愛の妙薬・・・・・ROH・・・・・2009/5/18

L'elisir d'amore / Gaetano Donizetti

Conductor ・・・・・・・・・Bruno Campanella
Director ・・・・・・・・・・・・Laurent Pelly
Revival Director ・・・・・Daniel Dooner

Giannetta ・・・・・・・・・・Eri Nakamura
Adina ・・・・・・・・・・・・・・Diana Damrau
Nemorino ・・・・・・・・・・・Giuseppe Filianoti
Belcore ・・・・・・・・・・・・・Anthony Michaels-Moore
Doctor Dulcamara ・・・Simone Alaimo　

　再びＲＯＨに出没。
　仕事でロンドン・・・でもオペラを見れるか直前まで分かりません。ＲＯＨのサイトで見ると、この「愛の妙薬」は１００席以上開いていたので、当日でも大丈夫だろうと思っていました。ところが前日見ると１０数席しかありません。しかしストールサークルのサイド最前列、普通だったら先行購入のできるＲＯＨフレンズ会員の人しか手に入らないようなリーズナブルな席があるではありませんか！！！もちろん即購入！！

　席はオーケストラボックスが良く見えて、舞台が近く出演者の表情までわかります。うれしすぎ
　音響はいまひとつ。どこのオペラハウスでも舞台奥で歌うと舞台前方で歌うより響きませんが、この席からは舞台右奥が死角となり、そこで歌うと音もさえぎられて響いてこない感じです。この死角はほんの一部でほとんど問題ないのですが・・・・。

　演出は５０年代、イタリアの農村。山のように高く積まれた麦穂の上を登ったり降りたりしながら出演者たちが歌う場面から始まります。

　ダムラウは膝丈のワンピース姿。意外とムッチリして見えて、ちょっとオバサンぽく見えない？この演出だとダムラウの高く品のある声が庶民の中の王女様みたいに浮いて聞こえない？もっとクラシックな演出の方がダムラウには似合うんじゃない？と思ったのですが、舞台が進むにつれ、こういう少しタカビーで奔放な感じのイタリア娘・・・いるなって思えてきました。
　結構全身で演技しながら歌わなくてはいけない場面があるのですが、今日も美しい素晴らしい歌唱を披露してくれました。

　この公演のおもしろさはフィリアノーティの演技なくしては語れません。横縞シャツに膝丈ズボンという見るからに冴えない格好で登場するのですが、人がいいのだけが取柄の単純でちょっとマヌケな田舎の若者を全身で表現していました。声は品があるので、やはりクラシックな演出が似合うだろうとも思うのですが、時に大きなヤンチャ坊主と行った動作、表情でおもしろすぎ！！！この演出で見る価値大であります。
　肝心の歌唱ですが、出だしは声に伸びがあり好調でしたが、１幕後半あたりから疲れが出てきたのか精彩を欠いてきます。コーラスとの重唱ではほとんど埋没。
　聴かせどころの「人知れぬ涙」は残念ながら先に書いた死角で歌い始めるため、最初は響いてきません。半分ぐらい歌った後、中央に移動してくるので響いてきますが、高音がいっぱいいっぱい？なんの破綻もなく美しい旋律を歌いあげましたが、高音の伸びに物足りなさが残りました。
　ところが、その後最初の好調さを取り戻し伸び伸びとした歌唱を披露。まるでネモリーノの心情を表すようにアディーナから愛の告白を受けた頃から歌唱の調子も復活したのです。
　ウィーンでルチアを見た時もフィリアノーティは演技派だなと思った部分があったのですが、これで単純の頭の中ではフィリアノーティはすっかり演技派であります。

　ドゥルカマーラ博士のアライモはいかにもいいかげんなイタリア人といったところ、若干歌が先走ってない？と感じたところもありましたが、テンポ良く堂々とした歌いっぷりでした。

　ベルコーレのマイケルズ＝ムーアはトボけた気取り方でいい味を出してました。

　ジャンネッタの中村さんはちびまるこちゃんみたいな麦藁帽子にワンピース姿で登場、かわいい！！ダムラウがいると声質が少し重く感じてしまいますが、２幕のソロでは柔らかく伸びのある歌唱を披露、とても心地よい素晴らしいものでした。

