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トロヴァトーレ・・・Deutschen Oper Berlin・・・2016/6/16 [オペラ]

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Musikalische Leitung Roberto Rizzi Brignoli
nach einer Inszenierung von Hans Neuenfels

Gräfin Leonora Angela Meade
Inez Rebecca Jo Loeb
Graf Luna Dalibor Jenis
Ferrando Marko Mimica
Azucena Dana Beth Miller
Manrico Carlo Ventre
Ruiz Burkhard Ulrich
Ein Zigeuner Hong-Kyun Oh
Ein Bote Sungjin Kown

 ありえないほどおぞましい内容である一方で、音楽は軽妙にオチャラケた部分もあるこの作品。数あるヴェルディの作品の中でも演出にいろいろ変化をつける余地があるのは魅力です。この公演は子供に話す怖い話といった趣あり、陳腐な発想もありでした。

 まずもって、ノイエンフェルスのキッチュな演出が面白すぎ!何が面白いって、バイロイトのねずみと同じく、この作品でもコーラスがやらかしてくれます。全員長い白鬚、黒頭巾、カボチャパンツという姿だけで十分にキッチュで面白いのですが、奇妙な恰好でウジョウジョと動くとまるで白鬚虫。
 最もハマったのがレオノーレの歌うDi tale amor・・・の場面。
舞台中央に馬の置物が置かれていて、レオノーレが乗馬をしながら歌っているという設定。当然置物の馬が走るわけはないので、その疾走感をだすために流れる背景の役割を果たすのがコーラスの白鬚虫たち。あるものは手を振りながら、あるものはピョコピョコと飛び跳ねながら左から右へと一人、また一人と流れるという超アナログな演出が可愛すぎる!!音楽自体がギャロップしたくなるような曲、これをブリニョリ率いるオケも実に軽快に演奏し、レオノーレ役のミードが気持ちよいほど正確に小気味よく歌うのも可愛いことといったらこの上なし。この場面だけでも鑑賞できた甲斐があったというものでした。

 数々の意味不明や突っ込みどころは・・・・何故ルーナとマンリーコが闘牛士のような恰好なのか?Torobadour,Treadore・・・・確かに似てるかも?などと一人ボケツッコミ状態。ルーナ伯爵の少年期やアズチーナの母親が焼かれてしまう場面などは背後で黙役が演じるのですが、それがほとんど学芸会。おまけにルーナ伯爵がレオノーレに迫る場面では牛の肉塊の中に裸の女体が隠れているような絵が背後にあって、肉欲そのまま。
 まるで悪のり学生の発想をそのまま大劇場のプロの公演でやっているような、徹底したアナログ手法の演出には一種の潔さを感じてしまいました。それでもルーナ伯爵が生まれつき足が悪く、父親から見放されて育ったという設定で、後をひくような悲劇に仕立てているのは悲劇として押さえるべきところは押さえているといったところ。
 
 歌手の人たちにはそれほど負担のない演出に思えましたが、どちらかというと女性歌手陣のほうが光ってました。
 唯一演技で変わった動きが必要だったのはアズチーナ役。そのアズチーナ役だけはアンサンブルの人のようで、すごく慣れた感じで好演してました。
 ミードはもっと大柄な人かと想像していたところ、背丈はそれほどでもなく、演出のせいもあって、正確に歌う様はまるでテープレコーダー内蔵のお人形さんのように可愛いという印象。
 イェニスは生まれつき足の悪い兄ちゃんで父親から疎まれて育ったという複雑な設定もあってか、傲慢な印象は希薄。結末は書かないでおきますが、本来のトロヴァトーレとは異なる哀れを誘ってました。
 ヴェントレはバカッパレのテノール声ではありませんが、荒々しい歌いっぷりで悪くなかったです。

 音響に不安のあるDOBですが、上手さなど不要、『トロヴァトーレ』の醍醐味である庶民的な演奏のドンチャカ感はバッチリでした。


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