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リッチャルドとゾライデ・・・ADRIATIC ARENA・・・2018/8/20 [オペラ]

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写真はカメラの設定を変更し忘れて失敗
Direttore GIACOMO SAGRIPANTI
Regia MARSHALL PYNKOSKI

Agorante SERGEY ROMANOVSKY
Zoraide PRETTY YENDE
Ricciardo JUAN DIEGO FLÓREZ
Ircano NICOLA ULIVIERI
Zomira VICTORIA YAROVAYA
Ernesto XABIER ANDUAGA
Fatima SOFIA MCHEDLISHVILI
Elmira MARTINIANA ANTONIE
Zamorre RUZIL GATIN

 ロッシーニ没後150年という記念の年にあたって新制作した『リッチャルドとゾライデ』はテノール好きにとってはお宝公演でした。良いテノールが少なくとも二人、できたら三人必要な作品で、そのせいもあって上演機会が少ないのかもしれませんが、今回は見事に三人揃えてくれました。作品の魅力はそれだけでなく、登場人物が多くさまざまな聴きごたえのある重唱が満載というところ。そういった面でも歌手全員適材適所の逸材を揃えたといった感があり、この公演を鑑賞できただけでペーザロに来た甲斐があったというものです。

 演出のほうは新制作とはいうもののジャネット・リンかカタリーナ・ヴィット。つまり1970年代か80年代のプロダクションを持ってきたかという雰囲気。しかし滅多に上演されない作品は読み替えなしでそのままのほうが分かりやすいので良いのかもしれません。そうは言っても歌の合間で優雅なだけのバレエのシーンになるとボーッとしてきて、これが長い間続いたら脳みそが豆腐化してあの世に一歩近づいてしまう気がしたのですが、幸いそれほど長くは続かず、次から次へと聴きごたえのあるアリアや重唱があり、あの世には一歩たりとも近づかずにすんだような気がします。

 お目当てのフローレスは外見も声も歳月が経ったのは否めない感はあったのですが、それでも技術的にさすがの安定感で抜きんでた存在であることは何ら変わりなし。なぜか休憩後は指に包帯をしていたのが気になりましたが、歌にも演技にも何ら影響なさそうだったのでそれほど大きな怪我ではなさそうでした。
 アゴランテ役のテノールはリッチャルドより歌う場面が多いのではないかという重要な役。ロマノフスキーがこれまた見事な歌いっぷり。フローレスが歳をとっても王子声なのに対し、威厳のある王様声で少し傲慢な雰囲気を醸し出してハマリ役。悪役という印象は希薄でゾライデはこちらになびいても良いんじゃない?と思えてしまったくらい渋い魅力ある王様でした。
 そして驚いたのが第三のテノール、エルネスト役のシャビエル・アンドゥアーガ。歌うのは他の二人のテノールに比べるとずっと少ないのでアジリタなどの技術面ではなんとも言えないですが、豊かな声量で伸びやかな美声、舞台姿も美しく観客を魅了。2016年にロッシーニ・アカデミーの一員として音楽祭に出演して以降、昨年、今年とここで活躍しているようですが、1995年生まれなのでまだ23歳。ロッシーニだけでなく、もう少し重めの役でも力を発揮できそうな声質で、既にオッカケ族もいそうなイケメンです。今後あちこちで活躍するであろう逸材といった感がありました。
 ゾライデ役のイェンデは6年前スカラの『フィガロの結婚』でバルバリーナ役を聴いたことがあります。公演自体は今一つでしたが、愛らしい声で丁寧に美しく歌っていたのが好印象でした。その後着実にステップアップして今や引っ張りだこの様相。若々しくキュートでまろやかな歌声は安定感抜群の心地よさ。舞台姿もチャーミングでフローレスの相手役を担うに相応しい活躍でした。
 アゴランテの奥さん、ゾミーラは旦那の浮気に心穏やかならず策力をめぐらすという役。ヤロヴァヤが潤いのあるたっぷりとした声でプライド高く、物語に波乱をもたらすキーパーソンとして好演。技術的にもしっかりとしてディクションが綺麗な気がして、てっきりイタリアの人かと思いきやキャスト表をみると名前がロシアの人でした。
 主要登場人物で唯一イタリア人だったのがウリヴィエッリ。この人はイェンデと同じスカラの公演でフィガロを歌ってました。今回はその時とイメージをガラリと変えて別人だったのはさすがプロフェッショナル。娘を助けるために謎の騎士として登場し物語は佳境を迎えるのですが、堂々と品格のある歌いっぷりで存在感を示してました。

 主要登場人物以外の歌手の人達を含め、それぞれの声の個性が際立っていただけでなく、重唱ではどの組み合わせでも声の相性が良くてロッシーニの醍醐味をたっぷりと味合わせてもらいました。歌手の好演を引き出したサグリパンティ指揮の演奏も文句があろうはずがありません。

 尚、さまざまな資料をネット上で提供してくださっている皆様にはいつもありがたく拝見させていただいてますが、今回は特に御殿先生、ありがとうございます。





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