出がシンプルで少々冷たい印象があったので、気持ちが入りすぎくらいで良い気もしました。
 サバドゥスは以前から天使のような声と思っていたのですが、今回はその天使の役。『エリオガバロ』のときと異なり、歌うのはソロだけだったので声量の物足りなさもそれほど気にはなりませんでした。ただやはりもう少し小さい劇場のほうがより良さを発揮できる人ではあります。

 演出に物足りなさを感じながらも音楽的には満足感の高い公演でした。

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連隊の娘・・・WIENER STAATSOPER・・2018/1/19 [オペラ]

 2月20日に久しぶりにアップしたときには12公演溜まっている状況だったのが、それを全て書き終える前にまた3公演観に行ってしまったので今の段階で6公演残ってます。なんだかそれも書き終わらないうちにまた観に行くことになりそうですが、地味にポツポツと1月の旅行の続きを書くことにします。

 ドレスデンに来たのは良いのですが、次の日ウィーンまで行くのは結構難儀でした。カマレナ降板とあってよほどウィーンはパスしようかと考えたりしたのですが、他に用事もあったので行かないわけにもいかず。電車が楽と思いながらも乗継時間を含めると所用時間が少ないのはバスだったのでバスで移動。ただ前日が嵐のような強風だったのでダイヤが乱れるかもと心配していたところ、案の定出発は20分遅れ、しかし到着は20分早くて問題ありませんでした。冬場とあってオリジナルスケジュールを長く取ってあったようです。
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DIRIGENT Evelino Pidò
REGIE UND KOSTÜME Laurent Pelly

Marie, junge Marketenderin Sabine Devieilhe
Tonio, junger Bauer John Tessier
Sulpice, Sergeant Carlos Álvarez
Duchesse de Crakentorp Marjana Lipovšek
Marquise de Berkenfield Donna Ellen
Hortensius Marcus Pelz
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 ペリーの演出はダムラウ&フローレス、ドゥセ&フローレスで聴いたことがあるので3回目。観たことのある演出でカマレナが早々に降板してしまったので席は安席でバルコンサイド。

 代役の人は以前ここで同役を歌ったことがあるということで、さすがに高音はきれいに決めてましたが、声質が優しく柔らかなレッジェーロなので力強い痛快感が希薄だったのは致し方なし。大柄でなかなか格好よく、半ズボン姿が似合うような?似合わないような?それが妙に微笑ましく好印象ではありました。
 マリー役ドゥヴィエルは細くて小柄で舞台に出てきたときはデュセが出てきたかと思ってしまいましたが、若々しく可愛らしい声はハマリ役で素敵でした。
 
 悪い印象は皆無で良い公演ではありましたが、同じ演出で3回目となれば新鮮さもなく、カマレナの派手な高音がお目当てだったということもあり、鑑賞しながらもどこか虚しく、なんだかなー('_')。。。でありました。

 また来シーズン聴く機会があるかチェックしなくてはいけません。できたら他の演出がよいのですが・・・はてさて?

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ジークフリート・・・Semperoper Dresden・・・2018/1/18 [オペラ]

 プラハから移動して昼過ぎにはドレスデンに入ったのですが、午後から徐々に風が強くなり、劇場に向かう頃には突風が吹くような天候で、コケてなるものかとピンヒールを履いて石畳を歩くのも容易でない状況になってしまいました。
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Musikalische Leitung Christian Thielemann
Inszenierung Willy Decker

Siegfried Andreas Schager
Mime Gerhard Siegel
Der Wanderer Vitalij Kowaljow
Alberich Albert Dohmen
Fafner Georg Zeppenfeld
Erda Christa Mayer
Brünnhilde Petra Lang
Waldvogel Tuuli Takala
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 席はあまり選べる状態ではなかったので平土間後方。ロイヤルボックスの下だったのでほぼ中央やや下手より。これがオケのバランスが悪くてワーグナーの世界に没頭しがたいNG席。ホルンとチューバだけが下手側の壁に大きく反響して他の楽器と違うレベルで鳴ってしまうという現象が起こってました。オケピを覗くと案の定、一番下手、壁を背にしてホルンとチューバが配置されているという状態。素人の浅知恵ながら、こういったことはオケの配置を変えれば避けることができると思うのですが・・・・。以前ここで『ローエングリン』を聴いたとき、平土間前方下手側で管が近いので強いと感じたわけですが、今回の席は反響によってレベルの違うバランスの悪さになってしまって、これだったら管が近くても前方の席のほうがましというほど。この劇場で既に何回も公演を行っているはずなのに常にこのようなオケの配置で行っているのか?疑問が残りました。この現象が起こることに気づいていないというのも考えにくく、平土間後方席は無視しても他の席にバランス良く届くようにしたという意図だとしたら、平土間後方席虫扱い。こんな名前ばかり長くて面白くもなんともない虫扱いはいかがなものか?席を販売している以上、誰かが平土間後方席虫扱いされることには、冗談ではなく、無視し難いものがありました。
 
 席については別件で他にも少々難あり。同じ並びの数席むこうの若造が途中で思いっきり爆睡。鼾とまではいかないもののスースーと気持ちよく寝息をたてていたのには前列の人が気になって何度も振り向くほど。隣席だったらピンヒールで足を踏んででも起こしてやるのにと心の中では思いましたが、いくらなんでもそこまで狂暴にはなりません。小突いて起こすところでしたが、数席向こうでは如何ともしがたしでありました。

