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ホフマン物語・・・Opernhaus Zürich・・・2010/4/3 [オペラ]

画像 1034.jpg
モシュク、グリゴーロ、ブリート
Les contes d´Hoffmann / Jacques Offenbach

Dirigent David Zinman
Inszenierung Grischa Asagaroff
Bühnenbild Bernhard Kleber
Kostüme Florence von Gerkan
Lichtgestaltung Jürgen Hoffmann
Choreinstudierung Jürg Hämmerli
Orchester Orchester der Oper Zürich
Chor Chor der Oper Zürich

Elena Mosuc (Stella/Olympia,/Antonia,/Giulietta)
Michelle Breedt (La Muse/ Nicklausse),
Wiebke Lehmkuhl (La voix de la tombe);
Vittorio Grigolo (Hoffmann)
Laurent Naouri (Lindorf/Coppélius/Le docteur Miracle/Le capitaine Dapertutto)

今回チケットを確保するのに一番困難だった公演です。
チューリッヒはVolksvorstellungといって、ある企業の援助でチケットが安くなる公演があるのですが、この日の公演がそれにあたり、ネット購入を試みてもできず、電話しても売り切れ・・・と言われてしまいました。。。
しかし諦めずに何回もネット購入を試みていたところ・・・1席だけ出てきた時には目が点・・・・。

それにしてもこんな良い席なんで出てきたかな?というくらいの良い席。
前から6列目ど真ん中。。。普通だったら230スイスフランなのに、スポンサー援助で75スイスフラン!
ラッキーとしいいようがないのではありますが・・・周りを見ると正装した地元の年配の人達ばかり・・・もちろん服装はそれなりのものを着ていきましたが、ちょっと自分自身が周囲から浮いてる気がしてなんだか落ち着きません。。。^^;

音響もいつも座ってる1Rangのサイド2列目より良くて臨場感ありすぎ!

「ホフマン物語」はいろんな版がありますが、今回は2005年のケイ&ケック版。
といってもMETのライブビューイングもなんだかんだで見損なってしまいましたし、今回初めて「ホフマン物語」を観るので違いはわかりません^^;

幕が上がるとまたもや透ける薄い幕。。。勘弁してくださいよ。。。と思ったのですが、すぐ上がってホッとしました。

この薄い幕は右下に丸い円が書いてあり、幕の最初と最後に下りてきて、その円の中にタイトルロールのグリゴーロがおさまるというちょっとお洒落な演出になってます。

最初グリゴーロは姿を見せてますが、すぐに引っ込んでしまいます。
なんとなく落ち着かない気持ちのままで物語に入り込めず、早く歌わないかな・・・・とクビを長くして待ってました^^;
再登場して歌い始めると雰囲気が一変します。

以前「ルクレチア・ボルジア」をネット配信で聴いた時の印象は華やかで情熱的、太陽のようなイメージを持ちましたが、それは思い込みでした。

声そのもののは実に繊細な響きです。
太陽というより月の輝きです。
この繊細な声の響きが詩人のナイーヴな一面を表し、ちょっとキザともいえる洒落っ気のある演技がフランス的とでもいえる雰囲気をかもしだします。

しかしなんといっても特筆すべきは伸びやかで声量充分の高音。
ピアニッシモから高音のフォルテ、またその逆と無理なく自然に歌い上げるので、とても華やかな印象につながり、それが三つの愛の物語では異観なく発揮され、声のせつなさと共に情熱的な印象も残すのです。

モシュクとのコンビはここチューリッヒで何回もこなしているとあって、息もピッタリ、演技も役になりきっていて、舞台上で華のあることこの上なし。

ちょっと不思議だったのは声量が豊かな割りに、華やかな印象はあっても豊かという印象が希薄なことですが、それは繊細な声の響きと表裏一体のことかもしれませんね。
他の演目、役ではまた違った魅力が発見できるかもしれません。

モシュクがまさにその違った魅力を見せてくれました。
脆く儚い「ルチア」での歌唱は強く印象に残りましたが、良い意味で別人です。
更に今回は一度に4人の別人となり、それぞれ違った印象に仕上げてます。

この公演シリーズ当初はドクターストップで歌えず、結局最後の2公演しか歌えなかったそうですから、聴けただけでもこれまたラッキー。
それでもルチアの時ほど絶好調ではないだろうと想像してました。
ルチアで聴かれた終始響いていた繊細な声のゆれはありません。
これはベルカントものと歌い分けているのでしょう。
オランピアで息継ぎが気になりましたが、これはルチアとは違った強くはっきりしたコロラトゥーラ、しかも息継ぎなしで長く続けなくてはいけない為でしょう。
何より席が舞台に近かったのも息継ぎがはっきり聞こえた要因ですね。画像 1039.jpg
その機械的ともいえるコロラトゥーラは見事でしたが、一ヶ所だけ声がかすれてしまい、一瞬ハっとしました。
でも結局その一ヶ所だけで、他は病み上がりの影響は感じることない、非のないものだったと思います。

2幕終了後のカーテンコール
写真はオランピアのモシュク

モシュクは小柄ですが、ナイス・バデー!目鼻立ちがはっきりしてるのでどの役でも舞台栄えします。
オランピアではマリリン・モンロー人形、機械的な演技と歌唱で魅力的。
アントニアはルチアでのイメージに近く、小柄さが儚さにつながり、優しい印象の歌唱です。
ジュリエッタでは気だるい妖艶さ、声も重めに聴こえます。
でもいつも10センチ近いハイヒールを履いて歌うのですからプロフェッショナル!

