三部作

IL TRITTICO / Giacomo Puccini

Conductor: James Levine
Director: Jack O'Brien

外套 Il tabarro
Giorgetta: Maria Guleghina
Luigi: Salvatore Licitra
Michele: Juan Pons
Frugola: Stephanie Blythe

修道女アンジェリカ Suor Angelica
Suor Angelica: Barbara Frittoli
La Principessa: Stephanie Blythe
Genovieffa: Heidi Grant Murphy

ジャンニ･スキッキ Gianni Schicchi
Gianni Schicchi: Alessandro Corbelli
Rinuccio: Massimo Giordano
Lauretta: Olga Mykytenko
Zita: Stephanie Blythe

三部作とは何ぞや？
と思って鑑賞前にＷｉｋｉで調べてみました。
この３つの作品が何に由来しているか諸説あるそうですが、そのひとつがダンテの「神曲」。
・・・・・・・
３つの作品が地獄篇、煉獄篇、天国篇にそれぞれ対応する、との分析がある。もっとも、『ジャンニ・スキッキ』は天上の哲学的な歓喜とは無縁の人間臭いユーモアであり、ダンテまで持ち出すのは穿ち過ぎではないか、との批判もある。
・・・・・・・
それでも何故か「神曲」が頭にすり込まれての鑑賞となりました。

さて「外套」から・・・・
「マクベス」で見たばかりのグレギーナ、頭の中にこびりつきそうに思えた程のインパクトでありましたが、今回は全く別人。意外に演技上手なんだなーと思ってしまって・・・これって失礼ですね。
子供をなくし、夫婦関係に疲れてしまった空しさ、心の隙間を埋めるように新しい恋に落ちていくとまどい・・・表現されていると思いました。
リチートラも情熱的な一途な青年で歌唱もせつなさがにじみでてます。
何より圧巻なのはポンスのやるせなさと怒り・・・・来日公演の「アイーダ」でも一際光っていましたが、この作品でもゾクっとする演技と歌唱です。
ブライスは良く響く声で存在感タップリ、一人３作品通しで出演ですが、他の２作品でも全く違うキャラを演じ分けながら、素晴らしい歌唱を披露してます。
演出はパリ、運搬船の停泊するセーヌ河畔、夕暮れ時から深夜のシーンですが、うらぶれた空気が漂い、・・・・とっても暗い雰囲気の中の悲劇。重すぎる・・・・まさに「地獄篇」でした。

「修道女アンジェリカ」
こちらはフリットリの名演で涙・涙
来日公演「ドン・カルロ」のエリザベッタでこの上なく美しい歌唱を披露してくれましたが、エリザベッタ役では凛としすぎて淡々と感じてしまった部分もありました。
しかし、表情まで映し出されるライブビューイングでその迫真の演技にも魅せられました。
舞台セットの美しさがこの作品の見所のひとつでもあります。
特に最後の救済の場面、神聖な透明感のある美しさには心洗わされます・・・「煉獄篇」です。
Ｗｉｋによるとこの作品、プッチーニは一番気に入っていたにもかかわらず、三部作の中では一番評判が悪く、他の２作品に比べて上演の機会が少ないということですが、この作品は出演するソプラノに寄るところが大きいのでしょう。
今回はフリットリの名演と演出によって、３作品の中で一番印象に残るものになっていたと思います。

「ジャンニ・スキッキ」
「天国篇」というより「天国へ逝ってしまったジイサン！どうしてくれるのよ！！！篇」
ドタバタ喜劇でありながら、どことなくほんわかとオットリ感があったのはレバインの指揮のせいか？それともこれがプッチーニの喜劇なのか？
今回のコルベリはなんだか頭の良い、スマートさを感じるオヤジ・・・・もちろん歌唱、演技とも文句なしでこの喜劇の要です。
テノールの青年がイイ歌唱してるじゃない・・・誰？と思ったらマッシモ・ジョルダーノ？！以前見た写真とぜんぜん違う人に見えて気がつきませんでした。
「私のお父さん」を歌ったソプラノはどーってことないような？このくらい歌える人他にもいるでしょうと思ってしまいましたが・・・。
他の出演者達のキャラがそれぞれ濃く、歌唱もなかなかで楽しめるものになっています。
演出はいかにもイタリアの名家の一室という趣があるセットですが、最後にセットが下に動き、フィレンツェの街の背景が現れます。
そう場所は華の都フィレンツェ！！！ダンテじゃありませんか！！
しかも劇中で罪を犯したものはフィレンツェ追放の罰と言ってますが、ダンテは政争でフィレンツェを追放され、２度とフィレンツェに足を踏み入れることなく没しています。
それが何か？？？・・・・穿ち過ぎ？？？・・・・でしょうかね？

