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椿姫・・・Hamburgische Staatsoper・・2010/11/12 [オペラ]

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 2幕終了後のカーテンコール

INSZENIERUNG: Folke Abenius
BÜHNENBILD: Toni Businger
KOSTÜME: Hans-Günter Willerscheidt

Dirigent: Simone Young
Violetta Valéry: Edita Gruberova
Flora Bervoix: Renate Spingler
Annina: Katja Pieweck
Alfréd Germont: Ramon Vargas José Bros
George Germont: Dalibor Jenis
Gastone: Jun-Sang Han
Baron Douphol: Moritz Gogg
Markýz d'Aubigny: Levente Páll
Doktor Grenville: Tigran Martirossian

グルベローヴァはここハンブルグの他、12月にはミュンヘン、ウィーンでヴィオレッタを歌います。
この内、ハンブルグだけオペラ、他はコンサート形式です。

ハンブルグ州立歌劇場は初めてですが、近代的な造りでどの席からでも見やすそうです。

演出はドイツにしては珍しく、極めてオーソドックス。
ドイツは数多くの劇場があるので、ただ伝統的にオペラを上演していくだけでなく、新しい解釈も取り入れ、ヴァリエーション豊富なものにしなければ、集客しつづけることは不可能です。
しかし, 愛されるものは残すことも忘れていません。

劇場は音響的にも問題ないように思えましたが、序盤、オケ、コーラスが抑え気味。
一方でソリストの声は良く響いてました。
2幕後半にはオケ、コーラス共に響いてきたので、指揮のヤングがあえて抑えていたように思えて、もしかするとグルベローヴァが調子が今ひとつだったのか?とも考えられました。
[猫]の感覚なので極めて不確かではありますが・・・^^;
序盤、声が出にくいので歌いやすいようにアレンジして歌っているようでもあり、それが非常に巧みで自然なので、あえてそう歌っているようでもあり・・・?

しかし、これほど素晴らしいヴィオレッタを演じられる人は他にいないだろうと思わされたことは言わずもがな・・・。
その歌声はヴィオレッタの内面から溢れ出る感情のほとばしり、とでもいうもので、確かな技術に裏打ちされた表現のヴァリエーションは役になりきることで自然に湧き出るようです。
「花から花へ」で早くも目がうるうるしてしまいましたが、その前に鼻水がでてきてしまって・・・・・・・・困った^^;
バッグから音をたてないようにティッシュを取り出さなくてはいけませんでした。
欧米ではいかなる場合でも鼻水をすするなどということは絶対にしてはいけませんから・・・。
歌った後は当然大ブラヴァー。
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一幕終了後のカーテンコール

ブロスとグルベローヴァ






アルフレッド役には当初ヴァルガスが予定されていましたが、病気のため4日と8日の公演は早くから若手のステファン・ポップに変更されていました。
この最終日12日だけは残っていたので楽しみにしていましたが、結局ホセ・ブロスに・・・。
でもブロスも実力者ですし、グルベさまとは数多く共演してます。
今回も代役とは思えないほど公演に溶け込み、役に入り込んで、とても純粋で一途なアルフレッドでした。
贅沢を言わせてもらえば、いまひとつ力強さがあれば・・・というところですが、アルフレッドには声質が少々軽いかもしれません。

ジェルモン父のイェニスはスカラ来日公演では誠実で知的なイメージのロドリーゴでしたが、今回は絶対に息子を連れ戻す!という強い意志がヒシヒシと伝わる歌唱と演技、声も力強く響き、来日公演とは全くの別人でした。
ヴィオレッタとのやりとりは二人の必死さが交錯し、緊迫感あふれ、やるせなさが胸にしみます。
アルフレッドに対して、分からないか!とばかり手を上げ、ふと思いとどまり、その後歌う「プロバンスの海と陸」は柔らかな愛情あふれるものでブラヴォーでした。
今後年齢を重ねるとますます良くなることでしょう。

3幕ではグルベさまのピアニッシモの表現に感服。
無念の情からふりしぼるように歌うピアニッシモ、せつなくはかなげに響くピアニッシモ・・・・。
目がう~るうる・・・・・。