　カンパネッラ指揮のオケは軽快なテンポで進み、聴かせどころははゆっくりと・・・この楽しい公演の要でありました。

　しかし１幕後半、本物のちゃんが舞台を走って横切った時は目が・・・・・・・・固まる。
でも大丈夫！はちゃんが大好きであります。
このちゃん、舞台一往復の見事な走りっぷりでした。


左から中村さん、アライモ、フィリアノーティ、ダムラウ、マイケルズ＝ムーア











指揮のカンパネッラ氏も一緒に











３人とも満足な表情

コメント 14

こんにちは、ご覧になったんですね。
あちこちの批評で、フィリアノーティは、全体的にはなかなか良かったけれども、『人知れぬ涙』の高音で多少辛い感が残ったと言ったニュアンスで書かれていました。

フローレスのような高音は問題ない（が、逆に低音は特に得意では無い）歌手と比較すると、やや得意な音域が低めなんでしょうか＞フィリアノーティ。
by babyfairy (2009-05-28 07:28) 

babyfairyさま
確かに、フローレスを聴いているから高音に物足りなさを感じてしまうということかもしれません。フローレスと比べてしまうと誰だってそうですよね。
フィリアノーティは舞台上でとても存在感があり、観客を引き付ける人だと思いました。
ヴィリャソン降板で出演することになった１０月パリの『愛の妙薬」では、どんな歌唱、演技をするか？楽しみです。
by kametaro07 (2009-05-28 11:00) 

この抜群の席は一番先に売れる席ですから、たまたまリターンがあったのを運よくキャッチできたのですね。リターンされても即売れる席ですから、すごくラッキーでしたよ！　私はこの日も切符を持っていたのですが（ストールサークルの２列目）、急に他のコンサートに行ってしまったので、お会いできなくて残念でした。代わりにその席には私の知り合いが着物で座っていたのですが。こちら側はたしかに「人知れぬ涙」が死角になるのが問題ですが、私がいつも狙うセクションです。

フィリアノーティは、たしかに時々高音があやしくて、安定度ではダムラウに敵わなかったですが、でもとてもチャーミングなネモリーノでした。
by ロンドンの椿姫 (2009-06-02 03:10) 

ロンドンの椿姫さま
最高の席でこんなに楽しいオペラを鑑賞できて本当にラッキー！！です。
ダムラウ、フィリアノーティは素敵なカップルでした。
向かい側２列目にお着物姿の方、いらっしゃいました。お知り合いの方でらしたのですね。
７月もお会いできないようですが、今後もＲＯＨには出没させていただきたく、いつかお目にかかれることを願っております。
by kametaro07 (2009-06-02 20:27) 

久しぶりにお邪魔をしましたら迷子になってしまいました。

アライモ今回は、ロンドンですか？カメタロウサマも？
アライモはメトで惚れました。自然体で（こんな言い方は失礼ですが）発音もスムーズで面白くてとても素敵でした。
今回は、おしゃれなコート姿？！カッコいいですね。
こんな紳士風もお似合いな方なのですね。

ロンドンはインフルエンザどんな感じでしたか？
日本を出たとたんに「そんな話題あったの？」というかんじではありませんか？スイスの方に「今スイスに来ておいてよかったね」と言われました。
旅行者も、休みでもないのにいっぱいでした。
外国って年中旅行しているのでしょうか？
by ゆみゆみ (2009-06-03 14:15) 

アライモはインチキ薬売りのドゥルカマーラ博士ですから、白衣だとばかり思っていたのですが、写真でみると確かにコートに見えますね？？
ロンドンもインフルエンザ？？別に？？でした。
スイスは年中観光客で賑わっているかもしれませんね。ヨーロッパの人達は陸続きですから、気軽に行き来できますしね。
日本は島国・・・海外に行くのも大変ですから、感覚が違いますよね。

by kametaro07 (2009-06-04 00:03) 

カメタロウさん！！何処に書いてよいかわかりません。
又ロンドンへお出かけ？？ありますか。
マッチャンがプロムスで、「フィデリオ」に出ます。演奏会形式かしら。
私は、日本にいる時が無くなってしまいそう。
よって、この遠征は諦めなければなりませんね＾＾。

