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チェネレントラ・・・Théatre des Champs-Elysées・・・2010/1/30 [オペラ]

CENERENTOLA / Gioacchino Rossini

Michael Güttler, direction
Irina Brook, mise en scène
Noëlle Ginefri, décors
Sylvie Martin-Hyszka, costumes
Cécile Bon, chorégraphie
Concerto Köln
Choeur du Théâtre des Champs-Élysées

Antonino Siragusa, Don Ramiro
Stéphane Degout, Dandini
Pietro Spagnoli, Don Magnifico
Carla Di Censo, Clorinda
Nidia Palacios, Tisbe
Vivica Genaux, Angelina (dite Cendrillon)
Ildebrando D'Arcangelo, Alidoro

[猫]は休暇を終え、日本に帰りました・・・・でもまたパリにお仕事・・・・当然・・・・・ヨレヨレモードが進行し・・・・頭ガンガンモード。

でも楽しみにしてた「チェネレントラ」観て来ました!
画像 797.jpg
シャンゼリゼ劇場はオペラ専用の劇場ではありません。
その為オーケストラボックスは囲いがなく、客席から降りれるようになってます。
最前列の人はちょっと落ち着きませんね。

上を見るとマイクのようなものがぶら下がっているのですが、PA使用の違和感はありませんでした。

指揮者のミヒャエル・ギュットラーは客席の通路を通って入場、オーケストラボックスに降りました。
このギュットラー、新国で10月「フィガロの結婚」の指揮を執る予定です。
背の高いスラーッとした人です。

さて序曲が始まると・・・・へ・・・へ・・・へ・・・へぼい音。。。
コンツェルト ケルンということですが、ウィーン、パリ国立オペラで聴いた直後で[猫][耳]は肥えすぎてしまったのでお許しを^^;

しかし、この後、音なんて気にならなくなります。
演出のおもしろさはオペラとして反則寸前です。

写真のバー・マニフィコの場面から始まりました。

アンジェリーナ役ジュノーはエプロン姿で働いてます。
この人の声のコロコロ感は凄い!
少量の水で高い声を出しながらうがいをしてるように聴こえる時もあるし、コオロギのような虫の鳴き声のように聴こえる時もある・・・・・この技術に敬意と親しみをこめてあだ名をつけさせてもらいます・・・・ヴィヴィカ虫・・・・これはいつもくだらない事を書いて・・無視して下さい・・という虫シリーズではありません。
声質はちょっと鼻にかかったように聴こえる時もあるし、喉の奥でつまったように聴こえる時もありますが、何と言っても特徴はその歌い方。
おそらくこの技術を身に付ける為努力した結果でしょう。口の動き方は唖然!であります。
オペラグラスで見ると口の動き方ばかり気になってしまうので、あまりオペラグラスは使わない方が良いかもしれません。

