SSブログ

コジ・ファン・トゥッテ・・・Haus für Mozart・・・2011/8/7 [オペラ]

BLOG6585.JPG
プロハスカ、モルトマン、ベングッソン、ミンコフスキ、シュレーダー、ロジェ、スコウフス

Marc Minkowski, Conductor
Claus Guth, Stage Director

Maria Bengtsson, Fiordiligi
Michèle Losier, Dorabella
Alek Shrader, Ferrando
Christopher Maltman, Guglielmo
Bo Skovhus, Don Alfonso
Anna Prohaska, Despina
Les Musiciens du Louvre • Grenoble
Concert Association of the Vienna State Opera Chorus

コロコロと転がるように速めのテンポで始まりました。
舞台には二組の男女が並び・・・
はてさていかが相成りますか?とうぞお楽しみに!

ミンコフスキ率いるグルノーブル・ルーヴル宮音楽隊は以前から聴いてみたかったのでした。
1幕のしめくくりも早めのテンポで、さーてこれからまだまだ話は転がるのですヨ、と興味をそそらせてくれます。
全体を通して、テンポ、間合い、抑揚等全てに変化に富んだ演奏で、それが歌や演技とピッタリ合っているので厭きることなく楽しませてくれました。
古楽器オーケストラということですが、印象として現代的、且つパワフルな作品に仕上げていて、
歌も恋人達はそれぞれの気持ちのままに強弱を激しく、感情のぶつけ合いはガチンコ勝負!です。

演出はモノトーンでシンプル&スタイリッシュ。
最初は恋人達の純粋、潔白な心を象徴するようにセットは真っ白な家の内部です。
恋人達はカジュアルな衣装ですが・・・
黒いカラスが二羽・・・・アルフォンソとデスピーナの二人・・・マトリックスをパクッたに違いないという真っ黒な衣装で背中に大きな羽をつけている様はいかにも・・・ですが、かっこよい!
男子二人も変装すると黒い衣装に・・・。
背後の壁が少し開くと森が見えるのですが、ニ幕では森が白い家の内部に侵入、女子二人は開放感に浸るように下着姿になって泥を身体に塗りたくり、白い壁にも泥でSiと落書き・・・
白から黒の世界に足を踏み入れていってしまうのですよ・・・・。
二羽のカラスはしてやったり・・・と。

歌手の演技も整然とした機械的な動きあり、感情のおもむくままといった大袈裟なドタバタあり、
時にアルフォンソとデスピーナ、フェルランドとグリエルモ、フィオルディリージとドラベッラ、あるいはペア同士がなにげなくシンクロする振り付けがあったりと、こちらも変化に富んだおもしろさに溢れてます。

一幕で際立っていたのはカラス二羽・・・アルフォンソとデスピーナ。

スコウフスはマトリックス・カラス姿も異常にかっこよいのですが、その声の存在感たるや、この話を牛耳るキーパーソンに相応しい風格、いかにも曲者といった印象です。

デスピーナ役のプロハスカは声がお調子もののかわいらしい雰囲気があってイメージがピッタリのハマリ役。

でも目立っていたのはこの二人だけで終わりませんでした。
2幕になると恋人達の本気の感情のぶつかり合いに焦点が移っていきます。

実は飛行機の中で2008年のザルツのドンジョをやっていて、そのタイトルロールがモルトマンだったのですが、なかなか良くて機会があれば聴いてみたいと思ったのでした。(ちなみにこのドンジョのレポレッロはシュロット、マゼットはエスポジート)
この時はこのコジに出演しているとは気づいてなく、気づいた時にはすごく得した気分^^。
なおかつ、このモルトマン、スカラとリンデンの共同制作のドンジョでリンデンでタイトル・ロールを歌う人ではありませんか!こちらもレポレッロはシュロットですが、なるほど納得です。
強弱を激しく歌うと書きましたが、強く歌うときの声は人の心にズンと響くような力があります。

そのモルトマンととっても美しいアンサンブルを聞かせてくれたのがシュレーダー。
この二人の声の相性の良さは素晴らしく、重唱の美しさを堪能させてくれました。
大袈裟な演技もイケテます。
重唱はこの二人にスコウフスが加わると更に深い味わいに・・・。

女子が加わってももちろん美しいのですが、
一幕ではフィオルディリージ役のベングッソンがちょっとアンサンブルから浮くような、上ずっているように思えました。
あ!この人フランクフルトでダフネを歌った人だ!と途中で気づき、ダフネの時の方がよかったかな?なんて思ったのは・・・・あー早とちり^^;
ニ幕以降、開放感で心が解き放たれるにしたがって本領発揮といったところで、終わってみると一番印象に残った人です。
もともと滑らかなトリルできれいな発声をする人に思えますが、揺れ動く心を歌う長いアリアはゆっくりと、時に感情が爆発するようにアクセントを強くと観客を魅了、な・なんと拍手のフライングが出てしまいました^^;
ザルツでは珍しいことでしょう。

ドラベッラ役のロジェもトリルがきれい、声が誰とでも馴染むようでアンサンブルの美しさを味わうこの作品にはもってこいの人に思えました。

感情のガチンコ勝負、最後はフィオルディリージがグリエルモに本気のビンタ!
ピシッという音に思わずイタッっと声を出しそうになりましたが、モルトマンは毎回あんなに本気でぶたれているのかしら?痛い公演だわー(vv。。。

