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魔笛・・・Felsenreitschule・・・2012/8/13 [オペラ]

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Nikolaus Harnoncourt, Conductor
Jens-Daniel Herzog, Stage Director

Georg Zeppenfeld, Sarastro
Bernard Richter, Tamino
Mandy Fredrich, The Queen of Night
Julia Kleiter, Pamina, her daughter
Sandra Trattnigg, First Lady
Anja Schlosser, Second Lady
Wiebke Lehmkuhl, Third Lady
Tölzer Knaben, Three Boys
Markus Werba, Papageno
Elisabeth Schwarz, Papagena
Rudolf Schasching, Monostatos, a Moor
Martin Gantner, Speaker
Lucian Krasznec, First Man in Armour/First Priest
Andreas Hörl, Second Man in Armour
Concentus Musicus Wien
Concert Association of the Vienna State Opera Chorus

アーノンクール先生のモーツァルトを聴きたくてザルツに来たようなものですが、
演奏は序曲から普通とは違う細かなニュアンンスが行き届いていて、優しく包み込まれるような心地よさ
妙に主張することもなく、それでいて説得力がある演奏で素晴らしかった

しかし前に書いたように、ザルツにしてはキャストが地味
ザルツのキャストとして個人的に納得できるのはツェッペンフェルトとヴェルパくらい。
比べるのも愚ですが、昨年のフィガロやコジは何と充実のキャストだったことか(  ̄っ ̄)
それを全てアーノンクール先生が引き受けたと納得するべきなのかしら?

地味とはいっても実力はなかなかのキャストの人達ばかりなので、演出に華やかさ、派手さがあれば、もっと見応えのあるものにもなっていたと思うのですが、演出がこれまた地味

ザラストロが善で夜の女王が悪ではなく、善悪はそんなに単純に決められるものではないというメッセージ
子供でも楽しめる魔笛ではなく、大人の魔笛として、いろいろ連想はできるものです。
しかし、だから何?てなところで面白みに欠けるのヨ。

セットは多少の変化はあるものの、部屋がいくつか並んだものが横にスライドするだけ、
冒頭からヘビなんざ子供のおもちゃみたいなの、
3人の侍女が寝ているタミーノの部屋の天井からそのヘビを落として脅かす
そんなもので驚くなヨ
どこが大蛇なのじゃ???
スケールが小さいのなんのって・・・(・◇・)

パミーナは全寮制の学校でセクハラを受けて逃げ出したくて仕方ない
ザラストロはその学校の校長か経営者
表向きは学校でも職員は皆白衣で、どうも裏では何かの研究をしているよう
カルトか秘密結社のように怪しげ・・・当然フリーメイソンを連想・・・
パパゲーナは頭に機械をつけて、白衣の職員に操縦されている
どうも若さを手にいれるか、年齢を自由にあやつる研究をしているらしい・・・・
3人の童子も・・・
あれ?マエストロ・アダム・フィッシャー?弟さんとお友達と一緒に『魔笛』にもご出演(・◇・)
実験によって年配者が若返ったように見える賢者たち
いや、学校の生徒が実験で頭だけ年取っちゃったのだワ・・・きっと
それでパミーナを救おうとタミーノを導く

ザラストロが「私、中国人あるネ」みたいな辮髪で何故?
長い三つ編みの先は胸からぶら下げられた箱につながっている
と思ったら辮髪ではなく、よく見るとチューブで箱につながっているのだワ( ・_・)

この箱は力の源
手にいれたものこそ支配者となれる
これは最後に夜の女王と取り合いになるが、拾ったのはタミーノ
ザラストロも夜の女王も権力に執着する同じ穴のムジナ
拾ったタミーノはそんなことおかまいなし
パパゲーノとパパゲーナの子供たちをそれであやす。

『魔笛』という作品自体、さまざまな要素が詰まった作品で、ゲーテは続編を書こうとしたらしく、
このザルツブルクでも『ラビリンス』という続編が上演されてますが・・・

個人的にはそんなに深く掘り下げる必要性をあまり見いだせないというのが本音(-_-;)
もちろん大人の『魔笛』もおおいに結構
いろんな視点から作品を解釈するのは好きな方だからよいのヨ
でも・・・リンデンで子供達がガン見で楽しんでいた公演を思い出すと、
やはり『魔笛』は子供も楽しめる派手な要素があってほしい
年末になったらみ~~~んなで楽しむのが『魔笛』じゃない?
あ・・・でもこういう固定観念そのものが、みみっちーといえばみみっちーワ

それでもなんだかなー
どうでもよいワ・・・で、(・ー・)オワッタナ・・・

そんな地味な演出でも、唯一タミーノ役リヒターにとっては追い風の演出だったのは注目に値します。
素のまま、特別なメイクをほどこすでもなく、普段着で舞台にいることがこれほど様になる人も珍しいでしょう。
パリで聴いたオッターヴィオより更に良かったv(=^0^=)v
背が高くて容姿も抜群
T・J・マイヤー、フォークト、キーンリーサイド、マッテイ・・・・いい男よりどりみどり?
それぞれに似て見える瞬間が・・・(^。^)
声もハンサム。
スイス人ということでドイツ語が母国語いうことももちろんあるでしょうが、歌い方も無理なく自然で、生き生きとしているので劇的信憑性バッチリ
正義感と好奇心旺盛な若者でした。

