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ヴォツェック・・Haus für Mozart・・2017/8/14 [オペラ]

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Vladimir Jurowski, Musikalische Leitung
William Kentridge, Regie

Matthias Goerne, Wozzeck
John Daszak, Tambourmajor
Mauro Peter, Andres
Gerhard Siegel, Hauptmann
Jens Larsen, Doktor
Tobias Schabel, 1. Handwerksbursch
Huw Montague Rendall*, 2. Handwerksbursch
Heinz Göhrig, Der Narr
Asmik Grigorian, Marie
Frances Pappas, Margret
Salzburger Festspiele und Theater Kinderchor
Wolfgang Götz, Leitung Kinderchor
Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
Ernst Raffelsberger, Choreinstudierung
Wiener Philharmoniker
Angelika-Prokopp-Sommerakademie der Wiener Philharmoniker, Bühnenmusik
Patrick Furrer, Leitung Bühnenmusik

 舞台セットは殺伐とした瓦礫の山。不穏な閉塞感に満ちた演出の設定は負傷兵やガスマスクをつけた人がうろつく戦禍の街。前日に観た『皇帝ティートの慈悲』と同じく現代の世相を反映した演出でしたが、戦禍の中で狂気へと導かれるさまは現実味のある陰鬱さに支配されていました。
 子供をどう演出するか、この演目のポイントとして注目していたのですが、ケントリッジは人形で表現。傍で人形を操るのは看護婦で、子供は障害か病気がある設定になってました。戦禍の街ということで当然空爆や銃撃が原因だったのかと想像せざるをえず、幕切れで舞台中央で動くことができずにいる子供にスポットライトがあてられブラックアウトしたのが痛ましすぎて後をひく悲劇でした。
 
 席は2階後方サイド。ほとんど見切れることなく舞台を見れたのは良かったのですが、この演出で鑑賞するのはもう少し舞台に近いほうが良かったかもしれません。全体的に常に暗い舞台でスポットライトによって主要登場人物を浮かび上がらせることが多かったのですが、暗い部分でも度々人が現れたり動いたりしていて、それが気になっても良く見えないというのが変なストレスになりそうでした。これにはもう全体的な印象として捉えたほうが自分自身の緊張感を保てそうだったので、早々に細部に拘ることは諦めて鑑賞しました。それで良かった気がしてます。

 歌手はタイトルロールのゲルネをはじめ、適材適所。中でも意外性という点で印象的だったのはグリゴリアン。どちらかというとマリーという役は生活に疲れきった中年といった印象を持ってたのですが、若々しく溌剌とした明るい声は戦禍の中に咲く花といった雰囲気さえあり、殺害されてしまう悲劇性をさらに大きくしていました。誘惑され、若さゆえに誘いに従ってしまったと考えれば話としても自然に思えました。

 演奏も緊張感があって良かったと思うのですが、強く印象に残るものではなくやや控えめ。ユロフスキはバイエルンの『炎の天使』以来2回目で、その時は抑制された演奏が尖った演出によく合って好印象でしたが、今回も控え目に思えたのは常にそういう演奏スタイルなのか?今後も聴く機会があることを楽しみにしたいと思います。


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