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アルシルダ・・Pokladnica nová budova SND・・2017/3/12 [オペラ]

 1年以上放置して再開したのですが、一気に挙げた98公演の内、最もアクセス数が多いのは今のところ『エリオガバロ』で、他にもサバドゥスのコンサートなど古楽系の公演のほうがアクセスが多く、ネトレプコがエルザを歌ったドレスデンの公演はアクセス数が少ないという意外な結果になってます。古楽に興味を持つ人が増えているのでしょうか?

 ブラスチラヴァを訪れたのは初めてですが、ウィーンの空港から直通のバスがあり、45分で街の中心まで行けてしまいます。スロヴァキア国立歌劇場は1776年に建てられた歴史的な劇場と2007年にオープンした新しい劇場とがありますが、この公演は新しい劇場での公演でした。今回は1泊だけの滞在だったので歴史のある劇場で鑑賞しなかったのですが、また来る機会のお楽しみとしました。

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Conductor: Václav Luks
Stage direction and set design: David Radok

Arsilda: Olivia Vermeulen
Lisea: Lucile Richardot
Barzane: Kangmin Justin Kim
Tamese: Fernando Guimarães
Cisardo: Lisandro Abadie
Mirinda: Lenka Máčiková
Nicandro: Helena Hozová

Collegium 1704 and Collegium Vocale 1704
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 3月の旅行の最大の目的はこの公演。行こうと決めたのが1月末だったのですが、ここブラスチラヴァでは2公演しかないせいか9日は既に売り切れ、12日も安席しか残ってない状況でした。普通はお手頃価格席からなくなっていくのですが、ブラスチラヴァは物価が安く、最高額の席でも49EURなので良席からなくなってしまうのは仕方ありません。前方の端から3番目の19ユーロの席での鑑賞でしたが、それはもう病みつき[るんるん]になりそうなお得感でした。

 ヴィヴァルディの『アルシルダ』は初めての鑑賞で、なおかつ字幕はスロヴァキア語しかないわけですから、予習しない[猫]でもあらすじだけは調べて臨みました。

 演出のコンセプトは古往今来。
 舞台はブルーグレイのパステルカラーの壁に囲まれ、セットは晩餐のテーブルと透明な椅子でしたが、登場人物の衣装とかつらは当時の舞台様式、いわゆるHIP(Histrically informed performance)の様相で、なおかつダンスや登場人物の動きもバロックジェスチャーのようだったので完全にHIPの演出かと思いきや、登場人物の動きは徐々にに自然な動きになり、休憩後の後半になってミリンダがタメーゼに思いを打ち明ける場面からやたら脱ぎだし、最後は完全に現代の衣装になってしまいました。それだけではなく、大詰めに指揮者が舞台に登って指揮をするにいたっては物語は現在進行形という印象になり、なおかつ、オリジナルと異なり覆水盆に返らず、各々が我が道を行くという結末で複雑な人間の内面を浮き彫りにしたのも現代的な感覚の演出でした。
 物語は男性として生きることを強いられた女性が出てくる話ですが、HIP様式だった冒頭からその他大勢の中に女装の男性と男装の女性がいることも古往今来を意識した演出に思えました。

 聴きごたえのあるアリア満載の音楽と華やかさのある舞台に魅了されていたのですが、演奏のテンポが演出が現代的になるにつれゆっくり目になり、アンニュイな雰囲気になっていったのは、覆水盆に返らずという演出に合わせてのことかと思います。ただ例のごとく時差が抜けきらない2日目の夜とあっては演奏がゆっくりになるにつれ、徐々に黒目がまぶたの裏に入ろうとするのを抑えきれず・・・舞台にいる人から見れば白目をむいている観客がいるのは気持ち悪いに違いないので、しばらく目をつぶってしまった時があったのは無念<(_ _)>でありました。

 カーテンコールには演出家も登場し、賞賛に溢れてましたが、歌手で一番賞賛されていたのはCTのキム。シュヴェツィンゲンでエネアス役で聴いたときと同様の男前歌唱。くっきりとした声で声量もメゾと何ら遜色なく技術的にも聴かせてくれました。ただ今回は高音で乾き気味の声だったのが少々気になりましたが、エネアスを歌ったときはそういったことは気にならなかったので調子のせいなのか?いずれにせよまた聴く機会を楽しみにしたい人です。
 リゼア役の人の歌い方が音域によって声質が変わるのが少々気になったのですが、タップリとしたアルト声は歌い方も含めて個性的で存在感がありました。
 
 この公演は今後リール、カーン、ヴェルサイユなどで上演予定です。

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