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トリスタンとイゾルデ・・・新国立劇場・・・2010/12/25 [オペラ]

【指 揮】大野和士
【演 出】デイヴィッド・マクヴィカー
【美術・衣裳】ロバート・ジョーンズ
【照 明】ポール・コンスタブル
【振 付】アンドリュー・ジョージ

【トリスタン】ステファン・グールド
【マルケ王】ギド・イェンティンス
【イゾルデ】イレーネ・テオリン
【クルヴェナール】ユッカ・ラジライネン
【メロート】星野 淳
【ブランゲーネ】エレナ・ツィトコーワ
【牧童】望月哲也
【舵取り】成田博之
【若い船乗りの声】吉田浩之

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ワグネリアンだけでなく、オペラ大好き人間達が待ちに待った新国のトリイゾ。
初日に行ってまいりました。
クラシック音楽界、評論家の先生方もお見えのようでしたが、中には全公演ご覧になる方もいらっしゃるようです。

オペラ大好きになってから3年ぽっちの初心者の感想
トリイゾの実演鑑賞はたった1回、ベルリンだけ。
こだわりを持つのは100年早いよ・・・ではありますが、個人的な好みというのは当然あるわけで・・・・。
とウダウダ前書きしたこと以前にもありましたね。
そういう時って何か文句あるとき^^;

演出は「芒に月」
花札です。「坊主に月」とも言います。
花札なんて!と思うことなかれ、そのシンプルさは美の極致。
透ける薄い膜に水面の波を映し出したり、照明の妙で変化する時を表現したり、印象的な舞台です。
全幕を通してほとんど変化はないのですが、悠久の時を暗示しているようで[猫]は好きです。
ただ船員の衣装と動き、マルケ王の衣装が他の公演から借りてきたような違和感が・・・・。

思いの他良かったのはトリスタンのグールド。
精悍さは希薄なのですが、誠実な印象のトリスタンで、この難役を最後までスタミナ切れすることなく歌いきりました。
小姑のように重箱の隅をつっつかせていただくと、2幕でちょっと声が一瞬怪しくなって、3幕大丈夫?と思った瞬間はあったのですが、ただの杞憂に終わりました。
ロール・デビューだそうですが、3幕、昏迷と正気の狭間でイゾルデを求める歌声は聴かせてくれました。
カーテンコールでグールドが一番ブラヴォーをもらっていたのも納得。

イゾルデ姫のテオリンも最後まで声はとっても良く出ていて好調でした。
ただエレクトラではハマリ役に思えたテオリンですが、姫としては予想どおり・・・ちと恐い^^;
この人の熱さは素晴らしく、薬を飲んだ後の情熱的な愛の表現は良い面が発揮されるのですが、最初はなんとも気の強い姫で、これでは薬がないとトリスタンは惚れない・・・と思ってしまいました。
もう少し姫らしい‘たおやかさ’があれば・・・というところ。

ツィトコーワのブランゲーネは姫を諭す大人の面とオロオロ戸惑うかわいらしい面と、両方を持ち合わせた侍女ですが、歌に自然に表現されていて好演でした。
小柄な姿がかわいらしく、けなげな侍女です。
最後に嘆き悲しむ姿も印象的でした。

ラジライネンはここ新国の「ジークフリート」でさすらい人を演じた人ですが、良い意味で別人。
忠誠心がにじみます。

マルケ王は設定がかなり年をとった王のようで・・・?
なんで仙人が出てくる?といった白い衣装。
これは役作りが難しかったのではないでしょうか?
歌もその懐の深さが年老いた仙人のように聴こえてしまいました^^;


演奏ですが・・・・
大野さんはハッキリ、ジックリ、ユックリと・・・・愛の耽溺と悲劇を際立たせていました・・・
が、際立たせるところがハッキリ、ジックリ、ユックリすぎて全体の壮大な流れに淀みが生じているような気がしたのは[猫]だけ???

いつものただの贅沢病ですから・・・・無視してください・・・虫。

中満足の公演でした。


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Sheva

さっそくUPくださりありがとうございます。なんかせかしてしまったようで申し訳ありません。こちらのサイトでドイツの公演などを見させていただいているとすごく勉強になります。
いつも海外ものばかり見ていらっしゃるのでなかなか目も耳も肥えていらっしゃるのですよね。
バレンボイムのワルキューレの後では何を聞いても色褪せますよね。私は録音で聴きましたが、確かにシュテンメが一番良かったような気が…

トリスタン、グールドさんの声はとてもトリスタンに合ってましたよね~とても気に入りました!

by Sheva (2010-12-29 00:07) 

kametaro07

Sheva さま
どんどん書かないと今年のまとめの感想も書けないと思っていて、せかされたということはありませんので、ご安心ください^^。

今回はミラノとウィーンで聴いてきた後、日が経ってませんから、感想にも影響が残ってしまったのは確かですね。
おそらくオケのレベルということになるのでしょうが、勢い、厚み等に乏しいのが、全体の流れに淀みが生じているようという感想につながったのかもしれません。