クロリンダとティスベは肩からタオルを掛けエクササイズの格好で登場。
体当たりの演技で笑いを誘い、好演してました。

スパニョーリ扮するマニフィコ父さん、髪の毛見事に総立ち!!!で登場
それほど短くなく20センチくらいある髪の毛、しかも寝起きだからアッチコッチに総立ちです。
ア~~~~~フィガロであんなにスマートなイケメンオヤジだったのに・・・イメージ吹っ飛びました。
着ていたガウンを脱ぐとサーカーシャツ姿。
歌いながらクロリンダとティスベをヘッドロック!!!
こ・こ・これはドタバタ喜劇か!
その後は見た目スマートなスパニョーリにもどりましたけどね^^;
この演出、どちらかというと歌より演技重視です。
酒蔵の管理人に任命された時に歌うソロでは下に車のついたテーブルの上に乗って登場、その上で歌うのですが、歌い終わらないうちにテーブルを移動しはじめるので、バランスをとりながら歌い続けなくてはいけません。
1幕最後の6重唱ではコーラスの人たちを含め全員が踊るように、いろんなポーズを決めながら、一、ニ小節ごとにポーズを変え続けて歌わなくてはいけません。
これが2人づつシンクロしてる組もあれば、バラバラの人もいる。
これがどうなってるんだろうと気にしてるうちに歌い終わってしまいました^^;
アンジェリーナとアリドーロは完全にシンクロしてましたから、ジュノーとダルカンジェロは振り付けを覚えなくてはいけなかったでしょう。
スパニョーリは一部他の人とシンクロしてたり、単独だったり・・・適当に動いていたと思います。
覚えられないよこんなの・・・と[猫]は思います。
ダンディーニがマニフィコに自分が従者だと打ち明ける場面はサウナのように二人とも裸にタオル姿。
バー・マニフィコに舞台換えのため幕が下りるのですが、マニフィコだけ幕の前に置き去り、帰れなくてどうしようとオロオロ・・・・喜劇でよくある手口ではありますが・・・・。
そして観客や指揮者とフランス語でやり取り・・・[猫]はチンプンカンプンでしたが、バカウケしてました。

シラグーサは普段のまま、スキンヘッドで登場ですが、かっこよいですね。
新国で聴いた時も絶好調でしたが、今回も絶好調。
演出が演技中心でかえって気楽に歌えるのか、思い切り伸び伸びと歌っているように見えました。
ただ演出がオペラとして反則寸前と感じたのはチェネレントラ捜索の場面、ここがシラクーザの聴かせどころというところ。
後ろのスクリーンに地図が現れ、合唱の面々が捜査官になって、おもしろいことをしてしまうため、観客の笑いが被るのです[むかっ(怒り)]
最初のほんの一部なので反則寸前にしておきますが、これ以上被ったらレッドカードです。
もちろん歌った後は大ブラボーでした^^。

このスクリーンはオペラとしてイエローカードもの。
ラミーロとダンディーニがクロリンダとティスベについてやりとりする場面、クロリンダとティスベが鏡にむかって(カメラに向かって)化粧直ししているのがスクリーンにアップで映し出され続けるのです。
観客はそのおかしさに笑いっぱなし、ラミーロとダンディーニのやりとりに気が向かないのです。

同じく演出上、オペラとしてイエローカードものかも?なのがダルカンジェロ扮するアリドーロ。
ダルカンジェロは初めて聴くので楽しみにしてました。
この公演のキーパーソンです。
全く関係ない場面でもすっ呆けてやたらチョロチョロ・・・片足こぎスクーターで後ろを横切ったり、手品みたいなことしたり・・・???
他の人が歌っていようが演技していようが観客はおかしくて笑い出してしまうのです。
もちろん歌は上手でしたけど、それより[猫]の頭の中ではオトボケ・ダルカンジェロというイメージができてしまいました。
これって他の人に言ったら[猫]はとんだマヌケなんじゃない?

ダンディーニ役のデゴー、ラミーロに扮しているときは長髪のカツラをつけ、いかにも金持ち風のコートを身に付け、ハマキを持って登場。
かなり大袈裟な気取り方、声質も気取った感じなので面白かったです。
カツラを取ると、すごく真面目な雰囲気の人なのでマニフィコに打ち明けた時はそのギャップに笑わせられます。

最後ヴィヴィカ虫の聴かせどころはさすがに笑いを誘う演出はありません。
お見事!としか言えないのですが、どうしてもオペラグラスで見たくなる・・・でもやっぱり見ないほうが良いと思いました^^。

ギュットラー指揮の演奏も生き生きと演出を盛り上げてました。

オリジナルはガランチャでしたが、12日まで「カルメン」で30日からこの「チェネレントラ」は絶対無理。
リハーサルに相当時間を費やしているであろう公演です。

スケジュールも演技重視だからこそ1日おきで4公演が可能なのだろうと思いました。

見て大笑いという演出でしたが、オペラハウスとは一味違う雰囲気で、歌手の皆さんも伸び伸びと歌い演技を楽しんでいる気がして、とっても楽しい公演でした^^。

カーテンコールは大ブラビー。
一番はヴィヴィカ虫と演出j家ブルックに対してでした。
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シラグーサ、ジュノー、スパニョーリ










