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マクロプロス事件・・・Grosses Festspielhaus・・2011/8/10 [オペラ]

DSCF6646.JPG
演出家チーム、マルターラー、デノケ、サロネン、ヴェリー
Esa-Pekka Salonen, Conductor
Christoph Marthaler, Stage Director

Angela Denoke, Emilia Marty
Raymond Very, Albert Gregor
Peter Hoare, Vítek, A paralegal
Jurgita Adamonytė, Krista, his daughter
Johan Reuter, Jaroslav Prus
Aleš Briscein, Janek, his son
Jochen Schmeckenbecher, Dr. Kolenatý, a lawyer
Linda Ormiston, A Scottish maid (Uklízečka/Komorná)
Peter Lobert, A conscientious objector (Strojník/Lékar)
Ryland Davies, Hauk-Šendorf
Sasha Rau, Jin Ling
Silvia Fenz, Mary Long
Anita Stadler, Anita Stadler
Vienna Philharmonic
Concert Association of the Vienna State Opera Chorus

ヤナーチェクのオペラは初めて聴きます。
ちょっと難解な作品だと思いますが、歌というより台詞をメロディーをつけているといった作品です。
サロネン指揮の演奏はその独特の美しさと緊張感をドラマチックに創り上げていました。

3幕ありますが、休憩なしで舞台換えもありません。
マルターラーの演出は随所にユーモアが仕掛けられてます。

演奏が始まる前に一人舞台に現れてオケピットを上から覗き見状態で固まる。
舞台中央奥は裁判所、手前に長いテーブルが置かれた弁護士事務所、
上手は待合室?舞台下手は病院?病室のように扉が並び、一番手前に透明な喫煙ボックス。
入院患者か?看護婦か?白いワンピース姿の若い女性と老婆が現れ、喫煙ボックス内で二人が井戸端会議ならぬ喫煙所会議。
舞台で声を発することはなく、字幕に話している内容が映し出されます。

その一部を紹介すると・・・
若「人生なんて短いものだわ。何も為すことなく、何も得ることなく終わるのよ。」
老「あんた、あたしをいじめてるの?」
若「300年は必要ね。最初の100年は成長、次の100年は労働、次の100年は使命を果たす」
老「最後の100年は社会保障で暮らすんでしょ。
  それでそういう人を選ぶのは誰?スウェーデンアカデミー?」
若「どうでも良いことよ。あなたは選ばれないから」
・・・・・・・・・・

この寸劇に観客からは始まる前から笑いがこぼれます。
幕間の時間でもちょっとした寸劇あり、コロコロした掃除婦と大柄スキンヘッドの警備員だか?管理人のような人が登場し、お互いにらめっこパフォーマンス???等々・・・・
後半は舞台が進行する中、最初に出てきた老婆をスキンヘッドが何度も部屋まで迎えにきたり、さまざまな花束を何回も部屋に持ってきたり・・・同じ動作が舞台下手で繰り返され・・・

老婆はこの演出のキーパーソン。
老婆と若い女性は最後にも喫煙ボックスに登場し、なぜか若い女性は倒れ、医者のスキンヘッドは喫煙ボックスに駆け込んできます。
でもスキンヘッドが手当てをするのはピンピンしている老婆。
老婆が倒れている若い女性を指差してもスキンヘッドは若い女性には目もくれず、無視。
老婆を抱きかかえて喫煙ボックスから出てしまいます。
ムクっと起き上がってガラスにへばりつく若い女性。
人生は限りがあるから美しい・・・
300年生きたって孤独なだけ・・・・

もともと荒唐無稽な話なので、風刺も交えたユーモアのセンスは程よい遊び心にも思えましたが、歌っている間に舞台端とはいえ色々仕掛けがあるのは少々気が散るし、説明過多と思わなくもない・・・・。
でも気が散ってもなんのその・・・デノケのインパクトは凄いものがありました。

オケが鳴らしても、こともなげに艶と張りのある声を響かせるデノケ!
さすが300年生きる人は違う!
魅惑のオペラ歌手、何人もの男を虜にする圧倒的な力を放ってました。

脇ではグレゴル役のヴェリーがエミリアに惹かれながらもエミリアからは子ども扱いしかされない、ちょっと情けないキャラを好演していたのが印象に残りました。

デノケに最大の賞賛があったのはいうまでもありません。
次にサロネン。
この日はプレミアだったのですが、演出家チームにもブラヴォーで観客はユーモアを高評価していました。

人生は限りがあるから美しい・・・
ふ~~~ん・・・
[猫]だったら長寿薬の処方箋、燃やさないなー・・・・
孤独がなんだ!
長生きしよう!