 歌手陣については盤石で、ブリュンヒルデがブリュンルートかオルトヒルデだったのは想定内なので問題なし。
 ただシャーガーに少々ぎこちなさがなきにしもあらず。元々オリジナルでしたが、一度キャストから落ちていたのが再度復活したという状況で、演技を見ているとあまりリハに参加できなかったのではないかという様子。最もそれが顕著だったのが角笛を吹く場面。シャーガーは笛を口にしてないのに鳴ってしまって、慌てて笛を口に持っていくという有様。ここまでボケツッコミ的笑いどころにする必要があるのか?これにはちょいと意地悪された感もなきにしもあらずでした。もちろん天然ジークフリートたる歌声は健在でしたが、カーテンコールでも賞賛に溢れてはいても足踏みの多さではミーメとさすらい人の方が多いくらいだったのは、同様にぎこちなさを感じた人が少なからずいたのではないかと思います。

 演奏はいつものティーレマンらしく音を抑えたり、パウゼを取ったりと相変わらずではありましたが、これも想定内。オケのバランスが悪い席で聴いても賞賛が多い理由は分からないわけではありません。楽劇の醍醐味とでも言える言葉を大切にしたパフォーマンスは、歌手は大袈裟な演技などしなくても緊張感に満ち、ドイツ語圏の人達にとってはオケのバランスの悪さがあったとしても気にならないのかもしれません。

 演出についてはリングを通して観ないと理解しがたく思いましたが、椅子に何か意味がありそうでした。

 なんだかんだ書きましたが、前年某所で聴いたリングを思い起こせば、もちろんこちらの方が遥かに高品質ではありました。


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劇場的都合不都合・・ Stavovské divadlo・・2018/1/17 [オペラ]

 1月の遠征の目的はウィーンの『連隊の娘』とパリの『イェフタ』
 ウィーンはカマレナ&ドゥヴィエルが楽しみだったのにカマレナが早々に降板。目的が『イェフタ』だけでは少々寂しい。それに10月12月とワーグナーなしだったのでそろそろ聴きたい。などと考えていたら、幸い売り切れだったゼンパーの『ジークフリート』のチケットが出てきたので、当初の予定より早く出発することにしてプラハにまず入りました。

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Dirigent Enrico Dovico
Režie: Radim Vizváry

Daria Jana Sibera
Procolo Jiří Hájek
Biscroma Strappaviscere Igor Loškár
Agata Marek Gurbaľ
Luigia Michaela Zajmi
Guglielmo Josef Moravec
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 この日は到着日。プラハには複数の歌劇場がありますが、スタヴォフスケー(エステート)は行ったことがなかったので公演があったのは幸運でした。
 以前チューリッヒで観たことのあるドニゼッティの喜劇です。とにかくバカバカしいことで笑わせようという趣向で、レパートリー公演とあってチームワーク良く面白い事満載。遠目で見ていると、中岡創一みたいな人がいたのが個人的に更なる笑いどころでした。
 それでも到着日とあって例のごとく、というよりいつにもまして(-_-)zzzだったのは機内で全然眠れなかったので<(_ _)>

 エステートはドン・ジョヴァンニが初演された劇場とあって内部に資料が掲示されてます。ちょうど機内で映画『プラハのモーツァルト』を観たので感慨深く、どうせだったら公演もモーツァルトが観たかったと思わないでもなかったのですが、最近ますます到着日は(-_-)zzzの時間が長くなってきたので訪問できただけで満足としておきます。
 ただプラハの他の劇場でも感じたことがあったのですが、時々PA使用感があるのが少々気になったところです。
 
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カルメル派修道女の対話・・・La Monnaie・・・2017/12/8 [オペラ]

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Conductor ALAIN ALTINOGLU
Director OLIVIER PY

Le Marquis de la Force NICOLAS CAVALLIER
Blanche de la Force PATRICIA PETIBON
Le Chevalier de la Force STANISLAS DE BARBEYRAC
L’Aumônier du Carmel GUY DE MEY
Le Geôlier, Thierry, M. Javelinot NABIL SULIMAN
Madame de Croissy SYLVIE BRUNET-GRUPPOSOSOPHIE PONDJICLIS
Madame Lidoine VÉRONIQUE GENS
Mère Marie de l’Incarnation SOPHIE KOCH
Sœur Constance de Saint Denis SANDRINE PIAU
Mère Jeanne de l’Enfant Jésus MIREILLE CAPELLE
Sœur Mathilde ANGÉLIQUE NOLDUS
Premier commissaire YVES SAELENS
Second commissaire ARNAUD RICHARD
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 フランスを代表する女性歌手がこれだけ勢ぞろいするのはこの作品以外ないかもしれません。この作品はマインツで鑑賞して以来ですが、その時は到着日で睡魔と戦わざるを得ず、また機会があったらと思っていたので、これだけ豪華なキャストの公演を見逃すわけにはいきません。何よりフランス人によるフランス作品の上演なのですから期待も高いのは当然。これが非常に完成度の高い公演で期待以上、満足感も高いものでした。

 モノトーンの色彩の舞台は重苦しい雰囲気に満ちながらも、横にスライドする床と縦横にスライドする壁がどの場面も絵になる美しいシーンを創りだし、適材適所の歌手とアルティノグル率いるオケの演奏は時代に翻弄されながらも信仰を貫いた人々の悲劇を紡ぎだしていました。

 最も印象に残ったのはブランシュとコンスタンス。プティボンは今までルルやアルチーナで聴いたので魔性の女といったイメージが強かったのですが、今回は純粋で繊細な貴族の娘であり、ベテランのピオーは屈託のない素朴な少女のようで、鑑賞しながらも残酷な結末が受け入れ難くなってしまったのでした。

 マインツでは鋭く響くギロチン音に恐怖を募らせたのですが、今回は鈍く生々しく響く音が辛すぎたのでした。

 

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