でものように連想ゲームしちゃう輩ってこれからもいるに違いないと思うので、Ｗｉｋｉから「神曲」説が消えることはない気がします。

はなんだかフリットリとベアトリーチェが重なってきちゃったりして・・・・・・・・この想像力、イケテル？イカレテル？

ところでレバイン指揮のオケの演奏ですが、「ジャンニ・スキッキ」だけでなく「外套」でもちょっとマッテリと感じる時があって、あやうくお疲れ居眠りモードにはいってしまいそうな部分がありました。
そこがちょっと気になったところではありましたが、とても素晴らしい公演に思いました。

ライブビューイングでも言及してましたが、これだけ素晴らしい演出、歌手陣で三部作ができるのはＭＥＴしかないでしょう。

今シーズンはブライスが再度３演目出演する他、あの「蝶々夫人」のラセットがソプラノ役を３演目出演、ポンスに代わってルチッチで三部作となります。
こちらもすごく良さそう！！！です。

コメント 25

またですけど、TV視聴の記事と、もうひとつ別のジャンにスキッキ関連記事をTBしますので、よろしくお願いします。

ジャンニスキッキの私のお父さんは、オペラに興味無しのころ、映画「眺めのいい部屋」で耳にして歌はなしのを、なんて美しい曲だろうと、なんという曲かさがしたものです・・　
by euridice (2009-09-24 08:27) 

euridiceさま
ＴＢありがとうございます。今までＴＢのやり方もわからなかったようなお粗末くんでしたが、今回こちらからもＴＢさせていただきましたので、よろしくお願いいたします。
Ｂｓ－ｈｉが我が家には入ってないせいもあって、そんなにＴＶで放送されていたことも知りませんでした＾＾；
１０月に放送されるようですが、妹宅に録画を頼もうか迷ってます。
妹宅で見ても、常に雑音に悩まされながら見ることになりそうなので＾＾；
by kametaro07 (2009-09-24 13:20) 

>誰？と思ったらマッシモ・ジョルダーノ？！以前見た写真とぜんぜん違う人に見えて気がつきませんでした

ほんとですよ！　いい加減にあの写真はやめてほしいですね....
ウチのブログでリヌッチョ祭りをしたことがありますが、その時もマッシモ・ジョルダーノの変貌ぶりが話題になりました。皆さんのコメントが面白いです。
またTBしますので、よろしくお願いします。
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TBの設定が
>※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
になっていてTBできませんでしたので、リヌッチョ祭りの記事をリンクしますね。
http://keyaki.blog.so-net.ne.jp/2008-06-25

by keyaki (2009-09-24 22:12) 

自分もテレビで観ましたが音楽に余り馴染めず今回SFOの遠征で「三部作」はパスしました。METと同じくソプラノ３役はラセットですが彼女は来年「ファウスト」で聴く予定なので多分後悔はしないでしょう。
by 蘭丸 (2009-09-25 00:36) 

keyakiさま
ヌッチョ祭り、リンク有難うございます。
興味津々です。時間のあるとき聴かせていただきます。
ＴＢの設定、以前と変更してませんので、できるはずなんですが？？？
by kametaro07 (2009-09-25 10:09) 

蘭丸さま
プッチーニはお好みではありませんか・・・・。
私はこの三部作、ラセットがどう歌い分けるか？聴いてみたいのですが・・・そうそう海外遠征もできず・・・・いつかは聴きにいける機会があることを願ってます。
ラセットは北米中心の活動ですから蘭丸さんはチャンスが多くていいですね。
ところでＳＦＯ遠征の記事、楽しみにしてます。
by kametaro07 (2009-09-25 10:17) 

kametaroさん
ＴＢの設定ですが、このページの下のほうの
「この記事のトラックバックURL：」のところに
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
と表示されていますので、記事中にリンクしてある記事のTBしか受け付けない設定になっているということなんです。

直し方は
管理画面→記事管理→スパムフィルタ
スパムフィルタのページに
「言及リンクのないトラックバック」を受け付けるか受け付けないかの設定がありますからそれを「受付」にします。
今は、「受付しない」になっていると思います。

リヌッチョ祭りですが、皆さん活躍中のテノール君たちですが、それぞれ違っていて面白いです。
だいたい皆さんリヌッチョ君卒業ですが、マッシモ・ジョルダーノはいつまでも歌っているかんじですね。
by keyaki (2009-09-25 10:42) 

keyakiさま
設定直しました。
全く世話がやける未熟者でございます＾＾；
これからもよろしくお願いいたします。
by kametaro07 (2009-09-25 11:54) 