ツェッペンフェルトはドレスデンでスパラフチーレ役で聴いて以来、
パーペはおそらく今後リンデンでしかザラストロを歌わないことを考えると、
ザラストロの第一人者としてザルツに相応しい人だと納得できました。
低音の魅力もさることながら、背が高くヒョロっとした独特の風貌が存在感抜群

ヴェルパは歌もきっちりと実力を発揮、見た目もトボけた感じがパパゲーノのイメージにピッタリなのですが、演出で少々損していたような・・・
鳥刺しはミニトラックで登場、中には生きた鳥が入っている様子でしたが、表面に死んだ鳥がたくさんぶら下がっているのは夢がないなー・・・鶏肉屋じゃないんだから
パパゲーノは演出によっては面白く、とても目立つ役、その器は絶対にあると思う人だと思うのですが、地味な演出のため、おとなしめのパパゲーノでした。

女性陣も大きな文句はないのです。
夜の女王役は『劇場的都合不都合』でマドンナ役で聴いたことがある人でしたが、今回も正確に綺麗に歌ってました。
ただし( `・ω・) ウーム…インパクトが今ひとつ
ただ演出が夜の女王だけが悪ではないという設定なのでこれはこれでよいのかもしれません。
見た目がキュートなので、コメディ的要素もあった演出には良かったという面もありますが、
演出のせいで役柄自体が中途半端な印象だったような・・・
パミーナは夜の女王とどちらがお母さんか分からなくなりそうな大人っぽい雰囲気の人、それでも歌はパミーナの内面は良く伝わってきました・・・・
ただ総じて地味というのは否めないところ

なんだか地味で寂しいなー
それに食傷気味のせいで、何見てもふーん(-ω-)
というところはあった今年のザルツ
しかし、
素晴らしい演奏で充分
ということにしておきましょうかね・・・
って散々ブツクサ書いて、そりゃないかヾ(´▽`;)ゝ

あのね、
来年3月にアン・デア・ウィーンで『フィデリオ』があるの
こういう公演を発見すると何もザルツで高い値段だすことないジャン
と思っちゃうわけサ。
アーノンクール先生はアン・デア・ウィーンは定期的にご出演のようなので、そのうちまたモーツァルトもあるかも?

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コメント 4

Kew Gardens

お待ちしておりました! 魔笛のレビュー。 

写真をみてもいったい何が現代風なのか想像もつかず。。。
>大人の魔笛
>パミーナは全寮制の学校
>ザラストロはその学校の校長
ふぅ~ん。 そうだったんですか、音を聞いているだけだと全くもって想像できませんでした。 いろいろな解釈ができる作品でありますが、そうきたか、ですね。 観客の反応はいかがでしたか? 

>アーノンクール先生のモーツァルト
Nozzeの時は、えらくテンポがおちていて驚きましたが、今回はそいうことはありませんでしたね。 古楽器の響きもよかったです。 ちょっと気になったといえば、アリアの時、最初の歌いだしのところがいやに強調されているように聞こえたのですが、ドイツ語の歌詞としてふつうなのでしょうか。 

>ツェッペンフェルト
>存在感抜群
そうですよね。 彼はザラストロしかライブで聴いたことはありませんが、魅惑の低音で、不思議な存在感。 役柄的にもピッタリだと思いました。
by Kew Gardens (2012-08-25 21:44) 

kametaro07

Kew Gardensさま
音楽的には奇をてらうことのない流れだったので、音楽から演出を想像するのは難しかったことでしょう。
>観客の反応
ブラヴォーも飛んでましたし上々で、ブーはなかったと思います。
>アリアの時、最初の歌いだしのところがいやに強調されているように
そういったことも気づきませんでしたが・・・
出演者は生き生きとしてましたし、自然な流れに思いましたが、演出、演技を伴ってそういった部分もあったかもしれません。

ザルツは最初から満腹状態だったので、楽しむキャパが異常に狭かったかも(-_-;)です。

by kametaro07 (2012-08-25 23:27) 

ゆみゆみ

ザルツではありがとうございました。
良いお天気で、良かったです。
チケットを購入後リヒター君が「魔笛」に登場と知り
ワクワクして行きましたが??でした。
やはり演出のせいですか。
私はリヒターはパリの方が力が感じられて好きです。
今回こそ「信念がある」様に歌って欲しかった。
仰るとおり、マッチャンに似た雰囲気があって、追っかけたくなるかと思いましたが、パス!!どこぞ出お目にかかれることをお待ちしていま~~す。
あの箱の中に水・火を配置しそこを通り抜けて行くアイディアは面白いのだけれど、後一つ工夫が欲しかった(偉そうでごめんなさい)

夜の女王はダムラウで聞いたら、優しすぎで~~~。
彼女の女王美しくて、怖そうで良かったな。
これまた贅沢です。
by ゆみゆみ (2012-09-10 13:28) 

kametaro07

ゆみゆみさま
こちらこそお世話になり、ありがとうございました。
リヒターくんはこれからの人、他の役でも聴く機会があるといいですね。

>後一つ工夫が欲しかった
おっしゃることわかります。
こじんまりとしてしまってスケール感に乏しいので地味という印象になってしまいました。

>夜の女王はダムラウで聞いたら
もう歌う機会もないでしょうから羨ましいです。

by kametaro07 (2012-09-11 20:12) 

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