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劇場的都合不都合 / 狂気じみた人たち・・・Opernhaus Zurich・・・2012/1/1 [オペラ]

P1010708.JPG
「劇場的都合不都合」のカーテンコール、左からフレドリッヒ、シャーリンガー、カヴァレッティ

Conductor Paolo Carignani
Producer/production Martin Kusej

Mandy Fredrich (Daria); Anton Scharinger (Agata); Mariana Carnovali (Luigia); Massimo Cavalletti (Procolo), Gezim Myshketa (Biscroma Strappaviscere), Christoph Strehl (Willibald), Thomas Lichtenecker (Pippetto), Morgan Moody (Cesare Salzapariglia), Davide Fersini (Impresario), Paolo Rumetz (Theaterdirektor); Eva Liebau (Norina), Katharina Peetz (Cristina); Davide Fersini (Darlemont), Cheyne Davidson (Blinval), Gezim Myshketa (Venanzio), Ruben Drole (Eustachio), Paolo Rumetz (Frank)

ドニゼッティのマイナー・オペラ・ブッファの2本立てです。
聞いたこともない演目で、題名もWikiで調べました。
原題はLe convenienze ed inconvenienze teatrali と I pazzi per progetto です。
チューリッヒ歌劇場はこういった滅多に上演されない演目も積極的に取りあげる歌劇場です。
この公演はVolksvorstellungという、大変リーズナブルな値段設定の公演でした。
同日の夜の公演がザイフェルトとフリットリの共演と大変珍しい組み合わせの「オテロ」だったので、チケットを早めに購入したのですが、この昼間の公演はお得感もあり、ついでといってはなんですが・・・観ることにしました。

ところで、「オテロ」の方はザイフェルトが早々に降板してしまいましたが、プレミエを歌ったクーラですから、文句のつけようがありません。


昼の公演は2作品ともドタバタ喜劇ですが、「劇場的都合不都合」は冒頭でダリア役、「狂気じみた人たち」は最後にノリーナ役のソプラノがコロラトゥーラを披露する長いアリアがあり、聴かせどころとなっているのが、ドニゼッティのこだわりというところでしょうか。
その他、数多くの男性歌手陣がドタバタと入れ替り立ち替り登場するのですが、テノールは「劇場的都合不都合」に一人とカウンターテノールが一人いるだけで、どちらかというと二人ともチョイ役。
圧倒的に低音の男性陣に目立つ役が多く、「狂気じみた人たち」にいたっては、テノール出番なし。

バイエルンの日本公演「ナクソス島のアリアドネ」の演出が幕が上がる前から舞台ではじまってましたが、「劇場的都合不都合」は劇場の内輪話ということで、同じ手法がとられてました。
オーケストラのメンバーも私服で、舞台上の人達と話たり、お酒の瓶をやりとりしたり・・・・
開演時間直前に赤いTシャツのスキンヘッドがオケ・ボックスに降りていったと思ったら、指揮のカリニャーニ。
新国の公演はキャンセルしてしまいましたが、カリニャーニの指揮も楽しみだったので、観ることにしたのでした。
舞台上にも指揮者役の人がいますから、演奏が終わって拍手、という場面ではカリニャーニも指揮者役の人に拍手してました。

覚えている範囲で、ドタバタの様子を少しご紹介すると・・・
舞台上で台本が飛び交ったり・・・
指揮者から歌手へ、音が違う、もっと低く、もっと、もっと・・・といったやりとりがあったり・・・
ルイジアというソプラノの母親が劇場に入り込んで、娘のソロを要求したり・・・
(この母親役はバリトンですが、これは今回の公演に限らず、バリトンが女性を演じることになってます。
これを演じるシャーリンガーがごついので、なんともおかしい)
そして何故か母親が舞台に出ることになったり・・・
他にもテノールが出演できなくなって、ダリアの旦那(Procolo)が出演することになったり・・・・
リハーサル場面になると、がらりと舞台が華やかになるのですが、
途中でヘマをやらかして、演奏が止まり・・・まーったく何やってんだ・・・他の出演者のため息まじりのグチと文句で舞台はガヤガヤ・・・・どこからやり直すか、オケに声をかける指揮者役・・・
この間、演奏は全く流れずガヤガヤするので、観客もちょっと一息・・・
再開されても、歌手が台詞を忘れてプロンプターに頼ったり・・・
結局、劇場はドタバタの末、公演は大失敗。(もちろん劇の中の公演のこと)
こうなってしまっては投資家への返済は困難、逃げるが勝ちとばかり、劇場関係者や劇団員は全員トンズラ・・・という話。

