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椿姫・・・ROH日本公演・NHKホール・・・2010/9/22 [オペラ]

椿姫/ジュゼッペ・ヴェルディ

指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:リチャード・エア
アソシエイト・ディレクター:ポール・ヒギンズ
美術:ボブ・クローリー
照明:ジーン・カルマン
振付:ジェーン・ギブソン

ヴィオレッタ・ヴァレリー:アンナ・ネトレプコ
フローラ・ベルヴォワ:カイ・リューテル
ドビニー侯爵:リン・チャンガン
ドゥフォール男爵:エイドリアン・クラーク
医師グランヴィル:リチャード・ウィーゴールド
ガストン子爵:パク・ジミン
アルフレード・ジェルモン:ジェームズ・ヴァレンティ
アンニーナ:サラ・プリング
ジュゼッペ:二―ル・ギレスピー
ジョルジョ・ジェルモン:サイモン・キーンリサイド
使いの男:シャルベル・マター
フローラの召使い:ジョナサン・コード

ROH渾身の椿姫!でしたが・・・・前書きが長くなります・・・悪しからず^^;

ゲオルギュー降板のニュースでブツブツ言ってた[猫]・・・
もともとゲオルギューだって一度は聴いてみたいと思っただけですが・・・。
その後最終日はネトレプコが歌うという噂が流れても・・・誰か歌うよ・・・とナゲヤリ・・・。
ヤオかも?ネトレプコかも?他の誰かかも?
なんて思っていたら初日から思わぬヤオの不調、途中降板でペレス登場。
ペレスかも?まで加わり・・・
どの鴨でもいいけど、19000円分のネギに見合う味わいを出して下さいよ・・・どうかひとつ・・・。

[猫]は全くKY、空気よめない・・・というか読まないのでこんなバカバカしいことを平気で書きます。

3回目の公演で更に大荒れの展開になってしまったそうで・・・最終公演にネトレプコが出演することになったことも・・・他の公演しか観れなかった人達にとっては不満がつのっただけかもしれません。

この最終公演、[猫]にとっては再び願ったり叶ったりになってしまったわけですが・・・・
ネトレプコにはかつて3回キャンセルされてます。
ご懐妊がらみもあるので仕方ないと思ってますけどね。
そのうちの一回が・・・
2008年1月「椿姫」 ネトレプコ・・・ヤオ
そして今回 ゲオルギュー・・・ヤオ・・・ネトレプコ
3回キャンセルのうち一回くらい返ってきたってなんの不思議もないでしょ!

何が言いたいかというと、オペラにはキャンセルや急な不調などのアクシデントはつきもの・・・ツイテナイ時もあればツイテル時もある。
今回不満の残った方々、そのうち思わぬ良いことにめぐり合えます!

そんなにオペラを観る機会がないという人には他の何らかの形で良いことがあります!

だいたい[猫]なんてオペラで最近ツイテルなんて思ったら・・・顔面骨折という憂き目に合うし・・・・。

顔面骨折してネトレプコのヴィオレッタを聴けるのと・・・
元気だけどネトレプコのヴィオレッタは聴けなかったのと・・・
どっち取るって言ったら後者の方がイイに決まってるでしょ!

全くネトレプコが聴けたくらいじゃ納得しないんだな・・・[猫]は・・・・オペラ以外にももっと良いことがないと!

しかし、顔面骨折してもネトレプコが聴きたい!という人もいるかもしれませんねー・・・^^;

ネトレプコ出演ということで会場は一杯になるかと思っていたのですが、2階席後方、3階席にも空席があったのは意外でした。
尚、カメラを回していましたが、この公演がが放映されるのかは分かりかねます。
(コメントをいただいたのですが、記録用のカメラで放送用の収録ではないそうです)

公演が始まる前にROH代表から挨拶があり、当然通訳の人も一緒に付き添っていたのですが、通訳というより原稿を用意して読み上げるという形でした。
「ゲオルギュー降板でスターのソプラノを探すのに大変困難を極めましたが、マノンを歌い終えたネトレプコが依頼に応えてくれました」・・・・観客の拍手。
しかし!演目を決めたりキャストを決めたりする時に、主役がキャンセルしたら大変だっていうことは分かってたでしょうに!・・・今度日本公演をやる機会には演目、キャスティングには要注意でお願いします!・・・と心の中でブツブツ言う。
当然ながらヤオやペレスについては一切触れず・・・不調にもかかわらず、歌わざるをえなかったヤオさんが一番辛い立場だったでしょう・・・ヤオさんにも良いことがありますように!

