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ワルキューレ・・・Teatro alla Scala・・・2010/12/17 [オペラ]

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この日は雪、大聖堂前にはティファニーの箱に囲まれたツリーが・・・・・
夜にはライティングされてました。
Conductor Daniel Barenboim
Staging Guy Cassiers
Sets Guy Cassiers and Enrico Bagnoli
Costumes Tim van Steenbergen
Lights Enrico Bagnoli
Video design Arjen Klerkx and Kurt D’Haeseleer
Choreography Csilla Lakatos

Siegmund Simon O’Neill
Hunding John Tomlinson
Wotan Vitalij Kowaljow
Sieglinde Waltraud Meier
Brünnhilde Nina Stemme
Fricka Ekaterina Gubanova

素晴らしい!
観終わった後、アンコールで最初からまた観たいと思ってしまいました^^;

席は平土間後方。
「ラインの黄金」でサイドから見下ろすような席で、背景が目に入らず、演出の良さがわからなかったので、今度は正面から見たいと思ったのですが、販売開始の段階から残席が少なく、そういった席は平土間後方に20席もありませんでした。
これは無理かも・・・集中アクセスのせいでネットの反応も遅く、ドキドキ・・・あら?!最後画面がフリーズしてエラー表示!諦めかけたのですが、購入確認メールが来ていたので胸をなでおろしました。
相変わらずチケット・ゲット能力は相当高いものがあります^^;

バレンボイムはプレミエ初日、政府要人、各界セレブが集まる中、援助縮小に抗議するスピーチをして拍手喝采だったそうですが、今日も登場時から観客の凄い拍手です。
それでもリンデンで登場時からブラヴォーが飛び交うのに比べたら大人しいもの・・・・。
しかし、この後、1幕終了後にはブラヴォーの声が、その後、2幕、3幕とその賞賛の声は増していくのでした。

平土間なので、音はある程度覚悟はしてましたが、オケの演奏の音が響いてきません。
リンデンではしっとり艶やかな音が渦をまき、その迫力にアップアップすることさえあるので、鑑賞後はいつもバレンボイム特製[猫]のワグナー漬なんて言ってますが、スカラではいくら長い公演でも浅漬けにしか仕上がりません。
そんな音響に最初ちょっと物足りなさがありましたが、それもすぐに払拭してしまいました。
リンデンであろうがスカラであろうが、関係なく、バレンボイムはワグナーの真髄をはっきり、くっきりと浮かび上がらせていました。
バレンボイムの指揮の一振り一振りが緊張感を紡ぎだし、ぐいぐいと観客を「ワルキューレ」の世界へ・・・・
そしてこの「ワルキューレ」の真髄・・・・そーれーはー・・・・[黒ハート][黒ハート]
男女の愛、兄妹愛、姉妹愛、親子愛、それぞれの愛を印象深くつむぎ出す演奏でした。

一方リンデンに比べて秀でているのは平土間でも歌手の声が良く響いてくることです。
リンデンではちょっと歌手の調子が悪いと声はオケの音に飲み込まれてしまいます。
バレンボイムがリンデンの音響がご不満、と聞いたことがあり、その理由がはっきり分からなかったのですが、歌手の声の響き方の違いは大きく、これがご不満の理由と納得しました。
スカラはイタリアオペラの殿堂、歌手に優しい劇場です。
ただ3幕で奥の階段の上で歌わなくてはいけないシーンがあり、どこの歌劇場でもそうかもしれませんが、平土間で聴いていると、奥の上で歌われると響きが悪くなってしまいます。

歌手の人達は皆大活躍。
「ラインの黄金」では男子組の圧勝でしたが、、今回は女子組の勝利!

特にシュテンメ!
登場のHojotoho! Hojotoho! Heiaha! Heiaha! Hojotoho! Heiaha!
研ぎすまされた刃の切れ味!
暗闇に輝く閃光のごとし!
カッコイイ!
しかしシュテンメの良さは切れ味だけではありません。
美しく響く声には意思の強さと優しさがあります。
ブリュンヒルデを歌う歌手の中では細く、繊細な響きで、厚みのある迫力には乏しいかもしれませんが、その優しさこそが「ワルキューレ」の真髄たる[黒ハート][黒ハート]を観客の心に伝え、ジーンとさせてくれます。
ヴォータンが愛してやまない娘であろうことも納得できるものです。

ジークリンデのマイヤーについては改めて書くのも野暮な気がしてきました。
ドイツものの女王としてドイツ語の歌声の響きも美しく、ジークリンデの心のささやき、叫びがあふれでているものです。
最後まで好調で聴かせてくれました。