カーテンコールではブラヴィーでしたが、指揮のヤングにはブーも混ざってしまいました。
大人しすぎ・・・ということかもしれません。
でも奇をてらうことなく、洗練された印象で、間合いが歌手の歌唱、演技と息が合って効果的でしたが・・・。

カーテンが開くと椅子が置かれ、グルベさまが腰掛けると音楽監督でもあるヤングから次のようなメッセージがありました。
「1970年の今日11月12日に『ホフマン物語』のオリンピアでグルベローヴァさんは劇場デビューしました。その後もアリアドネのツェルビネッタ、ヴィオレッタ、ルチアなどでハンブルグに戻って活躍してくれました。今後もルクレチア・ボルジア、アンナ・ボレーナ、そしてノルマなどでご活躍してくれることでしょう。
40周年の記念としてささやかな贈り物ではありますが、ツェルビネッタを演じた時の写真をお送りします。」
花束と一緒に写真がグルベさまに贈呈されました。
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 グルベローヴァの背後、ブロスの右隣がイェニス

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右の写真、一番右に写っているのがヤング


グルベさまのスピーチはユーモアに溢れ観客から何回も笑いがもれました。

もちろんドイツ語のスピーチですから、分からないことも多々あったので、ほんの一部しか書けません。特に《 》内はかなり曖昧です・・・悪しからず^^;

「皆様ありがとうございます。こうしてこの日を迎えられたのはは大きな喜びです。年月は戻りませんね(観客 笑)・・・・・・・・
《ドイツでキャリアが長いのに、ハンブルグはあまり重要視してないという方もいるようですが、ハンブルグは寒いので・・もちろんそんなことはありません(観客 笑)》・・・
観客の皆様、素晴らしい演奏をしてくださったオケの皆様、公演を共にしてくださった仲間の皆様に御礼申し上げます。またプレゼントまでいただいて劇場関係者の皆様のお心遣いには心から感謝しております・・・
皆様これからも盛大な声援をお願いします。次の40年も楽しみにしてます(観客 笑)」


スタンディングオベーション&ブラヴァー&拍手!



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コメント 2

ゆみゆみ

私が日本でグルベ様のヴィオレッタを聞いたのは何年前でしょう。
本当に心に残る公演というのはそう沢山あるわけではありませんが、本当に心を打たれる歌唱でした。
それが今でも人々の心に残る歌を歌えるというのは凄い事ですね。
ミュンヘンで見た「ノルマ」では、少し年令を感じましたが今年の夏は演奏会形式という事もあったのでしょうが、全くそのような事を感じさせる事もなくディドナートとの息をのむ掛け合いは見事でした。
PPとカメタロウさんは書いていらっしゃいますが、名だたる歌手はその辺りはキチンと把握をしていると思います。
しかし、それがPPで無く、1人の人間の心の表現として聞く方に伝わるというのは、本当にそう沢山の歌手にできる事ではないと思います。
逆に感情を強く出す場合も同じだと思います。強く歌える声でも、こちらにその心が伝わる人にお目にかかれることもなかなか無い。
いつまでも、そういう演奏ができるなんて天然記念物みたいですね。

ハンブルグというのはドイツの北の方にあるのでしょう?
フランクフルトから乗り継ぎですか?
どのような街なのか一度行って見たい所です。
by ゆみゆみ (2010-11-23 17:26) 

kametaro07

ゆみゆみさま
>1人の人間の心の表現として聞く方に伝わる
仰るとおりです。
歌っているというより、心がそのままあふれ出しているよう・・・とまで思わせてくれる人はなかなかいません。
>天然記念物
私は人間世界宝と呼んでます^^。

ハンブルグは北の港町。
特に見るべきものがあるわけではありませんが、湖があって雰囲気は良いところです。
いらっしゃるのでしたら、夏が良いでしょう。
今回も既に冬、寒かったです。
飛行機はフランクフルト乗り継ぎが一番便利ですが、パリ、ロンドン、チューリッヒ他ヨーロッパ各都市から直行便があります。
by kametaro07 (2010-11-23 23:08) 

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