ロンドンへ行かれる時は、航空会社は何処ですか？
「ビリー」の時、ロンドン→フランクフルト　　でホロ様→マッチャン　　の追いかけが可能。私は、マイル・１旅行に付き飛行機は２回だけの法則のために、何処へ行くのもＡＮＡでしたが、この追いかけ計画では、ＡＮＡは不可能のようです。

by ゆみゆみ (2009-06-06 23:50) 

ゆみゆみさま
ロンドンは７月に行く予定です。
大抵ＪＡＬを利用してますが、パリに行くときはエア・フランスとの共同運航便を利用する時もあります。
ＡＮＡはスターアライアンスですから、ロンドンーフランクフルトをルフトハンザで移動する手があると思いますが・・・・。
by kametaro07 (2009-06-07 19:40) 

7月ですか。
もしお仕事で8月末ロンドンがありましたら、マッチャンを見てきてあげてください。今までと異なりどんな「悪人」ぶりをひろうしてくれることでしょう。

最近のＪＡＬは、ＯＫなのですね。
以前はずっとＪＡＬでした。ロンドンに早く着くので「ホロ様」もゆっくり間に合いそうです。
ありがとうございました＾＾。
by ゆみゆみ (2009-06-07 20:28) 

ゆみゆみさま
プロムス、ザルツブルグのフィデリオをコンサート形式で１日だけやるのですね。夏は仕事で行くことは残念ながらなさそうです。
マイレージもあってＡＮＡは利用したことがないのですが、最近のＪＡＬはＯＫとは？？
日本ーロンドン、フランクフルトー日本をＪＡＬ利用なら、同じワンワールドのＢＡ，ＡＮＡ利用なら同じスターアライアンスのＬＨ利用が運賃が安くなるんじゃないでしょうか？

by kametaro07 (2009-06-07 21:15) 

航空券もややこしいのですね。
ＪＡＬは、一時“危ない”かと思いやめにしました。
ＡＮＡですと、ロンドンのホロ様に間に合わない可能性がございます。
ＢＡは帰りをＪＡＬにするなら、高くつくから、旅行代理店に頼むようにといわれました。私が依頼する旅行代理店はホテルの予約もする事になるのですが、どうしても大型のホテルに入れられてしまいます。私は一人で行く時には小さいホテルが好きなので・・・。
しかし安さには勝てませんし。
因みに今回のチューリッヒ行きでは落雷に会い、バーゼルに着陸したのでやはり１回の旅行に飛行機はできるだけ少なく。
これは、大前提です。
まだチケットゲットが残っています。旅行も楽しみですが、大変！！
by ゆみゆみ (2009-06-10 13:59) 

ゆみゆみさま
ちょっとＢＡのサイトを覗いて見たのですが、ＢＡは片道でも安いチケットがあります。ＬＨもＢＡに合わせてるのか、イギリス方面は片道でも安い！！もちろん日によって違いますが、安いのは８千円台からあります。
これだったらＪＡＬにせよＡＮＡにせよ日本ーヨーロッパ間だけ買って、ロンドンーフランクフルトを別に買ったほうが安そうですね。
それでも代理店に頼んだほうが楽ではありますが・・・・。
チケット販売はまだまだ先のことですが待ち遠しいですね。
落雷とは大変でした。私も会ったことがありますが、目的地到着前だったので、問題なくすみました。

by kametaro07 (2009-06-10 16:28) 

ＢＡ見ましたが、来年の5月の帰りが、まだ発売では無いようです。私の手には負えないので、往復ＪＡＬにしようと考えています。
フランクフルトオペラハウスはいらしたことがありますか？
どのホテルにしようかな？（今が1番楽しいのですが）と考えていますが、やはり一番近い処が無難でしょうか。
今回フランクフルトは素通りでしたが、街中に足を踏み入れるのが楽しみです。
by ゆみゆみ (2009-06-15 13:33) 

ゆみゆみさま
少々気が早いかと・・・ＪＡＬもＢＡもまだ販売してないと思います。３３０日前からだったと思いますが、ＪＡＬは安い運賃が出るのはもっと遅いのではないかと思います。（ＢＡもそうかも？）
ホテルはスターウッド、ヒルトン、インターコンチネンタル等、いろいろ系列がありますが、私は各系列ごと会員になって航空会社のマイルを貯めるようにしてます。
フランクフルトのオペラハウスは前を通ったことはありますが、中に入ったことはありません。近代的なオペラハウスのようですね。
by kametaro07 (2009-06-15 19:08)