グールドさんについてはロール・デビューなので多くを望んではいけないと思っていたのですが、大健闘で、仰るように誠実なトリスタンでしたね。

>すごく勉強になります。
いえいえ、とんでもないことでございます。
ド・シロウトの感覚ですので、あまり当てになさらないで下さい。
詳しい方がご覧になって、違うよ!と思ったり、笑っている方もいらっしゃると思います^^;
by kametaro07 (2010-12-29 18:58) 

euridice

こんばんは。
唯一の夜の公演に行きました。
退屈なし、居眠りなしでしたけど、
違和感大、わからない感じの強い公演でもありました。

私も贅沢病かもしれません・・
まとまらない記事ですけど
TBします。


by euridice (2010-12-29 22:42) 

kametaro07

euridice さま
こんばんは。
TBありがとうございます。
私もTBさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

by kametaro07 (2010-12-29 23:19) 

galahad

ごあいさつ遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。 
私は7日に観てきました。 今回は尻上がりに調子がよくなっているといわれてるみたいです。 指揮とオケはぴしっと決ってました。 計算通り時間通りというかんじ。 演奏自体は良いと思うのですが、やはりkametaroさんが漬物になるリンデンの音を聴いてしまうとあっさりしすぎのような気がします。
もうちょっとどわーっと音の波が来てほしいよ~。 マルケ王の人、上手だったけど私の耳に完璧にパーペのマルケがコピーされているのがわかって困っちゃいました。 グールドが予想以上に良かったし、舞台美術がきれいだったのでまあまあ満足できました。(これが中満足というの?) 隣席のおじさんは半分くらい居眠りしてらしたので、やはり2幕は一部カットしてもいいんじゃないの、と思いましたです。
by galahad (2011-01-09 16:49) 

kametaro07

galahadさま
今年もよろしくお願いします。
>もうちょっとどわーっと音の波が来てほしいよ~。
そうなんですよね。
以前聴いたリンデンのトリイゾの感覚を封印するのは難しいですね。
バレンボイムのトリイゾは渦を巻いてうねるような音楽の流れがありますからね。
それで今回は淀みがあるような・・・と書いてしまいましたが、考え方を変えれば、時が止まったような美しさがあったかもしれません。

>マルケ王
あの仙人姿にはちょっと参りました^^;
パーペにはこの姿で歌ってほしくないと思いながら聴いてしまいましたが、パーペだったら問題なしかしら?

>これが中満足というの?
なかなか大満足というのは難しいでしょ。
中をつけなくても良いかというと・・・やっぱりつけずにはいられない・・・というところです。
by kametaro07 (2011-01-09 19:56) 

ゆみゆみ

私は11日に参りました。
前奏を≪一心に聞くぞ~≫ と目を閉じて聞き始めましたが
何となく目を開けたら、舞台が面白くて、
興味津々の私は、音楽はまともに聞けませんでした。
あの船は「外套」に出てきそうではありませんか?姫を迎えに行くにはチョットぼろくないでしょうか?

1幕終了時、隣で話している男性が
「テオリンは吼えている様だ。今日はそれでも大人しい」
と言ってましたが、納得。

ブランげーネは体が細いのによく声が通りますね。3階でもしっかり高音・低音とも聞こえていました。

皆さんと同じようにマルケ王はビックリでした。
私もパペに慣れているのです。涙しました・あの時は。
今回の方、本当にバス?
澄んだ・高い声でした。別の音楽を聴いているみたいです。
パペなら、あの役作りでもOKかも^^。
でも彼なら、よろけて、オットット・・  はしないでしょう。

2幕の「昼・夜」の所は、本当に訳がわからず、毎回眠くなります。でも今回はトリスタンの声が聞こえてくると眠気がぶっ飛びました。
「?」彼は声を必要以上に張り上げない「トリスタン」です。始めてです。
好きよ・このタイプの歌い方。初役ですか。がんばりましたね。
今回は、新国で、初めて良かった!!と思いました。

最後にイゾルデは、水の中に入っていきましたね。
あれ、お湯でしょうか?寒いだろうに・・・。
ドレスも毎回お洗濯するのでしょうか?アイロンかけ大変だろうな。
馬鹿な事を心配しながら帰路に着きました。
by ゆみゆみ (2011-01-14 21:39) 

kametaro07

ゆみゆみさま
最終日ですよね。良い日にいらっしゃいました。
私が行った初日よりずっと良かったという方が多いようです。

>姫を迎えに行くにはチョットぼろくないでしょうか
確かに。
でもワグナーはイメージで聴いている方がいいと思いませんか?
考える必要はないというか、ボーっと、不穏、不安とかいったイメージで・・・。
ワグナーにかかわらず、いつもボーっとしてますが^^;

>マルケ王はビックリ
これはちょっと想定外でしたね。

テオリンはいつものように吼えるといわれてしまいましたが、トリスタンのグールドは今回株をあげましたね。

>あれ、お湯でしょうか?
考えもしませんでしたが^^;湯気はたってなかったようですから、普通に水でしょうか。
>ドレスも毎回お洗濯するのでしょうか?アイロンかけ大変だろうな。
それも考えもしませんでした^^;
洗濯やさんになりたいような・・・ドレス触ってみたい^^。


by kametaro07 (2011-01-14 22:42) 

Pilgrim

 こんにちは、「オペラの夜」です。
コメントとTB返し、ありがとうございました。

 あのセットは花札ですか…確かに何処か和風のセンスの
感じられる舞台で、だからこそ海賊の存在の浮いていのだと
こちらの記事を読んで納得しました。

 ネコとかド素人とかは単なるエクスキューズで、
的確な感想をお持ちと思いますよ。
by Pilgrim (2011-02-05 15:04) 

kametaro07

Pilgrimさま
こんにちは。
オペラ好きになってまだ3年半、それまで音楽とは全く縁のない日々を送ってきたので、ネコもド素人も単なるエクスキューズではないのですが^^;的確と仰っていただけるとすごく嬉しいです。
大野さんの指揮はシマノフスキーの「ロジェ王」と今回で2回ですが、もっと聴く機会があればと思います。
日本での公演の機会を増やしていただきたいものです。
by kametaro07 (2011-02-05 23:53) 

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