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ウェルテル・・・Opéra Bastille・・・2010/1/23 [オペラ]

WERTHER / JULES MASSENET

Michel Plasson Conductor
Benoît Jacquot Stage Director
Charles Edwards Sets
Christian Gasc Costumes
André Diot Lighting (d'après les lumières originales de Charles Edwards)

Jonas Kaufmann Werther
Ludovic Tézier Albert
Alain Vernhes Le Bailli
Andreas Jäggi Schmidt
Christian Tréguier Johann
Sophie Koch Charlotte
Anne-Catherine Gillet Sophie

Paris Opera Orchestra and Chorus
Maîtrise des Hauts-de-Seine⁄ Paris Opera children's Chorus
Original Royal Opera House production, Covent Garden, London (2004), owned by the Opera national de Paris.

感動!やはり素晴らしかったプラッソン指揮のマスネ!!!

2年前の1月、チューリッヒでマスネ「ル・シッド」で感動して以来2度目のプラッソン指揮のマスネです。
最初にチューリッヒに観に行ったときはド・初心者の発想、フランス人指揮者によるフランス人作曲家の作品だから悪いわけはないという単純思考でした。
実際大変素晴らしかったわけですが、後で調べたらプラッソンはマスネのエキスパート、単純思考がドンピシャだったのはかなり自己満足です。

この公演、サブスクリプションした公演の2演目目。
「湖上の美人」以外はある意味オマケなのですが、ドイツ人原作、フランス人作曲の作品を主要キャストをフランス人とドイツ人の豪華なメンバーでやる注目公演です。
オマケと言い切っては飛んできます・・・・・石、槍、その他諸々・・・・^^;

原作ゲーテの「若きウェルテルの悩み」はかなり昔^^;高校時代に読みました。
と言っても内容はいつものようにスッカラコッキリですので、いつも予習なしの怠慢[猫]でもあらすじだけは調べておきました。

フランス語の公演、字幕もフランス語しかない・・・・早い話、歌っている歌詞など分からないのですが、プラッソン指揮の演奏にはグイグイと物語に引き込まれずにはいられません。
美しいメロディーを奏でるハープやオルガンの音色、子供達のコーラスは素朴で純粋な透明感に満ち溢れ、悲劇へと導かれるドラマティックで流麗な演奏には胸が熱くなります。

演出はROHオリジナルということですが、シンプルながらもオーソドックスなもの、幕が上がるとベースカラーが空色でやはり素朴な透明感に溢れるものです。
舞台が手前に傾斜してるので舞台で歌う出演者の人達はちょっと大変なのでは?という気もしました。
途中観客席でカウフマンとコッシュが演技する場面もあり、周辺の席に座っていた人はラッキー。

タイトルロールのカウフマン、どうやら調子が悪かったらしく、前回20日の公演では以前「ノルマ」で聴いたことのあるアンドリュー・リチャーズが歌ったようです。リチャーズも良さそう・・・?

歌い方、演技共にカウフマンには苦悩の人が似合います。
歌声が響くと霧がたちこめてくるようです。

一方シャルロッテ役のコッシュはどの音域、音の強弱にかかわらず、声が均質で伸びやかに前にでてくる人です。

この2人が一緒に歌うと調和が取れないわけではないのですが、どうも異質な感じがしてしまいました。
カウフマンの声がオブラートでくるまれたように聞こえ、まるで2人の間に見えない壁があるかのようです。
この物語上、2人は結ばれないということを暗示しているようにも思えて、壁があっていいのかとも思ったのですが・・・・。

そういえばこの2人、昨年2月に観た「バラの騎士」に出演していたのでした。
この時カウフマンはチョイ役の歌手の役でしたから二人で歌う場面はありませんでした。
コッシュは舞台から遠い席で見ると溌剌とした少年にしか見えなかったので、若い人なんだろうと勝手に想像していたのですが、写真を見るとそう若い人ではなくて意外。
今回はクリーム色のロングワンピース姿で清楚な娘役、歌はもちろんですが、舞台上での身のこなし、雰囲気の出し方までプロフェッショナルな人です。

アルベール役のテジエは今回聴くのが初めてで楽しみにしてました。
役柄もあってか?少し淡々とした印象でしたが、声は良いし、舞台姿も決まってます。

大法官役のヴェルヌも好演でした。

今回凄く気に入ったのがソフィー役のジレ。少女らしく無垢で愛らしい歌声、演技共に魅力的です。

最後、シャルロッテ邸からウェルテルの部屋に舞台が換わりますが、幕が下り、演奏が流れる中、コッシュは観客席を駆け抜けウェルテルのもとへ急ぐという演出。
すごく感心したのは舞台換えが物音ひとつせず行われたことです。
音楽に集中したまま高まる緊張感、迎える悲劇!

