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死の都・・・Hamburgische Staatsoper・・2015/3/31 [オペラ]

Musikalische Leitung Simone Young
Inszenierung: Karoline Gruber

Paul Klaus Florian Vogt
Marietta / Die Erscheinung Mariens Meagan Miller
Frank / Fritz Lauri Vasar

 ファークト劇場といった公演。
 もともとパウルの想像という内容で一人芝居的要素が大きい作品ではありますが、最後まで喪失感から抜け出ることができない演出とあって、さらにその印象が強くなっていた公演でした。もちろんフォークト以外の他の出演者も演出の意図にそってそれぞれ上手く演じていたこともあって、舞台上で汗だくになっているのはパウル一人であるがごとく観客に印象づけていたという面もあります。

 『死の都』といえば1年前に新国で鑑賞し、大震災に思いを巡らせたものでした。こうして震災のあった3月に再び鑑賞することになり、今回も思い起こすかと思ったのですが、最後までパウルは喪失感の中から抜け出ることなく終わるというかなり重い演出に、すぐには思い起こすことはありませんでした。しかし、現実はこのパウルのように喪失感から抜け出すことができない人たちも少なからずいるに違いありません。結局のところ、やはり震災の喪失感に思いをめぐらすことにはなったのですが、それが適切なのか否かは分かりません。適切でないとしても、『死の都』を観たら震災のことを思い出すことになるのは避けられそうにありません。

 フォークトについてはローエングリンが人間のマネしてるといったところが見受けられるかと思ってましたが、両手を合わせたくなるような神々しさは微塵もありませんでした。歌っているというよりも、喪失感から自分を見失いそうな感情のほとばしりといったところで、難曲といわれる作品であるようには全く感じられないものでした。
 歌える人にしか歌えない世界があるからこそ興味をもって聴きたくなるものです。

 前日のバーデンバーデンの祝祭劇場がデッドぎみだったせいか、演奏は爆演といった印象でしたが、歌手の声もよく通る劇場で、いろんな意味で圧倒された公演でした。
 それにしてもやはり不思議くんだなー・・・と思ったのは、カーテンコールでのフォークトの涼しげな表情があまりにパウルと違うので、「あれ?パウルをやっていた人と違う人がカーテンコールに出てきた」と思えてしまったことです。
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