プッチーニは定番のトスカ・ボエーム・バタフライは問題ないのですが（ミーハー）それ以外のマノン・レスコー、三部作、西部の娘は苦手なのです。西部の娘は来年SFOでデヴォラ・ボイトが歌いますがやはりパスです。因みに地元新聞紙のラセットの批評は辛口で知られる批評家がべた褒めでした。トロヴァも褒めてました。

遠征レポ忘れる前に出来るだけ早くアップします。
by 蘭丸 (2009-09-25 15:57) 

蘭丸さま
＞因みに地元新聞紙のラセットの批評は辛口で知られる批評家がべた褒めでした。
ますます聴きたくなってしまいます。
三部作は私もちょっと退屈と感じる部分があったのですが、そういったところが苦手でらっしゃるのかもしれませんね。
by kametaro07 (2009-09-25 23:09) 

縦からと横から失礼いたします。
あの！！船長はポンス？って、エジプト王ですか？
顔の大きい人だと思って　見ていましたが、同じ人なのですか？
（信じられない～～～）

蘭丸様
ラシェットさん来年は「ファウスト」をするのですか？
サンフランシスコですか？グノーの？
私大好きなのです。以前ホロ様がメトで出演した時はイソコスキーでした。
ラシェットさんが歌うなら聞きたいな～。上記の「ファウスト」以来見ていないので、ソロソロ恋しくなっています。

カメタロウさん！行きたい所がいっぱいで困りますね＾＾。
因みに、ホロ様のときはパペも出ていました。細くてカッコイイ悪魔ちゃんでした。
by ゆみゆみ (2009-09-26 22:20) 

ゆみゆみさま
ポンスはエチオピア王のアモナスロ役でした。登場した時から存在感が一際ありましたよね。
サンフランシスコでは来年６月、グノーの「ファゥスト」でレリエーも出演するようです。
ホロ様のトロヴァ、もうすぐ蘭丸さんが記事アップなさることと思います・・・・お楽しみに！！！
by kametaro07 (2009-09-27 16:50) 

またやってしまいました。アイーダのパパですね？
ミケーレは、船長さんでしょう？
あんなに太ってましたか？背が高いと思ったんですが。
やはり人違いしていますか、私は。

ジョン様が悪魔？ヒョットしてあのピッチリお衣装でしょうか？
私ジョン様大好きです。声が良いのに、丁寧に歌うんです。
マッチャンとも共演しているんですよ＾＾。


by ゆみゆみ (2009-09-27 19:39) 

ゆみゆみさま
＞アイーダのパパですね？
＞ミケーレは、船長さんでしょう？
両方とも正解！！！です。
大柄だとは思いましたが、太ってるとは思いませんでしたが・・・・ライブビューイングでアップになったらスカラ日本公演のパンフレットに出ていた写真と同じでした。

ジョン様
＞ヒョットしてあのピッチリお衣装でしょうか？
それはちょっと？？？演出までは？？？

by kametaro07 (2009-09-27 20:52) 

kametaroさんが既に答えてますがSFOは来年６月にグノーのファウストを上演をしてラシェットがマグリートを歌い、レリエーがメフィストフェレス、ファウストは自分は知りませんがStefano Seccoという歌手が出演します。このオペラ楽しみで正直、同時期上演のワルキューレが付け合せです。

ゆみゆみさんはレリエーも好きだったのですね。４回聴きましたがホフマン物語の４人の悪役が一番素晴らしかったです。
by 蘭丸 (2009-09-28 10:20) 

蘭丸さま
レリエーも北米中心に活動してますから聴く機会が多くていいですね。
セッコはイタリア人だと思いますが、ヨーロッパ各地で活躍してる人です。
私も実際に聴いたことはありませんが・・・・。
楽しみですね。
by kametaro07 (2009-09-28 13:18) 

横から失礼します。
>ステファノ・セッコ
を取り上げた記事があります。
実力はあるが、スター性欠ける....ということでしょうね。
http://colleghi.blog.so-net.ne.jp/2008-07-31
by keyaki (2009-09-28 18:36) 

keyakiさま
スカラのジャンニ・スキッキでセッコからグリゴーロに代わったことがあったのですね。
＞実力はあるが、スター性欠ける....ということでしょうね。
確かに写真を見ても地味な感じの人ですが、見た目より年齢は若いんですね。
スケジュールを見ると世界各地の一流オペラハウスで公演があるということは、仰るように実力は認められているということですね。
by kametaro07 (2009-09-28 21:12) 