ダラダラと書いてしまいましたが・・・
実際にダラダラと・・・・さもありなんのドタバタ満載。
出演者の演技がおもしろいので、観客からは笑いがもれます。
特に[猫]がいた最上階では一人のおばあちゃんにバカウケ、フッフッッフックックックッと笑いのツボにハマッてしまったらしく、いつまでもそのおばあちゃん一人の笑い声だけが響いてました。
肩のこらない、お気軽なドタバタ喜劇なので、それほど気にもなりません。
 
なんといっても一番目立っていたのは母親役のバリトン、シャーリンガーですが、他の出演者の演技も声もなかなか良いので、楽しめる公演でした。


「狂気じみた人たち」ではカリニャーニもオケのメンバーも正装にお着替え。
セットは、「劇場的都合不都合」の最後の場面のセットがそのまま使われ、精神病院が舞台です。
「劇場の好不都合」とは全く別の話なのですが、金網の向こうの精神病棟には、「劇場的都合不都合」に出演した人達がウロウロ・・・・・・逃げたはずが、全員精神病棟行き・・・といった顛末の演出になっているのはご愛嬌。
内容は医者の姪の夫婦がお互いの気持ちを確かめ合うドタバタ・・・
さらに、脱走兵が紛れ込んできて医者に化けてドタバタ・・・

歌手の人たちはこちらもなかなかの出来で、中でもEustachio役のドロールが東洋人のように見えるのですが、存在感のある人でした。

両作品ともイタリア人だったら、抱腹絶倒で楽しめるのでしょう。
上演されること自体、ほとんどない作品ですから、良い機会であり、カリニャーニ指揮の演奏は終始心地よく軽快に流れ、これがイタリア的な演奏なのだろうなーと思いつつ・・・
ずーっとドタバタがダラダラと続くので、少々飽きたというのも正直なところ。
「劇場的都合不都合」ではあんなに笑っていたおばあちゃんも飽きちゃったのか?
後半は笑い声も少なめになったような・・・・・



それより、途中、[猫]の耳には軽く違和感発生。
以前アン・デア・ウィーン劇場でも同様の疲労感があったのですが、小さな劇場の響きというのは、耳に負担になるときがあります。
[猫]は耳だけ虚弱体質、デリケートなのです。(そう思い込んでいる)
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コメント 2

galahad

ザイフェルト、12月はDOBで嫁と共演の『タンホイザー』のほうに行っちゃったみたいで…。 
『劇場的都合不都合』ってすごくおもしろそうなんですが、ドタバタしすぎなんですか? さすがに同じようなのをふたつ見せられたら飽きるかも。
日本人でも大阪のおばちゃんたちなら、ずっと笑って見てるような気もします。
シャーリンガーってザルツブルクのショルティ『魔笛』でパパゲーノだった人ですよね。
by galahad (2012-01-09 14:29) 

kametaro07

galahadさま
DOBの後チューリヒの予定だったようです。
このシリーズはこの日が初日でした。
オテロは歌わないと決断したのかもしれませんね。

『劇場的都合不都合』はドタバタしすぎということはないのですが、仰るように2本続くとちょっと飽きる気がします。
それに何も調べないで行ったので、字幕を見ながらですから、今ひとつノリについていけなかった^^;

>シャーリンガーってザルツブルクのショルティ『魔笛』でパパゲーノだった人ですよね。
シャリンジャーで調べたら出てきたので、アメリカかイギリスの人かと思ったら、ドイツ語圏の人なのですね。直しておきます。
今年ザルツの「ラビリンス」に出演するようですが、プロフィールは全く知らないのです。
すごくベテランの方なのですね。
by kametaro07 (2012-01-09 21:41) 

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