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ジュリオ・チェーザレ・・Glyndebourne Festival ・・・2018/7/15 [オペラ]

 バーデンバーデンからグラインドボーンまでの移動はやはり少々無理がありました。バーゼルからのフライトが遅延のため指定の列車には乗れず。ただ1時間後の列車でも劇場までの連絡バスはあると書いてあったので、余裕かと思っていたところがその列車がキャンセル。慌てて駅係員に尋ねたところ直通はさらに1時間後とのこと。結局ブライトン経由で行ってタクシーでグラインドボーンへ行くことに。それでもなんとか間に合ったということで、結果オーライではありましたが、さすがにもうあちこちと行く旅程は避けたくなり、自らを欧州引きずり回しの刑に処すのもいい加減にしないといけないと自覚するにいたりました。
Conductor Jonathan Cohen
Director David McVicar
Orchestra of the Age of Enlightenment
The Glyndebourne Chorus

Giulio Cesare Sarah Connolly
Curio Harry Thatcher
Cornelia Patricia Bardon
Sesto Anna Stéphany
Cleopatra Joélle Harvey
Nireno Kangmin Justin Kim
Tolomeo Christophe Dumaux
Achilla John Moore

 クレオパトラとシーザーの話をイギリスがエジプトを支配していた時代に置き換えた演出は楽しい趣向満載のコメディ仕立て。2005年初演なので10年以上経っているのですが、人気グループのパフュームのように歌手がダンサーと一緒になって踊りながら歌う場面など、まだまだ新鮮な面白さを保っているプロダクションでした。
 ヘンデルは古楽の中でも歌手の歌唱技術を堪能できるのが醍醐味ですが、それもダンサーと3人で同じ振付で踊りながら小気味よく聴かせてくれたのがクレオパトラ役のハーヴェイ。声質、声量共にアジリタを要するところでもそうでないときと全く変わらずスムーズに歌いこなし、キュートで活き活きとした様が好印象でした。
 同様にダンサーと3人組になって振付つきで歌ったのがCTのキム。いままで聴いたのは凛とした男性の役で、歌も非常に男性的で男前歌唱と表現したくらいですが、今回はオネエ系の設定で歌もソフトでほんわか。今までとは全く異なる印象だったのが好感度アップ。歌うところが少なくて残念に思えたほど。
 もう一人のCTデュモーは聴くたびに声の密度が高くなっていて6年前に初めて聴いたときのことを思い起こせば今や全く別人といってよいくらい。演出上、プッツン系悪役だったのがハマリすぎで、常日頃鍛えているらしく開脚ジャンプに側転と身体能力の高さでも観客を楽しませてくれました。
 タイトルロールのコノリーは初演時からこの役を歌っているということで完全にものにしている感があり、見た目は完璧に男性。ただアジリタになると声量が落ちるのが若干気になったところ。今まで聴いたことが多いわけではないので何とも言えないところですが、最近はワーグナーも歌っているので過渡期なのかもしれません。
 セスト役のステファニーも見た目は青年そのもの。母親役のバードンと二人、コメディ風演出の中でも悲劇的部分の味わいを担って好演。
 指揮はクリスティーが執る公演もあったのですが、この日はコーエン。イギリスの古楽界で活躍している若手のようですが、チームワーク良く公演の要の役割をしっかりと果たしてました。

 この日はワールドカップの決勝の日。バーデンバーデンからの移動であたふたとそれどころではなかったのですが、カーテンコールでデュモーが国旗を片手にはしゃぐように現れたことでフランスの優勝を知ることとなったのでした。

 初めてのグラインドボーン行きは難儀しながらも、タクシーの人も劇場の係りの人も親切で助かりました。ちなみにルイス駅からグラインドボーンは定額15ポンド。帰りはバスで帰ることができました。



 

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