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ゲーテのファウストからの情景・・STAATSOPER UNTER DEN LINDEN・・2017/10/6 [オペラ]

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 待望のリンデンのオープニング。3年のはずが7年ですから、幼稚園生が中学生になってしまいました。
 
 このオープニングは本来の予定よりも遅れたので、世界中の公演、歌手の人達に影響があったに違いなく、実際日本でもここのアンサンブルであるパーペがバイエルンの公演に参加できないことになってしまいました。それでもネトレプコが急遽来日公演をしたのもおそらくはここのスケジュールが開いたのでしょうから、良い影響もあったのかもしれません。

 何から書いて良いものやら、公演の感想、新装の劇場についてなど、なんもかんも、てんこ盛り!です。

 まず、公演の印象がてんこ盛り!ファンタジー。ということで、シューマンの『ゲーテのファウストからの情景』の感想から。
 元々歌劇ではないこの作品が演出つきで上演されるのは珍しいことです。
 作品構成がゲーテの作品からいくつかの場面を抜き出したものであるため、演出は曲の間を劇で補うという趣向。そのためファウスト、グレートヒェン、メフィストフェレスは歌手と俳優の二人ずつ。ただし交互に舞台上に出てくるというわけではなく、二人共舞台にいることがあったり、劇中劇風の様相も呈していたのが複雑な二重構造という感がありました。それにその他の登場人物も多く、後半は児童合唱に混成合唱と舞台上は人で溢れかえって、まず物理的にてんこ盛り!状態。
 歌の部分は独語、英語の字幕があっても劇の台詞は全く字幕なし。もちろんドイツ人の人達あるいは独語が堪能な人達には全く問題なしであって、劇の台詞に字幕をつけるのは前日のようにフランス語圏で英語の台詞だったら当然でも、自国の言葉に字幕というのは役者さんたちがやりにくいだけでなく、タイミング悪く字幕が先に出てしまうと不興になってしまいます。
 しかし、独語が堪能でない[猫]の感想は南海、ホー、クス ←誤変換<(_ _)>
難解、ほー、クス
ここの舞台ってこんなに奥行があったのかと驚きの(@o@)ほー
アリエルの宙づりや鬼の子達のかわいらしさに(・m・ )クスッ。
 それに、こんな高齢者にしか分からないオヤジギャグほどしょーもないものではないにせよ、内容的にも茶目っ気、洒落っ気のある遊び心や意味不明の部分がテンコ盛り!でありました。
 難解ついでに、4人の灰色の魔女たちは不気味な様子ではあっても素敵なロングドレス姿で、なんだか難解キャンディーズ。栄光の聖母と悔い改めた女たちはピンクの袈裟を身に着けた僧侶で、難解ピンクレディー<(_ _)> こんなオヤジギャグはいい加減にするとして、このところ多くの演出家に仏教への傾倒傾向が見受けられるのは時代の反映なのかもしれません。
 

 てんこ盛り演出はギャル曽根の胃袋のような脳味噌を持ち合わせていない[猫]には鑑賞しながらの消化は難しく、アップアップ状態になりそうではありましたが、色鮮やかな巨大ポップアップ絵本のようなセットと可愛らしい衣装は御伽噺風という一面もあり、何より音楽の浸みわたるような美しさと輝かしさに飽きることなく鑑賞することができました。特に最後の合唱の神々しいばかりの圧倒的な力は筆舌に尽くしがたく、長い歳月を経て再開を果たした歌劇場の第一歩に相応しいものでした。
 
 シラーという小さな仮小屋で7年もの間、公演数が減っただけでなくオケピに入る人数も減って、オケのメンバーの中にはオペラ感が鈍ってる人もいるのではないかと考えたりしてましたが、ただの素人の杞憂でありました。
 音響は明らかに残響感が強くなってドレスデンに近いような印象で、演目によってはこの音響に慣れるのに時間がかかることもあるかもと考えたりもします。でもそれも素人の杞憂なのかもしれません。個人的には以前のドライな音響が好みだったので、少々寂しい気もしてますが、以前の建物のまま続けていたら突然床が抜けて大事故になっていたかもしれず、無くなってしまったものを追っても仕方ありません。とにかく再開に至ったことはめでたい\(^o^)/万歳\(^o^)/

 歌手は全員アンサンブルメンバーとここの国際オペラスタジオのメンバー(研修生のようなものだと思います)だったのも喜ばしいことでした。なんといっても7年間も待って再開を一番喜んでいるのはオケ、アンサンブル、コーラスなど関係者の人達なのですから。それぞれ活き活きとチームワーク良く完成度が高かったのは言うまでもありません。

 てんこ盛りで舞台がごった返して見えるときも、目立っていたのが背の高いトレーケル。特にマリアヌス博士となった後は品格のある声と鍛え抜かれた体躯で崇高な雰囲気に溢れていたのが印象的でした。
 昨年まで国際オペラスタジオのメンバーの一人だったドライシヒ(ドイツ語読みしましたが、フランス人で姓はデンマーク人である母親と同じなので本来は別の読み方だと思います)が今シーズンからアンサンブルメンバー入り。1991年生まれということでまだ20代ですが、研修時代からチョイ役でも光っているという印象はありました。アンサンブルになって早々、今シーズンはこの他にもヴィオレッタなども歌うのですから大活躍しそうです。昨年のオペラリアで1位となっただけあってどの音域でも発声に無理がなく、透明感のある若々しい声はグレートヒェンにぴったりでした。既に舞台慣れしている感もあるのは研修時代からの積み重ねもあるのでしょう。3月にボルドーで観た『オルフェオ』でも同じ1991年生まれのアスプロモンテが大活躍してましたが、将来有望な若手を発見できるのも遠征の楽しみです。

 尚、今シーズンからアンサンブルメンバーの中にシャーガーの名前も加わってました。昨今の引っ張りだこ状態にまで至った経緯を鑑みれば、オファーがあったら受けるのは自然なことのような気がします。

 次に新装の劇場について  ↓修復前 
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               ↓修復後
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 外観からしてピンク色になってかわいらしく、内部はピッカピッカ!以前は廊下に写真などが飾ってありましたが、それもまだなし。パッと見、このまま続けて良さそうなのですが、化粧室は隔階閉鎖状態。女子化粧室の扉から男性係員が出てきて?と思っていたところ、その扉の向こうは更に通路となっていて壁一面ベニヤ張り。楽屋に通じる扉もあるので間違って他の扉を開けないように係り員が配置されていたので、さすがに再度閉鎖して完成させないといけない状態ではありました。

 音響改善のため高くした天井 ↓修復前(2階席より撮影) ↓修復後(平土間より撮影) 
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 平土間前方で聴いていると台詞もPA使用感が全くなく自然に聞こえました。ただし一か所だけ明らかにエコーをかけた部分があり、上階では常にPA使用感があったかもしれませんし、逆に台詞が聞き取りにくいことがあったのかもしれません。
 歌手にとっては間違いなく歌いやすい劇場になったはずです。

 劇場のボックスオフィースは劇場内部ではなく、左側にプレハブの小屋が設けられていました。改修前は内部にあった気もするのですが、7年以上前のことでシラーと混同しているかもしれません。

 今シーズン最も楽しみなのは『トリスタンとイソルデ』。来シーズン以降はヘアハイムの『ローエングリン』と数年前に話題になった『マイスタージンガー』をぜひ再演してほしいと願っているのです。

 以上、なんもかんもてんこ盛りでした。
 

 
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