フリッカのグバノヴァも強く、説得力のある歌唱です。
ヴォータンが説得されてしまうのも納得^^;
スカラ来日公演のアムネリス役でキャスト・チェンジでバレンボイムに急遽呼ばれて歌った人で、ブランゲーネ役でも聴いたことがありますが、どの役でもしっかり役にハマる人です。
バレンボイムの信頼厚く、よく一緒に仕事をするのも分かります。

男子組だって決して悪かったわけではありません。
女子組が素晴らしすぎただけです。

実は20年前にROHでハイティンク指揮の「ワルキューレ」を観たことがあって、その時のフンディングがトムリンソンでした。
残念ながら全く!覚えてません^^;
これは印象が薄かったわけではなくて、その時ヴォータンを歌ったモリスを含め、観たということ以外は覚えてないのです。
20年前ですから当然ですよねー・・・と同意を求めたいところですが、単なる記憶障害でしょうか?^^;
それでも再びトムリンソンを同役で聴けるのは感慨があります。
押しの強い、不気味に響く声は存在感充分です。

ジークムント役のオニールもなかなかの熱演でした。
声に勢い、力強さがあり、同時に素朴さがあります。
その素朴さが時に野暮ったい単純な印象になってしまうこともありますが、それが憐れにつながるところもあって良いのかもしれません。

ヴォータンは「ラインの黄金」では金持ち実業家のようなダブルのスーツ姿でボタンもきっちりと留めていたのですが、今回も似たようなスーツ姿でありながらヨレヨレ感のあるもので、ボタンも留めず・・・。
目の周りのアオタンは顔半分に成長・・・
次の「ジークフリート」のさすらい人では顔ほとんど全部に成長してしまうかもしれません^^;
3幕ではマタギのようにも見えるコート姿で登場でした。
コワリョフのヴォータンはあくまで神々の長としての凄みと威厳を保ちながらも、どこか思い通りにいかない焦燥感、老いのような疲労感をかもしだしています。
最後のクライマックスのブリュンヒルデのやりとりでしっかりとブリュンヒルデを抱く姿には親子の愛情以上に、使命をたくすという印象が強く残ります。

演出はモダンで抽象的ですが、雰囲気が良く、観ていて集中できました。
特に3幕の演出は印象的。
ワルキューレの騎行が流れる中、背景には馬や人間のシルエットが歪み、変化し続ける映像が映し出され、舞台には岩山のように複雑に階段が設けられています。
ワルキューレ達の衣装が素晴らしく、たっぷりとしたスカートの黒いロングドレスは後ろの裾をひきずるエレガントなものです。
ブリュンヒルデが父の命に背いたと知って歌いながら階段を右往左往、上り下りと動き回る8人のドレス姿のワルキューレ達のなんと美しく優雅なこと!
しかし一人転倒!
イタ~~~イ!ですが、ドレス姿だとそれも優雅、むしろそれだけ動揺しているのだと思わせる演出になってました。
裾を引きずるほどのドレスで8人ものワルキューレが動くので自分自身はもちろん、他の人の裾まで気をつけながら歌い、動かなくてはいけないので大変でしょう。
まだ階段下の方で転んだから良かったです。
上で転んだらワルキューレのドミノ倒しになってしまいますから・・・^^;
ブリュンヒルデだけドレスのスカートを後ろでたくし上げてまとめたような・・・みなしごハッチのようにも見える^^;姿ですが、ヴォータンが現れるときに他のワルキューレ達がかばってブリュンヒルデを取り囲みます。
何とか父とブリュンヒルデをとりなそうとする姉妹愛もドレス姿と音楽で若草物語のような美しさがありました。
次にブリュンヒルデが姿を現すと後ろにベールのような長い布が・・・・ミューズのようです。
そのベールを敷いてブリュンヒルデは深い眠りにつき、上から火を表す赤色のライトがブリュンヒルデを囲むように降りてきます。
このライトがちょっとチャチに見えるのだけが難ではありますが・・・・・ライトから水が滴り落ちるのは不思議・・・。

終了後は賞賛の嵐・・・・。

さてこの公演には当然ヨーロッパ各地から観客が集まってきていて、耳に入る言葉もイタリア語だけでなく、ドイツ語、フランス語と各国の言葉が耳に入ります。
[猫]の列はフランスからの方々が多く、お隣のマダムとお話したのですが、2泊3日のチケット付きのツアーに申し込んだとのこと。
「たまには贅沢しなくちゃね。」と仰っていましたが、ヨーロッパではこうしてチケット付きのツアーとして販売することが多く、そのチケットが余るとネット上で販売されます。
ですから、一度売り切れても再び販売されていることが散見されます。
諦めずに頻繁にチェックしていれば、チケット入手はそれほど難しくなさそうでした。


4月にはベルリンで上演されますが、ブリュンヒルデはテオリン、ジークリンデはアンヤ・カンペ、そしてヴォータンはパーペです。
シュテンメとテオリンでは随分印象が異なるものとなるでしょう。
リンデンのアップアップするような音響で聴きたいと思っても、既にリンデンはなく、シラー劇場での上演になってしまいますが・・・。