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コメント 12

hbrmrs

こんにちは。今、ちょうど当方のブログでこの公演についての鑑賞記をようやくアップしました。
書き終えた後にこちらにお寄りしてkametaroさんの記事を改めて読み、「気が散るし、説明過多だが、気が散ってもなんのその、デノケのインパクトはすごいものがあった」というのが、「ああ、全く同じ感想だなあ」でした(笑)。「さすが300年生きる人は違う!」はウケました。

デノケは日本に来ない(今のところ)歌手なので、現地で見られたのはラッキーだと思います。
そうそう、彼女のレパートリーにはクンドリも入っていますよ。

ヤナーチェクのオペラ、気に入りましたか?私は結構好きです。ハマります。


by hbrmrs (2011-09-04 11:04) 

kametaro07

hbrmrsさま
こんにちは。
デノケは初めて聴いたのですが、噂以上の圧倒的な存在感でした。
クンドリは1月にハンブルグでフォークトと一緒に歌ってたので行こうかと思ったのですが、残念ながら行けませんでした。
もっと聴きたい人ですね。
ヤナーチェクのオペラももっと聴きたいですが、マクロプロスはデノケで聴いたら他の人では物足りなくなるかも?
by kametaro07 (2011-09-04 20:16) 

サンフランシスコ人

マクロプロス事件をサンフランシスコのオペラハウスで観たことがあります....

http://archive.sfopera.com/reports/rptOpera-id407.pdf
by サンフランシスコ人 (2019-01-05 07:32) 

kametaro07

サンフランシスコ人さま
 懐かしい記事にコメントありがとうございます。添付のURLは更に前の公演ですね。その頃はまだオペラに興味がなかったのですが、きっと良い公演だったことでしょう。
by kametaro07 (2019-01-08 17:41) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコ歌劇場の首席客演指揮者のチャールズ・マッケラスのヤナーチェクでした....
by サンフランシスコ人 (2019-01-09 04:19) 

kametaro07

サンフランシスコ人さま
 マッケラスはヤナーチェクで評価が高いそうですね。私は残念ながら聴く機会がないまま逝去されてしまいました。
by kametaro07 (2019-01-21 17:31) 

サンフランシスコ人

チャールズ・マッケラスの『蝶々夫人』もサンフランシスコのオペラハウスで観ました....

http://archive.sfopera.com/reports/rptOpera-id320.pdf
by サンフランシスコ人 (2019-01-23 06:51) 

kametaro07

サンフランシスコ人さま
 放置癖がついてしまい、申し訳ございません。
良い公演をたくさんご覧になっているようで羨ましいです。
by kametaro07 (2019-03-15 19:57) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコ人も大仰天..

http://operawire.com/pacific-opera-project-to-present-madama-butterfly-in-japanese-english/

来月、ロサンゼルスで、日本語と英語の「蝶々夫人」....

by サンフランシスコ人 (2019-03-18 04:44) 

kametaro07

サンフランシスコ人さま
 情報ありがとうございます。ネコも大仰天・・
by kametaro07 (2019-03-20 23:46) 

サンフランシスコ人

4/9 写真付き記事があります..

http://www.sfcv.org/reviews/pacific-opera-project/its-one-fine-day-for-pacific-opera-projects-madama-butterfly

It’s “One fine day” for Pacific Opera Project’s Madama Butterfly
By Jim Farber ,
April 9, 2019
Pacific Opera Project
by サンフランシスコ人 (2019-04-10 07:16) 

kametaro07

サンフランシスコ人さま
 記事ありがとうございます。
 日本語と英語の「蝶々夫人」は上演に至るまで大変な作業だったかと想像できますが、異なる言語で歌うことで二人の距離がいかに離れているか実感できるというのはなるほどと思えます。
by kametaro07 (2019-05-06 23:55) 

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