セッコ　　2度ほどお目にかかりました。
とても綺麗な声です。
本当に申し訳ないのですが、とても小さな方です。
「リゴレット」日本公演で、メイと組みました。
「ドン・カルロ」では、マルちゃんとホロ様でした。
ホロ様もマルちゃんも殆ど跪いて・・。マルちゃんとは恋人と言うより母子のよう。ホロ様は、兄弟のように見えました。
せっかくの演技も拗ねているように見えたりと本当に申し分けないのですが・・・。

楽屋口でホロ様にサインをしてもらっているとき、中からとても綺麗な良い声で何かを歌っていました。ホロ様は「もう、セッコは　ホニャララ～」と言って、「セッコ～～」と声をかけて楽しそうでした。
とても明るい方のようです。

しかし、彼とジョン様では、とんでもない事に・・・・。
まさか、演奏会形式ではないですよね？
by ゆみゆみ (2009-09-29 13:12) 

ゆみゆみさま
＞彼とジョン様では、とんでもない事に・・・・。
ジョン様は巨大な悪魔となりそうですね。
蘭丸さーん！ますますおもしろそうですよ！！
ところでゆみゆみさん
蘭丸さんのところでサンフランシスコのトロヴァの記事アップなさってますよ。
by kametaro07 (2009-09-29 13:46) 

kametaroさん
このブログを井戸端会議場にして申し訳ありません。今シーズンのＳＦＯはトロヴァ、連隊の娘、ファウストを一番の楽しみにしてました。正直ワルキューレは２０１１年ＳＦＯリングで観るつもりなのでどうでもよかったのです。

keyakiさん
セッコの情報有難う御座いました。リンク先記事の写真をみて何で彼にスター性がないのだろう？と疑問に思ったいました。セッコが何故か等身大写真に見えてグリゴーロをセッコと勘違いしてたのです。

ゆみゆみさん
セッコは期待してよさそうですね。ファウストは演奏会形式ではなく製作は来月シカゴで上演するのと同じです。シカゴはメフィストフェレスがパーペですね。
by 蘭丸 (2009-09-29 16:47) 

蘭丸さま
井戸端会議場ＯＫ，横でも縦でもすっ飛ばしでもＯＫです。
話題が広がって、いろんな情報を皆さんから伺えるのでうれしいです。
これからもドシドシお願いします＾＾。
by kametaro07 (2009-09-29 22:42) 

大間違い、申し訳ございません。
マルちゃんで無くイヴェリ（タマーラ）・・タマちゃんです。
どちらも　○　いので間違えました。

セッコの声は期待できます。あの小柄から、甘く伸びのある良い声でした。
ホロ様はこの夏「リゴレット」演奏会形式で共演したと思います。

でも、ジョン様かっこ良過ぎないかしら？
本当に悪魔に徹していただくしかありません。

蘭丸さんは、ジョン様を実際お聞きとのこと。
私は「マイスタージンガー」の　　時を告げる人　で、なんていい声の若者なんだと驚きましたが、ほんの僅かの出番。
春の「ガラ」では、少し意外なできでした。
カメタロウさんもきっとお気に入り！！に追加＾＾。と想像いたしますが・・。
　　
by ゆみゆみ (2009-09-30 12:48) 

カメタロウさんにお願い。
グリゴーロ＾＾。
お気に召しました私・・。テノールですね。1人も候補はおりません。
（カウフマンくらい）
でも、名前を忘れそう。で、ゴロゴロさんにしていただけませんか？
カメタロウさんがコメントされるときは、キーちゃんのようにカッコ（）を付けゴロゴロと入れてください。
どんな声の人なんだ？？興味しんしんでございます。
by ゆみゆみ (2009-09-30 13:24) 

ゆみゆみさま
マルちゃんというとマルセロ・アルバレスしか思い浮かばず、でも内容からいって女性歌手だし？？？と思ってました。
タマちゃんはそれ程大柄には見えませんでしたから、母子のようとはセッコってコンパクトな方なんですね。
大柄な人が多い中、世界中で活躍してるのですから確かな実力ということでしょう。
まだ一度も聴いたことはありませんが、小柄でもガンバレ！！！セッコくん！と言いたくなります。

グリゴーロ（ゴロゴロさん）はkeyakiさんのブログ（左の読んでいるブログの中にありますからクリックして下さい。）でお聴きになれます。
高音に華やかさと艶のあるイタリアン・テノール、ルックスももちろん文句なしですから今後ますます注目が集まるでしょう。
keyakiさんのところでスケジュールもご覧になれますよ。
また一人追っかけの対象が増えちゃいますか＾＾？
by kametaro07 (2009-09-30 14:35)