そして始まった時と同じように元のペア同士並び、仲良く・・・
いえいえ・・・ナゲヤリ感タップリに歌って・・・
めでたしめでたし・・・・違うヨ・・・とにかく・・・おしまい・・・
あーあ・・・と・・・そりゃそうでしょ。


カーテンコールは大ブラヴィー!
一番はミンコフスキに対してでした。


nice!(0)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 8

galahad

アレック・シュレーダーって、METの「The Audition」でメザミ歌ってハイC決めちゃるぜ!の人ですよね。 彼はミュンヘンでも時々名前を見るしドイツ語圏で活躍するようになったのでしょうか。 
kametaroさんは現地から? ザルツは涼しいかな…こっちは暑すぎ!
by galahad (2011-08-11 21:06) 

Ree

ほぼ1年前に、ザルツブルグ音楽祭の「ディオニソス」の鑑賞レポートにコメントさせて頂きましたReeでございます。

今年もザルツに行かれるとの事で、ブログの更新を楽しみに待っておりました!
今年のコジは、個人的には、何といってもミンコフスキとルーブル宮音楽隊の組み合わせが一番の目玉だと思っているのですが、ミンコフスキのコジが素晴らしい!とのことで、一層楽しみになってきました(来週金曜日に鑑賞予定です)。

モルトマンとプロハスカは昨年は、ザルツでドン・ジョヴァンニ(モルトマンが題名役でプロハスカがチェルリーナ)に出演しているのですよね。
去年のドン・ジョヴァンニも聴いておけば良かったなあ、なんて思ってます。

昨日10日のマクロプロスはいかがでしたでしょうか?
ご鑑賞レポを楽しみに待っております。


by Ree (2011-08-11 21:10) 

cachaca

kametaroさま
>スコウフスはマトリックス・カラス姿も異常にかっこよい
でしょうとも、でしょうとも!!あの長身ですからね....スコウフスとなると興奮気味な私(^^)

>その声の存在感たるや、この話を牛耳るキーパーソンに相応しい風格、いかにも曲者といった印象です。
あのひとを食ったような雰囲気がこの役にぴったりだと思うんです。あー、アメリカまで里帰りするよりこれを観たかった。


by cachaca (2011-08-12 07:31) 

kametaro07

galahadさま
今ザルツの空港で、これから帰るところです。
私がいる間はほとんどお天気が良くないのは普段の行いのせいでしょう。
昨日からお天気が良くなりました。
>アレック・シュレーダー
どこかで聞いた名前だとは思ったのですが、そうですね!
ザルツに出演するようになったのですから大したものです。
頑張ってました。
by kametaro07 (2011-08-12 16:20) 

kametaro07

Reeさま
お久しぶりです。
やはりミンコフスキとルーブル宮音楽隊のコジは外せません。
想像していたよりずっと現代的感覚に仕上がっていて、緩むことなく楽しめたコジでした。
>マクロプロス
演奏もよかったですが、なんといってもデノケ!素晴らしかったです。
演出は例のごとく?というところもあるのですが、思わず苦笑してしまうようなウィットもあり、演出チームにも大ブラボーでした。
お天気も昨日からとっても良くなりました。
どうぞ良いご旅行を!
by kametaro07 (2011-08-12 16:34) 

kametaro07

cachacaさま
>スコウフスとなると興奮気味な私
お気持ち分かります^^。
スコウフスは格が違うといった存在感で実に魅力的な歌声ですから。
ご覧になれる機会がありますように!
by kametaro07 (2011-08-12 16:48) 

Kew Gardens

Kametaroさま、

先日はF2Fでお話できて、とても楽しかったです。 

迷いに迷ったのですが、15日の公演を鑑賞してきました。 結果は、ちょっと微妙・・・。

一番の収穫は、生で初めて聞いたモルトマン。 とても素晴らしかったです。一番声も出ていましたが、自然な発生と豊かな声量で、低音の魅力たっぷり。 弱いのです私、こういう方に。

モルトマンとの重唱が美しかったシュレーダー君は、今回Salzburgとロールのダブルデビューだそうです。 Auditionのイメージが強かったので、今回はちょっとおとなしめだったかしら。 いずれにせよ、これからの人ですね。

そうそう、この日も拍手のフライングがありました。 Salzburgでも! と驚きましたが、確かにオケもなっていなかったので、初めての人はわからなかったかもしれません。 

そして、肝心のミンコフスキとルーブル宮音楽隊ですが、やはり私には合わなかったです。 以前経験したような歌手を無視したということは、勿論なかったですけれど、特にAct 1はころげるように走るオケに歌手が必死でついていっているように感じられました。 ま、趣味があわないということでしょう。

by Kew Gardens (2011-08-16 23:15) 

kametaro07

Kew Gardensさま
こちらこそお会いできて嬉しかったです。
>モルトマン
良いですよねー。
低音の魅力はさすがザルツやリンデンでドンジョのタイトルロールを歌う人だと思いました。
>シュレーダー君
モルトマンとの声の相性でキャスティングされたのではないか?と勘ぐったりしてます^^;
>ミンコフスキ
テンポをかなり揺らすので好き嫌いが分かれてしまうのでしょうね。
by kametaro07 (2011-08-17 00:26) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0