SSブログ

イポリトとアリシ・・Palais Garnier・・2012/7/4 [オペラ]

BLOG6818.JPG
照明が暗くて写真は全滅、残念(´;ω;`)

Emmanuelle Haïm Conductor
Ivan Alexandre Stage director

Sarah Connolly Phèdre
Anne-Catherine Gillet Aricie
Andrea Hill Diane
Jaël Azzaretti L’Amour / Une Prêtresse / Une Matelote
Salomé Haller Oenone
Marc Mauillon Tisiphone
Aurélia Legay La Grande Prêtresse de Diane / Une Chasseresse / Une Prêtresse
Topi Lehtipuu Hippolyte
Stéphane Degout Thésée
François Lis Pluton / Jupiter
Aimery Lefèvre Arcas / Deuxième Parque
Manuel Nuñez Camelino Un Suivant / Mercure
Jérôme Varnier Neptune / Troisième Parque

Orchestre et choeur du Concert d’Astrée

演出は紙芝居様式
豪華な衣装は伝統的技術とセンスと細部までのこだわりが感じられ見事です。
男性コーラスのベージュの靴の踵の部分だけが緑がかった青というのが凄く素敵で、実際に使用できそうなもので欲しくなってしまいました。
ベージュ、グレー、ブルー、グリーンなどスモーキーなパステルカラーで彩られた絵画のようなセットと、舞台前方下からの照明が幻想的な空間を作り出します。
下からの照明と言えば今は亡き鈴木そのこさん
シワ隠しには効果絶大ですが、登場人物たちがお人形さんのように美しい。
登場人物達は音楽だけの時は自然に動きますが、誰かが歌い始めると、歌っている人以外は同じポーズを取ったまま動きません。
固まったままフリーズした登場人物は照明の効果もあって、厚みがなくなり、背景に溶け込んでしまいます。
歌う人も大きな動きはなく、重唱も一列横並びですが、まるでフラゴナールの絵の中で歌っているような、絵コンテの連続を見ている趣で、一種の様式美として完成されてました。
セットや神々の登場は上から登場したり、下からせり上がってきたり、楽しさもある紙芝居様式です。
時折織り込まれるダンスも優雅
紙芝居演出はヴェルディなどのイタものの場合、退屈なことが多々ありますが、
徹底した豪華紙芝居様式がフレンチバロックの音楽の中で、えも言われぬ美しい舞台を創り上げていたのは新鮮な驚きでした。

指揮のアイムは一昨年の「イドメネオ」ではオケと芸術性で一致することができなかったとして降板してしまったので、今回が初鑑賞ですが、オケは自らが率いるル・コン セール・ダストレエ。
フレンチ・バロックの中でもこのラモーの作品は歴史的に重要な作品で、当時としては画期的な作品で批判もあったそうです。
確かにレシタティフの間もオケが鳴っていて、合唱、ダンスが随所にもりこまれ、バロックの中ではヴァリエーションの豊さと厚みがある印象でした。
なにより印象に残ったのは優美なバロックの音楽と共に流れるフランス語の美しさ
今までフランス語のオペラはいくつか聴いてますが、その発音が少々まったりと感じることもあったのですが、その響きは心地よいかぎりでした。


豪華な衣装に身を包んだ歌手の人達はそれぞれ役にピッタリの声、容姿で好演

一番印象に残ったのはアリシ役のジレ
生き生きとして可憐、
聴いたことがあると思って調べたら『ウェルテル』のゾフィー役で聴いたことのある人でした。
ガルニエで聴くとさらに声が鮮明に、きらきらと輝くように響いてました。

イポリトのレーティプーは容姿爽やか、柔らかい声が初々しさのある好青年

フョードル役コノリーは最初は一人他の登場人物の衣装とは雰囲気が違う赤い衣装を身に付け、怖い印象
絶対に義理の息子であるイポリトを手中におさめてみせるといった執念が現れていたのですが、イポリトを死に追いやってしまった後はガラリと雰囲気を変え、苦しみに懺悔する姿は哀れの極み
その変化が見事でした。