さてようやく公演の感想・・・

パッパーノの「椿姫」はROHで一度聴いたことがありますが、この日本公演に懸ける意気込みが伝わるような、よりドラマチックな演奏となりました。
聴かせるところはゆーっくり、テンポを変え、間合いと溜めを効かせながら、これがROHの「椿姫」だといわんばかりの、意地と気迫に満ちた指揮ぶりでした。

ネトレプコは最初こそ声が少し重く感じられ、音程が不安定だったり、演奏と合ってないような部分があり、マノンに集中した後、中一日では難しい・・・歌ってくれるだけで感謝しなくては・・・と思っっていたのですが・・・・・
その伸びやかな歌声にはどんどん惹きつけられていきました。
この歌声の何がそんなに人を魅了するのだろう・・・と聴き入ってましたが、艶のあるまろやかさの中に、どこかおおらかさ、純粋さがあって、しかも気持ちよいほど良く通る。
さらにヴィブラートがその純粋な響きに憂いをもたらしているように思えました。
聴かせどころの「花から花へ」はコロラトゥーラこそトリノ来日公演で歌ったデセイにはとても及びませんが、これも一昨日まで「マノン」を歌っているのですから望む方が酷でしょう。
それでもその良く通る声の響きは、少々音程が怪しくなっても、コロラトゥーラが乏しくても、そんなことは問題ではないと思わせるだけの魅力があるのです。
くるくると回りながら歌う姿は華やかさに溢れるとともに、どこか物悲しさの伴う美しさでした。
結局、中一日で違う演目を歌うという疲労感は全く見せることなく、その伸びやかな声は最後まで変わらず、ヴィオレッタになりきって見事に歌いきりました。
以前ネトレプコのヴィオレッタを聴いたことがある人だと、おそらく不満の残る出来でしょうし、ネトレプコ自身も本当はもっと上手に歌えるのよ!という気持ちは絶対にあるはずです。
それでもROHのため、何より日本のファンの為に歌う決断をしてくれたのですから感謝!です。

ネトレプコの存在感に、ジェルモン父さんが出てきた時にはキーンリーサイドだということを忘れてました^^;
その姿を見てもキーンリーサイドだとは全くわからず、しばらく歌ってから、そうだ!キーンリーサイドだった!
パッパーノが聴かせるところはゆっくりと・・・と書きましたが、特にそれが明らかだったのはキーンリーサイドの歌う場面で、父として威厳を保ちながらも、息子への愛情、苦悩がジーンと伝わってくる歌唱です。
姿も演技もその背に哀愁を漂わせ、ここまでジェルモン父がハマる人だとは正直思ってなく、驚きでした。
日本公演「椿姫」全公演のキーパーソンだったであろうことは最後の公演を鑑賞しただけでも推して知るべし・・・です。

ネトレプコとキーンリーサイドの間でオマケになりそうでしたが、背の高さで存在感を示したのがアルフレードのヴァレンティ。
舞台栄えして、すぐにどこにいるか分かり、主役として体格は充分。
歌声は高音に伸びやかさが欲しい・・・というところではありますが、素朴な雰囲気でなかなか頑張ってました。

演出はオーソドックスな美しさがありますが、本場ROHでやる時ほど、ライティングの妙が出せなかったようです。
NHKホールはROHより舞台のサイズが大きいので、セットが舞台の内側に置かれる形になり、効果的にライトを当てることができなかったのでしょう。

カーテンコールはしばらくカーテンが閉じた状態で行われ、ネトレプコには大ブラヴァーだったのは言わずと知れたこと・・・。
カーテンが開くと上に「日本公演成功おめでとうございます」下に「SAYONARA」と看板が置かれ、スタッフ一同が舞台上に・・・会場は拍手とブラヴィーであふれたのでした。

今回ネトレプコはROHの救世主というところでしょう。
ネトレプコについてはこれで4回聴いたことになります。
「椿姫」「マノン」も良かったですが、同様に良かった・・むしろより素晴らしかったと言ってよいのが「愛の妙薬」です。
聴かない方が良かった「ランメルモールのルチア」のとき、ベルカントものは聴かないほうが良いと書いたのですが・・・。
コメディの「愛の妙薬」ではそのまろやかでおおらかなコロラトゥーラ・・・・というかネトレプコ節・・・は他の人では味わえないであろう魅力がありました。

