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ローエングリン・・・新国立劇場・・・2012/6/16 [オペラ]

同じ公演を2度観にいくよりも、他の公演にひとつでも多く接したいと思っているので、キャストが全く同じ公演を再び見に行くことは普通ないのですが、知り合いが急遽行けなくなったので行ってきました。

お腹一杯、胸一杯。

感想も書かなくてもよいかなと思ってましたが、この前、大切なことを書いてなかったので、書き残しておきます。

この公演を企画し、キャストを招聘してくださった新国立劇場の関係者の皆様方、並びに来日してくださった出演者の皆様方に厚く御礼申し上げます。
_(._.)_
実は来シーズンの発表をみて、アルテ会員をやめようと思ってました。
申し訳ございません。
やめるのやめます。
来シーズンはこのローエングリンに全力を投じた末の結果なんだろうと思うにいたりました。
もちろんこの意見は個人的嗜好によるものでしかありませんが・・・・
また高水準の公演を期待して、我らが新国立劇場を応援しましょう!

最終日は10日の公演よりもさらに完成度が上がっていたように思え、日本でこれほどまでの公演に接することができるのだという実感で途中何回も胸が一杯になりました。
公演の要であるマエストロ・シュナイダーに最大級の賞賛があったのは当然でしょう。

ただ一点、観客が感動のあまりなのか?全く意味不明・・・・
1幕終了前、音楽が鳴っているのにもかかわらず、ブラヴォーのフライングという迷惑行為は本当に残念でした。


公演の話にもどって
ソリストの表現に新たな発見もありました。

テルラムント役グロホフスキー、1幕のゴットフリートを慈しみ育てたというくだりは、この前感じていたテルラムントの誠実さ、忠義さをさらに深く物語るものでした。

最も10日よりその存在感が際立っていたように思えたのはエルザ役のメルベート。
相手役があまりにカリスマティックなフォークトなので、目立たなくなってしまうのかもしれませんが、カーテンコールでももっと賞賛されてもよいくらい。
3幕ではカリスマと渡り合って、息を呑む程の緊張感を紡ぎ出していたのはメルベートの力もあってのこと。
以前パリの「ワルキューレ」でジークリンデを聴いたときも、声にも容姿にも清楚な可憐さがあって素敵だと思いましたが、エルザも適役に思えました。

さて不思議くん、いえフォークトさま
この日も別世界からやってきて、別世界に帰っていってしまいました。
最後はエルザも民もローエングリンを追い求めてしまうわけですが、同時に観客もこの日を最後に去っていってしまうローエングリンを追い求めずにはいられなくなったでしょう。
そう、追っかけファンが激増に間違いなし。
でも10ヶ月後、また姿を変えて現れてくれますから、追っかけできない方は待ちましょう。
東京春楽祭の関係者の皆様方にも御礼もうしあげます。

それにしても・・・
どうしてフォークトさまの声には唯一無二ともいえる神々しいばかりの輝きがあるのでしょうか?
他の方のご意見などネット上で見てみると・・・
普通、人には発声しにくい音域(声楽ではパッサージョというらしいです)があるのに、フォークトさまにはそれがなく、どの音域もこともなげに自然に発声してしまう。
なるほど・・・・
そして何より声の響き方は?
驚異的な肺活量と腹筋、横隔膜筋?の持ち主?
ホルン奏者としての経験なのでしょうか?
それで、ある意味人間離れした、天から降ってくるような響きとなる。
(メ・ん・)?ウダウダ書きましたが、理屈ぬきで凄いということでもいいですね。

そして今まで書き忘れていたことがもう一つ。
フォークトさまは必ずカーテンコールでオケの人達に両手を合わせて感謝の意を表します。
今回はプロンプターの人と握手したり、最終公演ということもあってか振り向いて共演者全員にも頭を下げてました。
心遣い、姿勢が素晴らしい!
そういったことも含めて、改めて書くまでもなく[猫]大絶賛。

今回、その声の力が恐ろしさまで内包する強さだったことで、DOB,ホルテンのローエングリンが悪役という設定もフォークトさまなら表現しきってしまうだろうと想像しました。

