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ジークフリート・・・Staatsoper Unter den Linden・・2019/9/11 [オペラ]

 ベルリンに戻ってジークフリート
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MUSIKALISCHE LEITUNG Daniel Barenboim
INSZENIERUNG Guy Cassiers
 
SIEGFRIED Andreas Schager
MIME Stephan Rügamer
DER WANDERER Michael Volle
ALBERICH Jochen Schmeckenbecher
FAFNER Falk Struckmann
ERDA Anna Larsson
BRÜNNHILDE Iréne Theorin
DER WALDVOGEL Serena Sáenz

 前日優しいワーグナーを聴いたせいか、この日は前2作よりもオケが鳴らしているように感じてしまいました。それも始まる前にアナウンスあり、フォレとリューガマーが調子悪いが歌うとのこと。確かに前2作ほど声に力はなかったようにも思え、声とのバランスという点で演奏が鳴らしていたように感じたのかもしれません。それでも前日の公演の後では何ら不足に思うはずもなく、感想も凄く良かったの一言で済んでしまいそうですが、気づいたことを書き残しておきます。
 シャーガーが進歩し続けているのは既に他の演目で実感してますが、このジークフリートでも明らかでした。初めてシラーでシャーガーのジークフリートを聴いたときは一本調子気味で、誰に何を言われようが3歩歩いたら忘れちゃう、いや3歩歩かなくても3小節歌えば忘れちゃうタイプなんて感想に書いてました。今回は5歩、いや5小節くらいかな?それ以上だと逆にジークフリート感が薄れてしまうので。一本調子といった感も全くなし。根本的にシラーはシャーガーには小さすぎだったかもしれません。1幕で快速でたたみかけるように歌うジークフリートに対し、たじたじのミーメ。絶妙なテンポの変化で演奏が二人の関係を裏打ちしながら、物語へ観客をぐいぐいと引き込んでいきました。
 ファフナー、フンディング、ハーゲンと3役歌うので全ての公演にご出演のシュトルックマン。この日のファスナーの死の前の歌い方には憐憫の情を抱かざるを得す。
 フォレは調子悪いとはいえ、枯れていく姿には合って言うことなし。
 ワルキューレでは純粋な少女で意外性をみせてくれたテオリンは寝ている間にしっかりと成長。ヴィヴラートの強い歌い方で以前から知っているテオリンでした。もちろんなんら不足はありません。
 
 最後の神々の黄昏は観ることなくこの遠征は終了。
 ただ3公演を通して全て大満足というには少々気になったことがあったのも事実。それはオケが不安定な音を出したり、緩んだように感じることが以前に比べると増えた気がしたこと。単なる気のせい、あるいはたまたまということだったらよいのですが、思い出したのは6月にバレンボイム先生が契約を更新した際、ハラスメント疑惑を受けて契約延長の条件に職場環境改善の誓約があったこと。オケのメンバーの居心地はよくなった一方で、観客のストレスは増えたなんてことになったらプロとしていかがなものか。それ以前からバレンボイム先生自身が忙しくなりすぎてSKBと仕事する機会がそもそも減っているということもあるかもしれませんが、ハラスメント疑惑はオケに対してもおのずと厳しい目を向けることになってしまいました。
 臨席の人に一般の人達はハラスメント疑惑についてどう思っているのか尋ねたところ、昔から年配の人は弟子に対しては厳しく接するもの。だからほとんどの人はそれほど重く受け止めていないと思うとのこと。マイスターの国らしいと思ったのですが、[猫]が、そういった問題よりも貢献度のほうがはるかに大きいということもあるでしょうねと言ったら大きく頷いてました。

 だからといって、ハラスメントと感じてしまう状況まで追い込まれることはあってはならないのはもちろんです。ということで以下、最近のパワハラ問題についていろいろと思うことを書きます。

 対策を指導者側に求めるだけで充分なのかという疑問は払拭できません。ハラスメントは受けた側はそう感じても、加えたとされる側はそういった意識はないということがほとんどです。そもそも同じ組織内では相談することが難しいからハラスメントと感じるまでに追い込まれてしまうのですから、その溝を埋めるには劇場とは無関係の組織がメンタル面のアンケートを定期的に行うなど、大事に至る前の早期発見と対応に当たるよう対策を講じないとなかなか防げない問題のように思えてなりません。ドイツは多くの音楽団体が存在するのですから、それらを全部引き受ける組織があってもよさそうです。ただ、どんな職業でもストレスのない仕事などないでしょう。必要以上に指導する側が気を使わなくてはいけない状況になって、質が低下するなどということも勘弁願いたいのです。
 パワハラにしろセクハラにしろ、受け止る側の問題となると言い出したらきりがないといった面があり、そのうち厳しい緊張感は皆無、みんな仲良くが第一、当たり障りのない音楽ばかり聴くハメになりそうです。否、そうなったらもう聴かないということになるかもしれません。
 

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