ベルカントものでもコメディでは期待できそうなので、METの「ドン・パスクワーレ」は楽しみにしてます。
もちろん行けませんが、ライブビューイングがありますから^^。



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コメント 14

ゆ

御報告の前段  思わず笑ってしまいました。
本当に仰るとおりでございます。

良い公演に立ち会われて良かったですね。
思えばネと様も出産後は大変な思いをされたわけで、
回復されてきてよかったです。
1日置いて、急に異なる演目を歌えるって凄い事ですね?
私は、音符は入りますが、歌詞はなかなか覚えられなくて。
(私と比べては余りにも失礼でございました)

ロイヤルが18年ぶりと仰っていたかと思います。
いつも来ているように感じるのですが・・・。
あれは、バレエだったのでしょうか?
ロイヤル去って、秋になる。
あっという間の、9月でございました。


by ゆ (2010-09-23 21:06) 

galahad

kametaroさんはソンしたぶんをひとつ返してもらえましたね。^^
思い起こせば約1年前、私はkametaroさんにゲオルギューの悪口なぞを言っていたような…? 今回こんな顛末になるなんて、来日予定の人の悪口は言ってはいけませんね。 オペラ公演にキャンセルはつきものとは思いますが、この対応ってどうなのかな? 来年もたくさん来日公演がありますけど、心配になっちゃいます。 覚悟しておかねば。 代役のヤオさんは気の毒でしたね、具合が悪くなってこれから大丈なのかな…。 

私も「ドン・パスクワーレ」のネトちゃんは楽しみです。(もちろんライブビューイング)
by galahad (2010-09-23 21:28) 

kametaro07

ゆ さま
ゆみゆみさまでらっしゃいますか?
違いましたら申し訳ございません^^;

>思えばネと様も出産後は大変な思いをされたわけで
私は出産前の公演の間引きで2回キャンセルにあってしまいました。
歌う回数を減らした状態だったので、聴けた人もいたわけです。
出産後は具合が悪かったのですか?
それは知りませんでした。

>1日置いて、急に異なる演目を歌えるって凄い事ですね?
それは本当にそう思います。
いくら以前出演したことのある公演でも「マノン」に合わせてずっと調整してきて、たった一日で「椿姫」とは・・・両方ともほとんど出ずっぱりの役ですし・・・。
プロの方でも受けるのは躊躇しますよね。

>ロイヤル去って、秋になる。
ようやくこのまま涼しくなるでしょうか?
10月に衣替えできるでしょうか?はてさて・・・です。
by kametaro07 (2010-09-23 21:58) 

takeuchi

こんにちは。
22日の公演は私も運良く聴くことができました。
初ネトレプコだったのですが、あれでベストでないのですか。おそるべしですね。
テレビカメラ、センターに1台だけ入っていましたが、あれは記録用のもので、放送用ではないですよ。放送するなら最低4台はないと無理ですし、放送収録用のカメラでもありませんでした。
by takeuchi (2010-09-23 22:21) 

kametaro07

galahad さま
>私はkametaroさんにゲオルギューの悪口なぞを言っていたような…?
ハイハイ・・・カツラ事件ですよね。
私はネトレプコの悪口なぞを言っていたような・・・?
だってルチアを聴いた後だったんだも~~~ん。
ようやく分かってきましたネトさんの良さ。
でもルチアを聴きたいとは今でも思いませんけど・・・^^;

>この対応ってどうなのかな?
>代役のヤオさんは気の毒でしたね、具合が悪くなってこれから大丈なのかな…。 
本当に結果論でしかないかもしれませんが、ROHとパッパーノの判断ミスだと思うのです。
他が呼べなくてもその為にペレスがいると思うのですが・・・。
今回無理して歌ったことで回復が遅れるようなことがないことを祈ります。