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ディ・チェンソ、デゴー










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ダルカンジェロ、パラチョス











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ギュットラーと一緒に










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ダルカンジェロ、演出家ブルック



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Madokakip

ジュノーはどうだったかなーとわくわくしながら感想をお待ちしておりました。
やはり、あの曲芸のような歌い方に度肝を抜かれましたね!
でも何よりも全体としてとても楽しい舞台だったようで良かったです。
ところで、ゆみゆみさんからメッセージを頂いたのですが、
頂いたアドレスで送信すると、undeliverableということで帰ってきてしまいました。
私のアドレスはmadokakipにすぐ続けて@mail.goo.ne.jpです。
もしよろしければ、メールいただけると幸いです。
by Madokakip (2010-02-09 13:11) 

kametaro07

Madokakipさま
>あの曲芸のような歌い方
歌い方ばかりに気になってしまって^^;
そのためか聴いていても落ち着かなく、ちょっとエレガントさに欠けるような気がしてしまいました。
この公演全体が視覚的におもしろすぎて歌の感想はほとんど書けないのですが、オペラハウス以外で上演されるオペラならではのおもしろさというところでしょう。
メアドありがとうございます。
早速送らせていただきました。

by kametaro07 (2010-02-09 14:20) 

galahad

チェネレントラの感想待ってました!
ヴィヴィカ虫とか・・・、kametaroさんがおもしろすぎです。 歌が聴けないほど楽しい舞台とは。  ジュノーいや、ヴィヴィカ虫の写真もきれいに撮れてますね。 シャンゼリゼ劇場って行ってみたくて、今年中になんとか行きたいと思ってます。 またどんなとこか教えてくださいね。
by galahad (2010-02-09 21:17) 

kametaro07

galahadさま
>ヴィヴィカ虫とか・・・
ちょっと失礼かな?とも思ったのですが、ジュノーって細くてキュートですよね。
ピカ虫(ピカチュウ)みたいな感覚でヴィヴィカ虫ってかわいくないですか?
>歌が聴けないほど楽しい舞台とは。 
しっかり聴ける人もいるのでしょうが、私が視覚に左右されやすい人間なもので^^;
スパニョーリなんてアンジェリーナに舞踏会に連れて行ってほしいとせがまれた時、雨傘を振り回して本気でヴィヴィカ虫を追い掛け回してましたよ^^;
>シャンゼリゼ劇場
なかなか素敵な劇場ですが、クロークにコートを預けるのに2ユーロ30もするんです!座席案内の人はチップを求めてくるし!トイレは並ぶ!
ちょっと中断してるオペラハウスシリーズでそのうち書くことにします。
by kametaro07 (2010-02-09 23:58) 

allodola777

はじめてコメントさせていただきます。
このチェネレントラの公演がとても気になっていたところ、
galahadさまにこちらのブログの事を教えていただき、お邪魔しました。
とても賑やかな舞台だったようですね!
舞台同様、面白過ぎる記事で読みながら笑ってしまいました。
楽しい記事&フォトありがとうございました。

by allodola777 (2010-02-12 21:54) 

kametaro07

allodola777さま
はじめまして、ようこそお越しいただきました^^。
なにせ音楽無知で音楽についての表現の方法も知らず、このような記事しか書けなくてお恥ずかしいかぎり^^;;;
でも少しでもこの公演の楽しさが伝わったら、うれしいです。
これからもよろしくお願いします^^。
by kametaro07 (2010-02-12 23:07) 

