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ヘルデン・テノールって? [雑感]

ローエングリンが去ってフヌケ状態・・・

ところで、いろんな方の感想を見ると、所謂ヘルデン・テノールではないが・・・といった文章をしばしば見かけます。
問題は『重さ』

実は[猫]も最初はそう書いてました。
しかし、CD「Helden」がリリース後(日本では4月ですが、欧州では2月)
3月の「ワルキューレ」の感想から、今までにないヘルデン、そしてこれからもないであろうヘルデン、と書かせてもらいました。

ヘルデンテノールって
大体誰がいつ定義したの?
いつまでたっても無知なもので^^;
ヘルデンは英雄という単語
ほかに定義云々なんぞ、どうでもよいというのが本音です。

でも気になってWikiで調べると
(Wikiは結構間違っている場合もありますし、実際に間違いを発見したこともあるのですが、参考までにいつも使わせてもらってます)

日本のWikiでは・・・
ヴァーグナー作曲の歌劇・楽劇における英雄的な役どころを演じるのに適した声質をもつテノールのことを「ヘルデンテノール」(独: Heldentenorから)と称することもある。
としかかいてありません。

ドイツ語のWikiでは・・・こちら
„schwerere“, 『より重い』ということが明記されてます。
ところがヘルデンテノールという他に『若いヘルデンテノール』という分類もあるではありませんか?!
その代表として、S・イェルザレム、P・ホフマン(この二人は後により重い役も歌った)に並んでR・D・スミス、K・F・フォークト、更にはJ・カウフマンの名前も列挙されてます(?_?)

つまり、このWikiに従うとしたら、ヘルデンではないと書いても、ヘルデンと書いても、どちらでもよいと解釈してよさそうです。
なーんだ
どうでもよいで[猫]あってるじゃん(^_^)ノ

ここにヘルデンテノールと若いヘルデンテノールの役を列挙します
ヘルデンテノール
Hector Berlioz, „Les Troyens“: Énée (Aeneas)
Benjamin Britten, „Peter Grimes“: Titelrolle
Giuseppe Verdi, „Otello“: Titelrolle
Richard Wagner, „Tannhäuser“: Titelrolle
Richard Wagner, „Der Ring des Nibelungen“: Siegmund und Siegfried
Richard Wagner, „Tristan und Isolde“: Tristan
若いヘルデンテノール
Ludwig van Beethoven, „Fidelio“: Florestan
Ruggero Leoncavallo, „Der Bajazzo“: Canio
Giacomo Puccini, „Tosca“: Cavaradossi
Giacomo Puccini, „Turandot“: Calaf
Richard Strauss, „Ariadne auf Naxos“: Bacchus
Giuseppe Verdi, „La Forza del Destino/Die Macht des Schicksals“: Alvaro
Giuseppe Verdi, „Don Carlo“: Titelrolle
Giuseppe Verdi, „Aida“: Radames
Richard Wagner, „Der fliegende Holländer“: Erik
Richard Wagner, „Lohengrin“: Titelrolle
Richard Wagner, „Die Meistersinger von Nürnberg“: Walther von Stolzing
Richard Wagner, „Parsifal“: Titelrolle
Carl Maria von Weber, „Der Freischütz“: Max


しかし、フォークトとカウフマンが一緒に並んでいるのは違うような???
このWiki間違っているかしら?
どちらかというとカウフマンは重さのあるヘルデンテノールの方ではないのかしら???
[猫]は両方違うと思ってますけど
でもイタリアものに関しては合っているようですね。

カウフマンはようやく復帰するそうで、よかったですね。
って書いておいてなんですが、
実はこれまたどうでもよいと思っている
内と外との区別ができない正直な[猫]


初めてカウフマンを聴いたのはフォークトを聴くずっと前、舞台栄えする人でワグナーを歌うと聞いたときは、期待もしたのでした。
その後3回、全部で4回(アルフレード、バラの騎士の歌手、ウェルテル、カヴァラドッシ)と聴いたわけですが、ワグナー?違うんじゃない?という思いのほうが強くなりました。
声がくすんでいるせいもあって、他のヘルデンテノールの人達に比べると前に声が飛んでくるタイプではなく、オケが厚くなるワグナーは厳しそうです。
頑張って歌って、また休めばいいという方針のようですが・・・

それも今に始まったことじゃなくて、何年も前からその方針に変化なし。
もちろんメトの来日公演のキャンセルなどは、その間にチューリッヒで歌っていても全く問題とは思いませんし、リンパ種云々でバイエルンをキャンセルしたにもかかわらず、他のイヴェントで姿を目撃されたとしても全くOK。
大事にいたらなくてよかったですし、こちらもおかげでボータとアルヴァレスとグレードアップしましたしね。
ただヴィルスがうつって休んだら悲しむのはファンだからファンへのサインは止めるといった矢先の長期休業って???
(~_~;)寒い・・・脆弱すぎる・・・
ということでカウフマンに対する評価は下降の一途、というより一気に墜落。

スケジュール管理云々という話になりそうですが、
この前T・J・マイヤーがキャストチェンジで『ワルキューレ』の間に『マクベス』を歌わなくてはいけなかったように、結構一線級の歌手の皆さんはハードスケジュールをこなしてます。
考えてみると、ソロ活動する前は劇場のアンサンブルとしてハードスケジュールで歌うのには慣れているのかもしれません。
実はフォークトさまもとんでもないスケジュールをこなしているのを発見したことがありました。
トゥールーズで『オベロン』の公演中、中二日の間にハンブルグに行って『パルジファル』歌ってました ( °o°)
こういった急なキャストチェンジはH/Pのスケジュールにも反映されず歌っているので、実際はカウフマン以上に大変なスケジュールになっている時もあるかもしれません。
彼らは強靭なプロです。

