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マクベス・・・Opernhaus Zürich・・・2016/4/19 [オペラ]

マクベス3.jpg
Musikalische Leitung Teodor Currentzis
Inszenierung Barrie Kosky

Macbeth Markus Brück
Banco Wenwei Zhang
Lady Macbeth Tatiana Serjan
Kammerfrau der Lady Macbeth Ivana Rusko
Macduff Pavol Breslik
Malcolm Airam Hernandez
Arzt Dimitri Pkhaladze
Diener Macbeths, Mörder Erik Anstine

Philharmonia Zürich
Chor der Oper Zürich

マクベス.jpg
マクベス2.jpg

 10月に観たウィーンの『マクベス』は秀作でしたが、コンセプトも手法も全く異なるものながら、この『マクベス』も秀作でした。


 コスキーとクレンツィス、この2人の個性が交わったとき、どのような作品になるか?それは1+1=1といったコンセプトの一致がある一方で、1+1=10、あるいはそれ以上の大きなインパクトのある作品に仕上がってました。

 『炎の天使』の強烈な演出が記憶に新しいコスキーですが、今回も魔女の集団は・・・こんなもの見たくないヨ・・・といったギョッとするような裸体の集団です。しかし、そう思うのも一瞬で、映像を重ねることによって芸術と言ってもよいほど幻想的なシーンに昇華してしまう手法は見事としか言いようがありません。それにこのギョッとするようなシーンは極僅かで、ほとんどは闇という極めてシンプルな演出でした。
 魔女である裸体集団は歌わず、コーラスは真っ黒な衣装で常に暗闇の中で歌って観客からは見えません。セットといえるようなものは2つの椅子くらいで、真っ暗闇の中、舞台外側から内側奥へ向かってトンネルのように点々と4本のライトが並び、舞台前方頭上に歌手を照らすライトがあるだけ。
 永遠に続く闇の中、登場人物は闇から出で闇に帰す・・・・人間の深層心理に潜む闇の部分を闇で表現した心理劇といった様相でした。

 セットがシンプルな一方で、演出に合わせて演奏は様々な手法で変化に富み、厚みといったものさえ感じるもので、オランダ人がワーグナーのヴェルディもどきなら、マクベスはヴェルディのワーグナーもどき、とさえ思えるものでした。演出に合わせて、長いパウゼを作ってマクベスのハァハァという息を入れたり、バンコーの子供が持っていたボールがはずむ音だけを観客に聞かせたり、合唱の声をPAを使って観客の背後から流したり・・・・。それら全てがゾクゾクの連続で、ヴェルディらしく歌手にしっかりと歌わせながらも、観客の心理状態をも闇の緊張感に導くものでした。
 
 最後にマクベスが殺害される瞬間・・・舞台は未だ闇に包まれていても、観客は目の前が明るくなるように緊張感から解放され、コスキー&クレンツィスが創り上げた世界に目から鱗の状態になるのです。

 歌手も全員完璧にコンセプトを伝えることに成功してました。

 カーテンコールはスタンディング・オベーション!




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