もう一度書きます。プラッソンのマスネは感動!です。
画像 163.jpg

今回の席も10月「愛の妙薬」のとき座った席と同様、平戸間後方。

大きな劇場なので、写真はまたまた遠すぎてピンボケ^^;

左からジレ、コッシュ、プラッソン、カウフマン、テジエ


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コメント 8

keyaki

この公演は、ネット配信されたようですね。ぜんぜんチェックしてませんでしたが.....オンデマンドらしいので、どこかからネットで見られるということですね。
演出が、ブノワ・ジャコ監督.....映画版トスカの監督なんですね...
ウェルテルは、バリトン版もあるそうですが、カウフマンならバリトン版の方がいいかも.....
by keyaki (2010-02-02 18:22) 

kametaro07

keyakiさま
映画版トスカ、ドミンゴが出演しているものですね。
残念ながらまだ観てませんが、この「ウェルテル」はなかなか雰囲気の良い演出だと思いました。
カウフマンは苦悩の人が似合うし、苦悩するテノールの役は多いのでレパートリーが多いのも納得はできます。
でもどの演目でもどういう感じで歌うかが想像できる気がして、飽きそう・・・と今回思ってしまいました。

ところでkeyakiさんのブログのプロフィールに載っているメアドに「セビリアの理髪師」の写真全部で9枚(5枚オリジナル、4枚トリミング)送りました。
前に送ったものは許容量オーバーでダメだったようです。
今度は届いてるといいのですが・・・。
by kametaro07 (2010-02-02 21:59) 

hbrmrs

こんにちは。いい公演に行かれましたね!プラッソン、名指揮者ですよね。7月の来日(東フィル、二期会)が楽しみです。

私は2007年にモネで大野和士のウェルテルを観ました。その時、A・リチャーズとS・コッシュのコンビでした。
 わたくし、結構コッシュお気に入りであります。ケルビーノ、オクタヴィアン、アリアドネの作曲家などズボン役(男役)が結構多いので、シャルロッテというヒロイン役で、普段気が付かないハッとするようなフェロモンを感じたことを憶えています(笑)。


by hbrmrs (2010-02-02 23:37) 

keyaki

kametaroさん
写真頂きました!
ありがとうございます。

トスカの映画版は、最近のこっちのがジャコ監督のです。
http://keyaki.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300452954-1
by keyaki (2010-02-03 00:08) 

kametaro07

hbrmrsさま
プラッソン、7月来日ですか。
なんだかいつも灯台下暗しで知りませんでした^^;
この習性なんとかならんか?です。

コッシュはいいですね。
パリでジョルダン指揮の「ラインの黄金」でフリッカを歌うんですよね。
残念ながらこの「ラインの黄金」は行けそうにありませんが、ワグナーでも聴いてみたい人です。
by kametaro07 (2010-02-03 00:17) 

kametaro07

keyakiさま
映画版トスカ、ライモンディがスカルピアでゲオルギュー、アラーニャですか。
また上映か放送があるといいなー。




by kametaro07 (2010-02-03 00:45) 

babyfairy

お久しぶりです。
パリで「ウォルテル」を御覧になったんですね。私は同じ劇場で先週末とそれから来週末に「ドン・カルロ」を観る予定です。「ウォルテル」ではアルベールを歌ったテジエがポーザを歌うので(ファンなんです)。

>役柄もあってか?少し淡々とした印象でしたが、声は良いし、舞台姿も決まってます。

たぶんそれはアルベールの役どころだと思います。ポーザは熱演、熱唱でしたから。ところで、私は先週聴いた時に改めて、テジエって生と録音ではかなり声の印象が変わる人だなあと感じたのですが、どうでしたか?
by babyfairy (2010-03-08 07:04) 

kametaro07

babyfairyさま
お久しぶりです^^。
テジエを生で聴いたのは初めてで録音もあまり聴いたことはないのですが、先日BS放送のMET「ラ・ボエーム」の録画の冒頭部分を観たときに、あれ?こんな優男風の声だったっけ?と思いました。
残念ながらほんのさわりの部分しか観れてないのですが・・・^^;

バーデン・バーデンの録音がきれいに録音されすぎて平べったく聴こえると仰ることも分かる気がします。

先日ウルマーナの声が違って聴こえるということをコメント欄で話題にしてたのですが、声が違って聴こえるのは劇場の音響、歌手のコンディション、指揮者の指示による歌い方の違い等いろいろありますし、録音が違って聴こえることもありますよね。

録音で良く聴いてらっしゃるbabyfairyさんが違うと感じられるのでしたら、テジエはそういったタイプなのでしょう。

幸い4月、ムーティ指揮の「カルミナ・ブラーナ」に出演予定のため、テジエが来日してくれます^^。
アルベールとはまた違った魅力が発見できることでしょう。



by kametaro07 (2010-03-09 15:23) 

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