でも白状すると・・・・
フォークトさまを実際に聴く前、録音でしか聴いてなかったときは
二人ともヘルデンテノールというには帯に短し襷に長し、などと書いたときもありました。
申し訳ございません。
お許し下さいフォークトさまm(__)m


苦悩くんは正しい発声をしているのかしら?
これは嫌味でなく、本当に素朴な疑問です。
無理しないでまたいつでもお休みしてね。

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euridice

こんにちは。
興味深く読ませていただきました。
よろしければ、私のブログ左のリンク
☆HP:伝記、評論☆→
資料-3(論文1989年刊) をのぞいてください。

アメリカ人女性の「ヘルデンテノール」に関する考察です。
全文じゃありませんけど・・


by euridice (2012-06-25 08:01) 

kametaro07

euridiceさま
興味深い論文をご紹介いただき、ありがとうございます。
以前一度目を通させていただいたと思いますが、今回改めて納得させていただきました。
特に前書きの最後の部分
>いくつかの必要不可欠な共通項がある。その芸術に関わるエネルギーと情熱、声の美しさ、響きの独自性、劇的信憑性などである
激しく同意!!!です。
by kametaro07 (2012-06-25 22:22) 

shushu

はじめまして。
オペラ初心者ですが、「ローエングリン」のフォークトがとーーっても素晴らしくて、ネットで検索、こちらのBLOGを読ませていただいています。

今発売中の「CDジャーナル」という雑誌にフォークトの来日中のインタビューが掲載されています。その中で、「ワグナーを歌うテノールに求められること」についても語っています。彼の声質と所謂ヘルデンテノールのイメージが違うことはについては、これまでも質問されているのでしょうか。自らの考えをしっかりと説明するなぁ、と感心しました。

ご存じかも知れませんが、書き込ませていただきました。
by shushu (2012-06-27 20:06) 

hbrmrs

とても良い問題定義の記事でございます。

ヘルデンテノールの定義って難しいですよね。
今や、歌手は国際的ですから、ドイツ人以外の人で、ドイツ物もイタリア物も両方レパートリーに入れている歌手はたくさんいます。そういう人がワーグナーを歌ったら、じゃあその人はヘルデンテノールなの??と言われると、首を傾げてしまいます。

ちなみに私はカウフマンは、たとえドイツ人であってもヘルデンテノールではないと思っています。

あ、カウフマンなんか、どうでもいいですね、失礼しました(笑)。

結局、私は、勝手にイメージしている私の主観で範疇を決めることにしました。
それでいいんじゃないですかねー。
by hbrmrs (2012-06-27 21:42) 

kametaro07

shushuさま
はじめまして
フォークト良かったですよね。
初めてパルジファルを聴いた時の驚きを、より多くの方々と共有することになって嬉しいです。
「CDジャーナル」について存じませんでした。
購入して読んでみます。
情報ありがとうございます!

by kametaro07 (2012-06-28 01:17) 

kametaro07

hbrmrsさま
>主観で範疇を決める
(^o^)/賛成に一票
それにフォークトについては範疇云々を超えて堪能させてくれる人だと思います。

どうでもよいですが^^;もちろんカウフマンも良さはあります。
でも
>カウフマンは、たとえドイツ人であってもヘルデンテノールではない
こちらも(-o-)/賛成に一票


by kametaro07 (2012-06-28 01:18) 

Kew Gardens

昨日の日経夕刊にVogt様のインタビューがのっていましたが(いいわゆる宣伝広告)、かれの紹介としてヘルデンテノールとあります。 この説明が"華麗さと量感をもってオペラの英雄的役割を歌うテノール”。 って何? という感じですが・・・。 短いながら興味深い会話でしたが、インタビュワーが伊熊よし子さんだったので、彼女のブログをチェックしたところ、このインタビューを3つのメディアに書き分けるようで、日経のほかが、婦人公論(?!)、ヤマハ「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」だそうです。 婦人公論は内容がいまいちそうですが、ヤマハのほうはどうでしょうか。

って、朝から何してんでしょーね。


by Kew Gardens (2012-06-29 16:06) 

kametaro07

Kew Gardensさま
>"華麗さと量感をもってオペラの英雄的役割を歌うテノール”。 って何?
つまりはフォークトさまということで(#^.^#)
>婦人公論(?!)、ヤマハ「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」
情報ありがとうございます。
確かに婦人公論とは?でもあり!でもあり・・・

>朝から
ということは、今頃そちらは夕方ですね。
きっと何かご覧になってらっしゃることでしょう。
by kametaro07 (2012-06-29 23:32) 

ゆすらうめ

はじめまして。
初台でフォークト様にノックアウトされ、25年来のホフマンの呪縛から解き放たれました。
呪縛という言葉が強すぎるなら、ホフマンの舞台をみることが叶わないというコンプレックスと言い換えてもよいかも。
正統派のヘルデンテノールではないというオペ友には、英雄の声ではなくて、聖なる天上の声ですが、何か?と返しております。
by ゆすらうめ (2012-07-01 23:24) 

kametaro07

ゆすらうめさま
はじめまして
>ホフマンの舞台をみることが叶わないというコンプレックス
同様の思いを抱いていた方は少なからずいたでしょうし、未だにその思いを抱いている方もいるかもしれません。
私自身、もっと早くからオペラに興味を持っていれば、観れないわけではなかったのに・・・と未だに思ってます。

>聖なる天上の声ですが、何か?
仰るとおり!
なおかつ、やはりヘルデン、英雄だと思います。
今までにないタイプだから正統派でないというのは説得力のある論理とは言い難いです。
by kametaro07 (2012-07-02 20:06) 

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