今回シュテンメを聴けたことは凄くうれしく・・・・またこれでスケジュールをチェックしなくてはいけない人が増えたような・・・・イカンイカン・・・・^^;
画像 1298.jpg
写真は見事に失敗
シュテンメ、バレンボイム、マイヤー、コワリョフ







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左二人のワルキューレ達のドレス、ピンボケでもその美しさがわかってもらえるでしょうか?
シュテンメ、バレンボイム、マイヤー


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galahad

お帰りなさ~い。 kametaroさんと私のツリー写真の天気の違い! 雪のドゥオーモも綺麗ですけど連日零下気温はたいへんでしたね。

シュテンメのブリュンヒルデとワルキューレたちも綺麗でした。 優雅なワルキューレたちにはうっとりしましたが、コケる危険があるんですね。
パーペは降板してしまったけど彼がこれに出るとそもそも言わなかったら、私はスカラに行かなかったと思います。 シュテンメのブリュンヒルデを見る機会を作ってくれたということでは彼に感謝しています。
「かみたそ」でも彼女、ブリュンヒルデかしら? ぜひ聴きたいと思います。
by galahad (2010-12-25 10:35) 

kametaro07

galahadさま
真っ青な空にツリー!きれいですねー。
前日は晴れてたのですが、この日は夜にようやく雪が止みました。

>シュテンメのブリュンヒルデ
良かったですよねー。
「かみたそ」も出演することを願いましょう。
「ジークフリート」はいいのですか?
さすらいパーペも出演するんじゃないですかね。
でもパーペもシュテンメも出演するとしても出番が少ないか・・・・(vv;

by kametaro07 (2010-12-25 23:34) 

alice

お帰りなさい~♪

札幌も真っ青(まだ雪が少ないの)のミラノの雪景色にびっくりです。

トムリンソンは8年前ミラノでヴォータンを聴いたことがありました。あの頃でもそろそろ終わりかな~と老いを感じたのですが、まだ頑張ってて立派ですね。あのあとワルキューレはご無沙汰してるので、4月のMETが楽しみ!(って、こればっかり 汗)

シュテンメ、聴いたことがない(と思う)ので、皆さんの絶賛の声をお聴きして、いつかどこかでお目に(お耳に)かかりたい!です。

来年の計画はいかがですか?どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
by alice (2010-12-26 16:40) 

kametaro07

aliceさま
ナイスありがとうございます。
今回は寒くて寒くて0度を超えた日はありませんでした。
それでもなんのトラブルなく帰ってこれてホッとしてます。

シュテンメは機会があったらぜひ!

>4月のMETが楽しみ!
METでしか味わえないワルキューレでしょうね。
ワルキューレはライブビューイングで我慢・・・ですが、一足お先にオリーを観に行きます^^。
どうぞ良いお年をお迎えください。
by kametaro07 (2010-12-26 23:59) 

ゆみゆみ

先程テレビでスカラ座のことを放送していて、カメタロウさんがいらした公演だ!!と思いながら見ていました。
1番驚いたのはやはりシュテンメでした。
夏の「フィデリオ」では、歌に表情が乏しく、歌唱はしっかりしていても、無表情では、オペラにならんだろう?と感じましたから、本当に驚きました。やはり、演目によって違う(当然でしょうが)のですね!!
フリッカも私が苦手な、グヴァノヴァさんだとは・・・。
テレビでは、火のシーンも幻想的でした。良い物をご覧になったのだな~。と思いながら見ておりました。

初日以外は、ドレスアップしなくても宜しいのでしょうか?
初日のお洒落度は、凄いです。
本当は初日の「ドンジョ」へ潜り込みたかったのですが、
ドレスは無理・チケット取れそうに無い。
で早々と諦めました。
11月のチケット発売から12月の出発までにチケットが取れていないと不安だな~。
何処かに 「冬はオペラを見ない」と書き込んだような・・・・。
by ゆみゆみ (2011-01-08 23:54) 

kametaro07

ゆみゆみさま
>1番驚いたのはやはりシュテンメでした。
素晴らしかったですよ。
歌手さんは演目もあるでしょうが、その時の調子、演出、演奏などで随分印象が変わりますね。
グヴァノヴァはワグナーの方が良いような気がします。

>初日のお洒落度は、凄いです。
初日はセレブの集いですから・・・。
チケットが桁違いなので初日の方が意外と取りやすいのですが、チケット一枚でもう一度海外旅行できます。
初日以外はロングドレスの方はほとんど見かけませんでしたが、もちろん常識的なお洒落は心がけたい場所です。

by kametaro07 (2011-01-09 15:13) 

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