テゼ役のグノーは1975年生まれと若めなのですが、化粧でほほに影をつけ、年齢も王らしく、苦悩の表情をほどこしてました。
声も全く若さをみせないどころか、王の威厳を保ちながらも苦悩するさまがまざまざと伝わります。

キューピット役のアザレッティも可愛らしくお茶目な印象の声でコロラトゥーラもなかなかでした。

このプロダクションは2009年にトゥールーズで初演されたものですが、ガルニエのように伝統的な美しさのある劇場で鑑賞すると視覚的にも音響的にも格別なものに思えました。



nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 6

cachaca

>照明が暗くて写真は全滅
これ、お気持ちわかります。プラハのエステートで観た「リナルド」も同じでした、しかもその照明はろうそく。 パリでは電灯でした?
プラハの場合はバロック時代を再現ということでしたが、同じ意図なんでしょうね。紙芝居的というのも似てます。私はこういうの好きです。

レティプー、ちゃんと声が出てましたか。ウィーンの「コジ」ではさっぱりでした。まぁダルカンジェロと組ませられてたので余計貧弱に聞こえたのかもしれませんが(^^)

ドミンゴがザルツでまた「タメルラーノ」を歌うのは知ってます。歌うからにはちゃんとアジリタをマスターしてもらいたいです。ロンドン公演の新聞レビューにそこが指摘されていました。私は、レビューにオカンムリで降板したのかと思いました(^^)  ザルツではベジュン・メータが出るのに失礼です。
by cachaca (2012-07-16 14:33) 

galahad

これは歴史的上演様式だったんですね。
この頃バロックオペラでこのような様式をとることが増えているようですが、おもしろいと思います。 衣装の色がとってもおフランス色。
by galahad (2012-07-16 20:19) 

kametaro07

cachacaさま
照明がろうそくとは、徹底してますね。
雰囲気がさらに良くなりそうですが、さすがにガルニエはそこまでは無理だったようです。
普通の照明でした。

ガルニエはウィーンに比べると歌手の声が響きます。
レティプーは問題なかったですが、確かに音響によっては響かすことができないタイプかもしれません。

ザルツの『タメルラーノ』は女性歌手陣はベルサイユと同じですが、男性は全員変わります。
ドミンゴさまがどうであれ^^;楽しみにしたいと思います。
by kametaro07 (2012-07-16 21:41) 

kametaro07

galahadさま
これが当時のオペラ公演の様式なのですね。
今は舞台の装置が整っていますから、上から降りてきたり、下からせり上がったりも簡単ですが、当時も同じようにできたのかしら?
もしかすると上からといってもそうそう何回も降りてくるものではなかったかもしれませんね。
舞台美術は本当におフランスの香り一杯でした。
by kametaro07 (2012-07-16 21:48) 

レイネ

紙芝居様式という命名、なかなか的を得てます!通常はHistorically Informed Performance(HIP)と呼びますが。バロック時代には人海戦術と当時の最新メカを駆使した舞台装置にバロック・ジェスチャーおよびダンスでやってたわけですが、こういう徹底したHIPは現在なかなか上演機会が少ないので、折りあれば実演鑑賞したいと願っているんです。だから、ご覧になったkametaroさんがとてもうらやましいです。
会場の雰囲気も重要だから、ヴェルサイユだったらもっとよかったかも。
主役歌手達も皆はまり役だったことでしょう。

これと『アラベラ』、それとも『タメルラーノ』@ヴェルサイユと組み合わせてパリ遠征を狙ってたんですが、アムスの『パルジファル』も含めて全て行きそびれてしまいました。kametaroさんの行動力には脱帽です。
わたしのデュモー選手の『タメルラーノ』レポも待ってます!
by レイネ (2012-07-30 11:30) 

kametaro07

レイネさま
HIPと言うのですね。
滅多に見ることができないとのことですが、豪華な衣装といい、これだけ徹底した演出はそうそうお目にかかれるものでないことは想像できました。
今回の旅行はこの公演とベルサイユでフランスの代表的な指揮者&古楽オケを聴けたことも大満足、
そしてレイネさんのデュモー選手を初めて聴けたことにも大満足!
劇場もオケも演出も、フランスのバロックは注目に値するものですね。
by kametaro07 (2012-07-30 21:47) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0