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オテロ・・・Teatro alla Scala・・・2015/7/14 [オペラ]

Conductor Muhai Tang
Staging Jürgen Flimm

Otello Gregory Kunde
Desdemona Olga Peretyatko
Elmiro Barberico Roberto Tagliavini
Rodrigo Juan Diego Flórez
Jago Edgardo Rocha
Emilia Annalisa Stroppa
Doge Nicola Pamio
A gondolier Sehoon Moon
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 フローレスを聴くのは久しぶり。テノールの中でもフローレスとフォークトは特別な存在です。テノールをサラブレッドに例えたことがありますが、この2人は違う次元を走っているといった存在で、フローレスはペガサス、フォークトはユニコーンなどと書いたことがあります。

 久しぶりに聴くフローレスは・・・あれ?ペガサスの羽が小さくなった?と思えてしまったのですが、期待したオテロとの重唱でのハイDは聴くことはできませんでした。
 ただフローレスだけでなくクンデもアン・デア・ウィーンで聴いたときほどパンチがないのです。今までスカラではワーグナー、シュトラウス、モーツァルト、ヴェルディなど聴いたことがあり、どれだけオケが鳴らしても歌が埋没することはない歌手に優しい劇場だとしか思わなかったのですが、ワーグナー歌いとロッシーニ歌いの声の届き方の違いを改めて認識することとなりました。
 ロッシーニはやはりもう少し小さ目の劇場で聴いたほうがよいのでしょう。セットも奥行が広く、紗幕で囲まれているのですが、大きな劇場の場合はもっと奥行を狭くしないとロッシーニ歌手には優しくないと思えるもの。これはベルリン国立歌劇場からの借り物のようですが、リンデンにせよ、仮小屋シラーにせよもっと小さい劇場ですから、その辺は考慮してセットを組んでほしい気もしました。紗幕の後ろに反響版はあったようですが、紗幕はどちらかというと音を吸収する素材で反響版の効果も半減してしまうのではないでしょうか?

 それでも3人のテノールの競演たるや聴きごたえ十分。フローレスとクンデの実力はすでに承知ですが、イアーゴ役のロチャも上手い!見た目は悪に見えないのですが、クールで知的な印象が頭に血が上った他の2人と一線を画し、物語のキーパーソンの役割をしっかり果たしてました。
 ペレチャッカも良くて満足。

 指揮者はガードィナーからタンに変更。タンはチューリッヒで聴いた『オリー伯爵』ほどの冴えは感じられませんでしたが、ピンチヒッターとして十分に役割を果たしているように思えました。

 
 公演とは別の話になってしまいますが、書く機会のないまま過ごしてしまったので、ここに書き残しておきます。
 スカラはリスナー氏からペレイラ氏へと総裁がバトンタッチ。スカラが抱えている問題解決にペレイラ氏ほど頼りになる存在はいないでしょう。なんといっても集金能力抜群。ザルツの剰余金を使ってスカラを救ったとさえ思えてしまう手法はさすが超一流のビジネスマン。
 もちろんザルツでペレイラ氏が算段している間、最も厳しい時をなんとか乗り切ったリスナー氏も立派。資金的に余裕のあるパリ国立オペラに移ってからの意欲的なプログラムは魅力的です。

 リスナー氏、ペレイラ氏がイタリア人じゃないと意味のない文句しか言わないのはミーハーな評論家だか、音楽物書きくらいかもしれませんね。

 スカラはどんな状況でも歌手の素のままの声の美しさを堪能できる劇場であり、独自の美しい音を持つオケに、ここは『イタリアオペラの殿堂』であり続けると思わされるところであります。

 更についでに書き残しておくと、極私的一流歌劇場は
 箱とオケという面ではここスカラ、ウィーン、ドレスデン、そして現在改修中のリンデンの4つ。理由は音響調整感が少ないこと、オケがそれぞれ独自の美しさを持っていること。
 プログラム等、取り組み姿勢という面で選ぶ一流歌劇場はバイエルン、チューリッヒ、パリ。

 以上。
 アン・デア・ウィーン、シャンゼリゼ、その他素晴らしいロココ劇場、バロック劇場はありますが、オペラの上演回数が少ないのでそういった劇場は除いての話です。
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