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ヴォツェック・・・Theater Basel ・・・2011/12/27 [オペラ]

BLOG6664.JPG
劇場内に展示されていた写真
Musikalische Leitung Gabriel Feltz
Inszenierung Elmar Goerden

Wozzek Thomas Johannes Mayer
Andres Rolf Romei
Tambourmajor Stefan Vinke
Hauptmann Karl-Heinz Brandt
Doktor Andrew Murphy
1. Handwerksbursch Alexey Birkus
2. Handwerksbursch Ralf Rachbauer
Der Narr Noel Hernández
Marie Edith Haller
Margret Rita Ahonen
Mariens Knabe Julian Schmidlin
Ein Soldat Ingo Anders
Tanzpaar Martin Lüthi Stefanie Zimmermann
Chor des Theater Basel
Sinfonieorchester Basel


オペラどころではない生活が続いてましたが、夏にリセウの公演のチケットを購入してしまったので、来てしまいました。
スカラのドンジョはチケット販売初日は所用で参戦できず、観なくても良いとは思ってましたが、しばらくするとポッロポッロと出てくる出てくる。
最初はあまり良い席ではないので、別に観なくてよい、とパス。
次も良い席でなく、パス。
ところが、出てきてしまいました。良い席。
しょーがないなー・・・・
どうしても観て欲しいわけね。
相変わらず、意味もなくタカビーです。

スカラを次の日に控えるとなると、冬場は飛行機の当日移動は避けた方が賢明ということで、
到着日も観れる公演を探したら、バーゼルのこの公演が目にとまりました。

バーゼル劇場は現代的で、スタジオといった雰囲気のシンプルな劇場です。
オペラ専用の劇場ではありませんが、音響は気になりませんでした。

鑑賞中のマナーについては、音楽殺しの拍手こそ、ヨーロッパではほとんど遭遇したことはありませんが、こそこそと話したりするのはどこへ行ってもあるものです。
この日も案の定・・・・となりは親子。
それもまだ小学校の高学年くらいの男の子で、なんで「ヴォツェック」なんて、こんな暗くて難しい公演に連れてくるかなー?
公演がはじまって,間もなく、コソコソ・・・・
またしばらくすると・・・・コソコソ・・・・オヤジが息子に説明する声が・・・・

オヤジがほとんどハリー・ポッターに登場するハグリット・・・・
「座ってください・・・・あ・・・・失礼・・・座ってらっしゃいましたね。」
というくらい大きい。
席が2階席の最後列(といっても4列目)で、後ろに座る人に迷惑をかけてはいけないと、自分の身の丈を知っているという点では、このオヤジは心得た人です。

結局のところ、この親子を黙らせてくれたのは公演そのものでした。
最初の2回のコソコソの後は親子とも集中して、ビクともせず、ガン見。

「ヴォツェック」は初鑑賞ですが、それくらい演奏も出演者のパフォーマンスも良かったと思います。

演奏のアクセントと間の取りかたが巧妙に演出とあっていて、緊張感が途切れることはありませんでした。

とはいえ、ベルクの音楽です。
飛行機の中で寝られなかった身としては、ツライ時間があったことは正直申告しておきます。

T・J・マイヤーは新国でも同役で出演したかと思いますが、私自身は観てません。
何回か聴いた印象は、どことなく安心できる懐の深さのある声だと思ってましたが、今回は歌うというより、メロディをつけて台詞を言っているようなものなので、少々印象が違いました。
以前パリでヴォータンを歌っっていたころに比べると体型もひきしまったような?
歌や声の表現と共に、演技の上手さが必要な演目だと思いますが、
見た目もバランスのとれた体型で、いかにも人が良さそうな雰囲気、演技も上手です。
もちろんドイツ人ですから、メロディーをつけた台詞も勢いがあり、説得力抜群でしょう。
精神を病みつつも、マリーと子供への愛情を覗かせるヴォツェック。
そして苛立ち、焦り、心のコントロールを失っていく様子が、時折響かせる、お腹の底から吐き出すような声で強烈に表現されます。

演出は何かを象徴しているであろう動きを出演者がしたり、映像が映し出されたりすることもありましたが、こういった類は、鑑賞していてビっと閃くときもあれば、単なる想像で勝手に解釈するときもあり、ただ見ているだけのときもあります。
この到着した日は閃くはずもなく・・・・当然、見ているだけでした。

ただ、最後の死の場面がリアルに悲惨なので、個人的な感想としては、時にコミカルな意味不明の演出は、救いようのない悲惨さからの適度な逃げ道に思えました。


第三幕
親子三人で座り、そっと父親に寄り添う子供。
BLOG6693.JPG

写真はプログラムより

水色の布は最後のシーンで子供がかぶって登場するものです。












普通は場面転換して、マリーの殺害なのでしょうが、そのまま子供の目の前で、ヴォツェックはマリーののどを切りました。
子供はビクリともせず、そっと登場するうつけ者に連れられて舞台を去ります。
ところで、うつけ者役の人は見た目もラテン系、名前からしてスペイン人のようですが、aberをアーベルなんて発音してました。
うつけ者らしく、誰が演じても、ヘンな発音するのがフツウなのでしょうね。


ヴォツェック自身はどうやって死ぬのだろうと、ふと考えると、いつの間にか右の部屋に浴槽が・・・。
そ、そんな見え見え・・・じゃありませんか。
でもやめてほしい・・・見たくない・・・と思っていたのに・・・・
浴槽の中で手首を切り、苦しみあばれながら死んでいくヴォツェック。

白い壁にはいくつもの血で染まった手の後が・・・・。

他の子供達から母親の死を告げられる子供。
布をかぶり、うつけ者に馬のりになって登場した子供の姿は神が宿るかのよう・・・
全く動ぜず、無表情・・・
他の子供達を追うことなく、舞台中央で観客席をじっと見つめたまま・・・ブラック・アウト・・・

子供が子供らしい動きをしていたのは母親の浮気現場を目撃する前まででした。
その後は魂の抜け殻のよう。
時に舞台全体に映像で映し出される、無表情で瞬きをするだけ子供の顔・・・・
知ってるよ。こうなって当然なんだ。・・・舞台中央で堂々と前を見つめたままの子供の姿は、神聖な中に、恐さと痛みを残すものでした。
被っている布は、おそらくヴォツェックのもの、父親への祈り・・・
母親は神の裁きを受けたにすぎないと言っているようでした。

カーテンコールではマイヤーにブラヴォーが飛び交ってました。

ザルツのデマチで、マイヤーが2013年に「死の都」で来日するようなことを話してくれましたが、発表はまだですし、変更の可能性もあるでしょう。
でもマイヤー出演で「死の都」が観れるとしたら、嬉しいことです。
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