>来年もたくさん来日公演がありますけど、心配になっちゃいます
今回の件でみんな同じ思いでしょうね。
一番ハラハラしてるのは招聘元かもしれませんが・・・。
by kametaro07 (2010-09-23 22:23) 

dognorah

「ひとつ返してもらった」というのは笑ってしまいました。
ネトレプコファンとしてはまあまあの出来だったようででほっとしています。
ただ、ヴァレンティは他の方の評を読んでもあまりよくなかったようですね。
ROHでゲオルギューと共演した時は結構よかったんですよ。
by dognorah (2010-09-23 22:47) 

kametaro07

takeuchi さま
>あれでベストでないのですか
一昨日「マノン」を歌って中一日とは思えないほど、最後まで伸びのある声で調子は良かったかもしれません。
私も4回しか聴いたことがないので、本当のベストは分からないとしかお答えできなくて恐縮ではありますが・・・^^;
でも「椿姫」を準備している状態でなく、一昨日まで他の公演に集中していた状態でしたから、「椿姫」のヴィオレッタとしてはベストではなかったと想像します。

>テレビカメラ、センターに1台だけ入っていましたが、あれは記録用のもので、放送用ではないですよ。
いつも教えていただき、ありがとうございます。
本文にも書いておきます。
by kametaro07 (2010-09-23 23:01) 

kametaro07

dognorah さま
>「ひとつ返してもらった」というのは笑ってしまいました。
こちらでは今回のゲオルギューの降板に始まった「椿姫」は大波乱になってしまったのですが、やはり高額な公演ですから、不満の声が上がるのは仕方ないというところもあり・・・最後にネトレプコが歌うことになっても不公平感を持つ人もあり・・・でしたが、ふと自分自身のことを思い出してみたら、そんなことはたくさんあったなー・・・と。
それでも不満の声があがるのは仕方ないことでしょうけど・・・。

>ネトレプコ
調子としては凄く良かったのだろうと思います。
中一日でも最後まで伸びやかな声は変わりませんでしたから。

>ヴァレンティは他の方の評を読んでもあまりよくなかったようですね。
私はそれ程悪いとは思いませんでしたが、高音で声質が変わってしまうようなときがあって、ちょっと余裕がないのかな?という雰囲気でした。
by kametaro07 (2010-09-23 23:41) 

momo

16日もテレビカメラは確か1台だけだったかな、、と思うのですが、、、。するとTv放映のはいつ収録したのかしら?椿姫はホントにNHKで放映できるのかしら?
by momo (2010-09-24 08:01) 

ゆみゆみ

恐れ入ります。
ゆ= ゆみゆみ   でございます。
最近PCが遅くなり・勝手に字が変わってしまい・・・。
使い手が怪しいだけに、恐怖のPCとなりました。
by ゆみゆみ (2010-09-24 10:17) 

kametaro07

momo さま
>16日もテレビカメラは確か1台だけだったかな、
16日に収録したのだろうと思ってました。
ROHのホームページからNHKにリンクするようになってますから、放映権は持っているのでしょうが、波乱の展開になってしまって・・・放送しないかも?ですね。
by kametaro07 (2010-09-24 11:17) 

kametaro07

ゆみゆみさま
>最近PCが遅くなり・勝手に字が変わってしまい・・
METのチケット発売日を前に、その状況はツライものが・・・・。
チケット発売日にはPCのご機嫌が良いように祈ってます。
私のPCも怪しい時があるので少々不安です。
by kametaro07 (2010-09-24 11:32) 

hbrmrs

こんにちは。
ネトレプコの急遽出演日に当たってよかったですね。ラッキーだったけど、その分損している事も多々ある、というのは本当にそうで、私もです。オペラを追っかけまわすと、回数に比例して「突然降板」に出くわしますから。

そういえば、kametaroさんは、今回の来日演目、両方とも現地で観ているのですね。すごい。

コメントを書く場所が違っていて恐縮ですが、顔面骨折事件の顛末、ホント申し訳ないけど、面白く(いい意味でですよ)拝読いたしました。海外旅行はどこにトラブルが待ち構えているか、わかりませんよね。
by hbrmrs (2010-09-26 11:31) 

kametaro07

hbrmrs さま
こんにちは^^。
>突然降板
仕方ないことではありますが、目的の人の降板はガッカリ感は否定できませんし、ブツブツ言ってしまいます^^;

>両方とも現地で観ているのですね。
グルベさま、フローレス、パーペの公演を一番の目的に渡欧するのですが、運良く同じ頃にROHでやっていたので観ることができました。

>海外旅行はどこにトラブルが待ち構えているか、
元気で行って帰ってが一番です。
お互い転ばずに^^;オペラ暴走族をつづけましょう。
by kametaro07 (2010-09-26 16:04) 

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