天使のような優しさ、少年のような純粋さ、神々しいまでの力強さ、さらには恐ろしいほどのカリスマ性まで・・・
フォークトさまが歌うことで観客は別世界を実感できます。

カヴァラドッシは普通の人達におまかせして、ジークフリートやトリスタン、歌っちゃいましょうヨ・・・
ジークフリートも神の血が入っているし、トリスタンは神の血は入ってないけど話そのものが不思議、荒唐無稽でしょ。
それに二人ともオリジナルの話だと10代の少年でしょ。
そうだそうだ!歌っちゃいましょう!
などと気軽にお願いしてはいけません。

フォークトさま、ご都合のよろしい時で結構でございますので、ジークフリート、トリスタンもお歌いいただけると、この上ない喜びでございます_(._.)_ 

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コメント 4

galahad

よし、コメント一番のりじゃ!
フォークトさんの声はレンジが広いですね。 それと正確な音程はおしゃるとおりホルン奏者の経験故かと。 倍音が高低両方に豊かにある声質。 無理のないようにワーグナーを歌っていっていただきたいです。 私はタンホイザー聴いてみたいな。 
なんだか惹かれるメルベート、すごくよかった!
by galahad (2012-06-17 20:53) 

kametaro07

galahadさま
>私はタンホイザー聴いてみたいな。
他にもフォークトの「ローマ語り」を聴きたいという方がいらっしゃいます。
清々しすぎて、ちょっとヴェーヌスに溺れるダメ男のイメージが重ならないのですけど、どうでしょう?
救済される側のタンホイザーではなく、救済する側のパルジファルのイメージが強く残っているせいかもしれませんが・・・。

>なんだか惹かれるメルベート、すごくよかった!
同意!
by kametaro07 (2012-06-17 22:55) 

Kew Gardens

>お腹一杯、胸一杯。

全くもって、同感です。 こんなに凄い経験になるとは、予想をこえていました。 初日は試運転だったのかと思うくらい、昨日は充実した内容でした。 歌手も、オケもみんな飛ばしていたように見えました。 (レースマークはかぜでもひいたのでしょうか。 彼女だけはプレミアとは違って、昨日最後はようやく声をだしていたように思いますが)

Vogt様のジークフリートやトリスタンなんか聞いてみたい気もしますけれど、私は違った演出でLohengrinをどう演じるのかも興味あります。 そういえば、新国立のプロダクションは新作だから、楽しみといっていていたような。 次は大工の国からやってきた白鳥の騎士が予定されているようですが、あの作品でも異界の人になるんでしょうね。 

>心遣い、姿勢が素晴らしい!
ホント! 初日にプロンプターの人と握手をしているのを見て、プレミアだからかと思いましたが、もしかして毎回のことだったのでしょうか? ご本人がプロンプターを必要としているとはあまり思えませんが、一緒に舞台を作っている人たちに対する気配りなのでしょうね。 非常に丁寧な挨拶も強く印象に残っています。 

いや、次回(っていつ?)がとても楽しみな歌手がまた一人増えました。 


by Kew Gardens (2012-06-17 23:41) 

kametaro07

Kew Gardensさま
レースマークは10日も最後少々お疲れぎみのようでした。
最後の大見得はもともと難しいところのようですし、頑張ったのではないでしょうか。

>大工の国
この演出は未だによくわからないのですが、フォークトさまならTシャツだろうが何だろうが、異界の人になるでしょう。
見てみたいですねー
あのお声で白鳥のオマルみたいのをかかえた姿・・・
想像して何故かツボにハマってしまった(≧∇≦)
指揮はナガノではないのですね。
どなたか見に行っていただけないかしら?

>プロンプター
そういえば10日は握手してなかったと思います。
最終日は声にはほとんどお疲れを感じませんでしたが、動きなどに少々お疲れ?という時があったような?必要なときもあったかもしれません。

>次回(っていつ?)
来年4月の再来日をお忘れなく!
もちろんその前に行けるものなら行きたいですけど・・・( `・ω・) ウーム…
by kametaro07 (2012-06-18 22:27) 

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