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イェフタ・・・Palais Garnier・・2018/1/20 [オペラ]

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Conductor William Christie
Director Claus Guth

Jephtha Ian Bostridge
Storgé Marie-Nicole Lemieux
Iphis Katherine Watson
Hamor Tim Mead
Zebul Philippe Sly
Angel  Valer Sabadus

Orchestre et Choeur des Arts Florissants

 ヘンデルのオラトリオですが、旧約聖書にある元の話とはエンディングが異なり、ハッピーエンドにしているあたりは娯楽性を考慮したオペラに近い作品と言えそうです。
 聖書ではイェフタが戦争に勝利できれば帰還した後に最初に目にした者の命を捧げると神に誓ってしまったがために、勝利し帰還した後、最初に目にしたのが自身の娘であったことで苦しみながらも娘の命を捧げるという話ですが、この作品では古楽オペラにありがちな無理やり感で、殺される前に天使登場。一生処女で神に仕えるという条件で命が救われるという話になってます。
 最近の古楽の演出は不自然なハッピーエンドをハッピーエンドで終わらせないというのが主流で、この演出もしかり。そういった点では想定内の演出ではあったのですが、そのままハッピーエンドに終わった場合は今時なんだかなー・・・と言うに違いなく、この辺は想定内でも文句を言ってしまっては、ああ言えば上祐的文句でしかないので特に文句はありません。
 ただし、抽象的でシンプルすぎる演出で退屈という面がなきにしもあらず。『エリオガバロ』でも途中から睡魔と戦う羽目になってしまいましたが、古楽は音楽が心地よすぎるという面もあって、演出がシンプルすぎたり殺風景だとどうしてもボーっとして集中力を欠いてきてしまいます。また、登場人物は自然な動きばかりでなく、何かを象徴するように全員が動くときもあったのがどこか冷めた印象を残す演出でもありました。

 音楽的にはクリスティ&レザール・フロリアンの演奏、ソリストの歌、コーラス共に充分に満足でした。
 最も注目していたのは初めて聴くボストリッジ。スレンダーな姿はストイックで、美しい声もあって中性的な雰囲気もあり、独特なカリスマ性で魅了されました。
 古楽を聴くときに気になる様式感と劇的信憑性のバランスという点ですが、コンサート形式でしか聴いたことのなかったミードが絶妙のバランスで好演でした。
 娘役のワトソンも清純な印象でハマリ役。
 ルミューが、少々気持ちが入りすぎて様式感が微妙になっていた感がなきにしもあらず。ただ前述したように演出がシンプルで少々冷たい印象があったので、気持ちが入りすぎくらいで良い気もしました。
 サバドゥスは以前から天使のような声と思っていたのですが、今回はその天使の役。『エリオガバロ』のときと異なり、歌うのはソロだけだったので声量の物足りなさもそれほど気にはなりませんでした。ただやはりもう少し小さい劇場のほうがより良さを発揮できる人ではあります。

 演出に物足りなさを感じながらも音楽的には満足感の高い公演でした。

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