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パドモア、クック、ウィッグルスワース・BERLINER PHILHARMONIE・Kammermusiksaal・2018/4/4 [コンサート・リサイタル]

Mark Padmore Tenor
Ryan Wigglesworth Klavier
Allison Cook Mezzosopran
Mitglieder des Vocalconsort Berlin

SCHUMANN: Liederkreis Op.39
WIGGLESWORTH: Echo and Narcissus
JANACEK: The Diary of One who Disappeared

 ベルリンフィルハーモニー室内楽ホールでの初鑑賞。目的がパルジファル2公演だったとはいえ、バーデンバーデンでベルリンフィルのパルジファルを聴くという選択もあったのにもかかわらず、日にちが開いてもフィルハーモニーの公演を選んだのはこの公演が気になったのが理由の一つでした。

 特に印象に残ったのは後半のヤナーチェクの歌曲集『消えた男の日記』、ジプシーの娘に心奪われ、終には故郷を捨て去ってしまった若い農夫の物語です。
 室内楽ホールのウェットな音響がジプシー娘役のクックの歌声の妖艶な力を際立たせ、さらに観客席最上階後方で歌う女声コーラスが神秘的にホールに満ちるさまは恐れのような感覚を抱くほどで、青年の心を揺さぶるのに充分すぎるものでした。若い農夫役パドモアは純粋で素朴な印象で好演。暗く冷たい緊張感に満ちた作品は鑑賞していて息苦しさのような感覚をも伴うものでした。最後に故郷を捨てる決心をした後でも余韻として残るのは解放感より痛々しさ。それは人間の性と社会の掟の間で揺れ動いた青年の未来への不安と残された人々の悲しみを内包しているかのようで、この作品の地であるモラヴィアの農村の風土をも彷彿とさせる作品でした。

 
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