4悪役のナウリは皮肉屋といった雰囲気、歌唱の端々にちょっとしたスパイスが効いた味わいのある人でしたが、グリゴーロとモシュクの存在感ほど印象に残ってません。

同様の理由でブリートについては可もなく不可もなくとしか書けないのですが、バイロイトでフリッカやブランゲーネも歌ったことのある人なんですね。

ジンマンの指揮は最初こそマッタリと感じましたが、出演者との息もピッタリ、柔軟に歌手の魅力を引き出しながら「ホフマン物語」の魅力を伝える演奏だったと思います。

カーテンコールは大ブラヴィーでスタンディングオベーションと書いてもかまわないでしょう。

2、3列前に座っていた若者・・・これがカジュアルな服装で[猫]同様、ある意味周辺から浮いていた・・・が真っ先に立ち上がってしまい、写真撮れないよ~~~・・・と思って自分も立とうかと思ったのですが・・・周りは年配の人たちが多く、立ちたくてもすぐ立ち上がれそうもない人もいる・・・これは立てない。。。

というわけでその若者を避けながら撮ったため、全員一度には撮れませんでした。
画像 1035.jpg
ナウリなんてほとんどその若者に隠れてしまい、なんとか撮れたのは1枚だけ。。。


左からナウリ、モシュク、グリゴーロ






画像 1036.jpg

指揮のジンマンと一緒に










画像 1037.jpg

シリーズ最後の公演ということもあって出演者全員開放感と達成感に満ちていたのでしょう、
みんなうれしそうで和気藹々といった雰囲気でした。

グリゴーロはカーテンから顔を出したり引っ込めたり、お茶目な一面を見せてました^^。
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コメント 4

keyaki

待ってました!
それにしても、kametaroさんの今回の出張を兼ねてのオペラ鑑賞スケジュール、凄いとしかいいようがありません。その中に、グリゴーロの《ホフマン物語》も入ったというのが、嬉しいです。
波乱の幕開けでしたが、グリゴーロは皆勤賞、最後は、モシュクもなんとか出演できて、よかった、よかったですね。
メトでは、ストラッキンが降板せざるを得ないようなことになりましたが、こちらのジンマンのオペラデビューは成功したということでしょう。一ヶ月以上前からリハーサルがあったようですから、そのへんがストラッキンの場合とはかなり違いますね。

モシュクは、数年前と比べると、本当に舞台映えがして美しくなってますね。

グリゴーロの生声の印象....イタリア語とフランス語の違いもあるのかもしれませんね。でも繊細な声であることは間違いないようですから、押す..とか緊張感が強い...と言われることも多いようですが、これも、繊細でパワーがある....という言い方をする評論家もいますし.....
クラインザックの歌は、どんな振り付けで歌っていたのかしら....

by keyaki (2010-04-18 14:19) 

kametaro07

keyaki さま
今回も仕事は仕事、休みは休みですから、NYから帰ってきてから行ってます。
NY3泊、日本1泊で日中出勤してから夜の便で行きましたから。。。旅行中もヨレヨレしかかってました^^;

ブレスリクの感想でも繊細と書きましたが、ブレスリクの場合は声をゆらすなどの表現で繊細さを出してましたが、グリゴーロの場合は声の響きそのものになんともいえない繊細さがあります。
専門的なことは分からず、聴いた印象でしか書けないのですが、その豊かな声量からするともっと豊かという印象も残っても良さそうなのですが、繊細さの方が強く印象に残るのです。
仰るようにフランス語の響きも印象に影響するものでしょうね。
ROHの「マノン」も楽しみにしてるのですが、こちらもフランス語ですね^^;
「ルチア」のエドガルド、「椿姫」のアルフレードなどで好評なのが理解できるナイーブな繊細な響きでした。

>クラインザックの歌は、どんな振り付けで歌っていたのかしら....
スミマセン。。。振り付けおぼえてません^^;
有名な聴き所なんだからしっかり見てこい!・・ですよね。
全く使えないヤツです。。。m><m
でもちょっと気取ったおどけ方でフランス人らしい雰囲気を出していたと思います。
by kametaro07 (2010-04-18 18:13) 

ゆみゆみ

私もチェコで「ホフマン物語」を見てきました。
値段は5000円ほどです。先日のビユーイングで一応のお勉強はいたしましたが、正直申しまして期待していませんでした。
ところが、ビックリ。
アラーニャの若い頃を思わせるようなホフマン。
オランピアはフランス人形そのものです。動きもですが、歌唱も全く問題なく更に多分Ges辺りを軽々と(無理に出している感じがない)出しておられました。
流石にネトレプコ張りのオーラは有りませんが、良い物を見せてもらったと思いました。上手く表現できませんが、有名オペラハウス・お目当てさんを追いかけるのも良いのですが、今回のように思わぬところで好演に会うと
とても嬉しく記憶に残りますね。
by ゆみゆみ (2010-04-23 21:13) 

kametaro07

ゆみゆみさま
プラハは行ったことがありません。
街も美しいでしょうし、オペラも良かったとなれば、噴火で大変な思いもなさったでしょうが良いご旅行でしたね。
>アラーニャの若い頃を思わせるようなホフマン
って誰ですか?
字幕はチェコ語ですか?
ちゃんと予習していかないと厳しそう・・・ですね。
by kametaro07 (2010-04-24 21:16) 

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