ゆみゆみ

ダルカンジェロは、【エスカミーリョはカッコイイ】と思いましたが、【フィガロの結婚】【ドンジョ】では平凡な感じしか受けなかったので、彼は、コミカルな役は駄目なのかと思っていました。
カメタロウさんは2度も“スパにョーリ”を聞いていらして、私の知り合いで彼のファンの方はさぞや羨ましいことでしょう。
彼のイタリア物は本当に素晴らしいそうですね。
毎度で申し訳ございませんが、今の所バリトンは、満ち足りております^^。

今回私が見た「ドンジョ」は、パペが同じ演出で歌ったそうです。
やはり、カメタロウさんと御いっしょの海外は ふ・か・の・う  ですね!!

by ゆみゆみ (2010-02-18 22:12) 

kametaro07

ゆみゆみさま
ダルカンジェロは仰るようにカッコイイというイメージでおりましたが、あらまー意外・・・でした。
スパニョーリはROHの理髪師の時は歌がウマイ!でしたが、今回は歌より演技で目立ってました^^。
決して歌がいいかげんというわけではありませんが、ここまで芸達者なオヤジだとは・・・いやはや笑わせてくれました。
>カメタロウさんと御いっしょの海外は ふ・か・の・う 
全部ご一緒は難しいかも?ですが、マッちゃん・ビリーについてメールします。
by kametaro07 (2010-02-19 08:21) 

Steppke

初めてコメントさせて頂きます。
ガランチャで検索していたら、こちらのブログに遭遇しました。
私も、シャンゼリゼ劇場に行き、振られたクチです。しかも、2公演も..(ちなみに、2月3日と5日です)
しかし、ヴィヴィカ・ジュノーは予想外でした。知らない名前だったので、どんな代役を見つけて来たのかなどと失礼なことを考えていましたが、プログラムによると、このプロダクションのオリジナルはジュノーで2003年5月、ガランチャは2004年11月の再演で登場しているようです。コロラトゥーラのテクニックは、ガランチャより数段上でしょう。(それでも、ガランチャで聴きたかった!!)
確かに口の動きは面白く、どうしても気になります。何せ、3日は平土間最前列の中央ブロックで、足を組むとヴァイオリニストに当たらないかと気にしながら観てましたので、オペラグラス無しでも充分に堪能できました。
全体としては、演技だけでなく音楽のアンサンブルも素晴らしく、ガランチャが歌わないのに2公演もどうかと思っていましたが、とても楽しめました。多分、後半2公演に行ったので、アンサンブルは更に良くなっていたのではないでしょうか。
確かにオーケストラはちょっと薄っぺらな音でしたが、オリジナル楽器の楽団で、コントラバス3丁というのはロッシーニ時代の人数に近いのでしょう。素朴な音で、私は気に入りました。劇場の小ささには丁度良い加減で、歌のアンサンブルにも緊密に合っていました。
舞台はニューヨークだったようですね。チェネレントラを捜索する場面ではニューヨークの絵地図がスクリーンに映っていましたし、アリドーロは市警の制服を着て娘は3人居るはずだと登場して来ました。それにしても、ダルカンジェロの(悪)乗りぶりは最高でした。
by Steppke (2010-03-01 23:29) 

kametaro07

Steppkeさま
はじめまして。
>このプロダクションのオリジナルはジュノーで2003年5月、ガランチャは2004年11月の再演で登場しているようです。
そうなんですよね。
私もこれを書いた後知りました。
確かにジュノーの方がコロラトゥーラのテクニックは数段上で楽しめました。
でもガランチャは「チェネレントラ」はもう歌わない意向のようですから、今回はやはり残念ですよね。
>オリジナル楽器の楽団で、コントラバス3丁というのはロッシーニ時代の人数に近いのでしょう。
存知ませんでした;;;
ヘボイ音なんて書いて失礼ですね;;;
>チェネレントラを捜索する場面ではニューヨークの絵地図がスクリーンに映っていました
この時、シラグーサばかり集中していたのでどこの地図だったかまで認識できませんでした。ニューヨークだったのですね。

ガランチャは今後あちこちで「カルメン」が楽しみ!です^^。
by kametaro07 (2010-03-02 01:12) 

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